goo blog サービス終了のお知らせ 

ベランダ蘭

灼熱と強風のベランダで健気に育つランの観察

2018/08/16 (木): オオイタビ Ficus pumila 斑入り

2018-08-16 | ラン科以外
前日8/15のベランダの日中最高35℃、夜間最低25.5℃
昨夜から強風が吹き荒れ、今日も晴れているが、白い綿雲が次々と青空を流れて行く。



オオイタビ Ficus pumila の白覆輪です。
2015年6月に近所の100円ショップで購入。



購入時は、10cmくらいの挿し芽が数本やっと発根したばかりという感じでしたが(茎の直径 2mm程度)、3年でようやく割り箸くらいの太さに。
小さくて根が少なかった頃は、水切れで葉がカサカサに枯れることが何度かありましたが、最近は安定してきました。
開花するまで大きくしてみたいところですが、鉢植えでは難しいかな?

100円ショップでも売っているくらい、ありふれた観葉植物ですが、観察すると奥が深いです。



本来は白色の斑のはずなのに、萌黄色の斑の葉が同じ枝に混在しています。

茎頂(黄色の星印)に近い順、つまり新しい順に葉の番号を振ってみると、
1白-2萌黄-3白-4白-5萌黄-6萌黄-7白-8白- と交互に出ているかのようで、単純に後冴えや後暗みの変化でないことが分かります。



別の枝は、
1白-2萌黄-3白-4萌黄-5萌黄-6萌黄-7中間-8中間-9白-



さらに別の枝は、
1白-2萌黄-3白-4萌黄-5萌黄-6中間-7中間-
どうやら共通したパターンがありそうです。



7月14日から記録してきた最高最低温度をグラフにし、オオイタビの葉が6日ごとに形成されると仮定して重ねると、図のようになります。
各枝の1枚目、3枚目の葉は、台風が来て気温低下した時期に形成されており、斑は白色です。
一方で2枚目と4枚目以前は猛暑日の時期に形成されており、斑は萌黄色です。
つまりこのオオイタビの斑は、高温になるとクロロフィル合成が復活するタイプの温度感受性変異であるようです。
実際の経験的にも、萌黄色の斑は夏限定で形成され、これまで春や秋には出たことがありません。

しかしこの推論、「オオイタビの葉が6日ごとに形成される」という仮定があまりにも恣意的です。
今後は葉の出るペースをきちんと記録して、温度変化との正確な対応づけをしたいところ。



このオオイタビは、斑の影響で葉の周縁部の形態が変化するのも面白いところです。
柄抜けの緑の枝では、葉の形態も本来の心型に戻っています。
そして斑入りの枝では、斑が萌黄色になった程度では葉の形態は変化していません。
クロロフィル合成能とは独立に、葉の形態に作用する別の変異を持つのでしょうか?

============

しかし風が強いなあ。
近くの観測点では最大瞬間風速20m/s以上を記録したとか。



太平洋高気圧の外周から東北地方の前線に向かって吹きこむ風かな?

デンドロなど背の高い鉢が何度も倒れるので対処。力技だがベランダの柵に紐でくくりつけるのが功を奏している。

Phal. pulcherrima の3輪目、Phal. Valentinii の4輪目がそれぞれ開花。
真夏咲きのネジバナも咲き上がってきた。

春に植え替えてから調子を崩していた(水持ちが良くなりすぎて過湿で根腐れ)Bulb. frostii から秋芽が出てきた。

Den. nobile 'Sakura' からも秋芽が出てきた。こっちは冬までに完成しないから嫌だなあ。外そうかな。

2018/08/14 (火): Tillandsia aeranthos

2018-08-14 | ラン科以外
前日8/13のベランダの日中最高35.5℃、夜間最低26℃
今日は気持ちの良い(= 適度に風があり、青空と白い雲のコントラストが良い)晴れ。
しかし例によって風で背の高い Dendrobium wardianum がぶっ倒れる。

Phal. Cornustris の花茎が重みで垂れて他の植物に当たるようになってきたので、支柱を立てて矯正。

Phal. pulcherrima の2輪目のつぼみがほころび始めた。

一週間くらい前からベランダをアリが歩き回っている。どこかに巣ができたようだ。
去年は、まだミズゴケ植えしていた時の Dockrillia linguiformis の鉢に巣があったが、コルク着生するときに退去させた。

富貴蘭の新しい葉が何枚出たとか、そういう程度の変化しかないので、久しぶりにラン以外の植物の写真を。

 2018/5/7撮影

チランジア アエラントス Tillandsia aeranthos (と推定される種)です。

2016年11月にヤフオクで Tillandsia bergeri として落札購入したものの、咲いてみたら花が違いました。
aeranthosbergeriは近縁なため、未開花の状態では区別が難しく、また種間雑種も多く混ざっているそうです。
bergeriの特徴である花弁の「捻り」が無いので、これは雑種でもなくaeranthosで合っていると考えています。

 2018/5/7撮影

全体像。
コルクに着生させるとか、霧吹きするとか、はたまた水に一晩浸けるとか、色々と流儀があるようですが、
素焼き鉢に軽石植えで、他のランのついでに如雨露で水をかけているだけです。

上記のように、開花するまではbergeriだと思っていたわけですが、bergeriは低温で開花が誘導されるとされています。
そこで昨冬はベランダに出したまま放置でしたが(最低で-3℃くらい)、全く傷むことなく越冬しました。
こんなに強健なのに、なぜか100円ショップの園芸コーナーのチランジアではaeranthosを見たことがありません。なぜ?

 2018/4/6撮影

冬を越して、茎頂の形が変わり、開花しそうだと気付いた頃。

 2018/4/19撮影

赤く色づいた花序の苞が出てきて、この時点でbergeri(苞の色は薄いはず)と違うかもしれないと予想した。

 2018/4/27撮影

開花の数日前。

 2018/5/1撮影

開花。

開花の兆候が出てから一ヶ月以内に咲くというのは、蘭と比べると早いと感じます。
とは言え、蘭でも Dendrobium crumenatum は低温(摂氏で5.5℃の気温低下)を感じた日から9日!で咲くそうですが。
参考:「南国~車いす日記」ブログ
http://blog.livedoor.jp/k_son_1231/archives/6261382.html
http://lucena.blog.fc2.com/blog-entry-1521.html

 2018/8/9撮影

チランジアは開花によって芯止まりになるので、脇芽が4つ出てきました。
クランプ(株立ち)になると鉢植えが難しくなるので、もう少し大きくなったら着生に移行する必要があるでしょう。
来春かな。

============

7月末にメキシコの南で発生したハリケーン Hector が、太平洋を西に進み続けて日付変更線を越え、台風17号になった。
既に勢力はかなり弱まっているので消えそうだけど、移動経路がすごい。

2018/08/03 (金): ベランダのハダニに生態学をみる

2018-08-03 | ラン科以外
前日8/2のベランダの日中最高40℃、夜間最低30℃
今日は薄曇りで空が白っぽく見える

昨日書いたハダニの発生について気付いたことは、どのランにも成熟個体が数匹ずつしかおらず、増殖はまだ初期段階だということ。
それでいて複数の鉢に広がっているので、これは気づいていないところにある発生源から分散していると見た。



果たして、暑さでボロボロになって、隅っこに放置していたクローバー(4つ葉~5つ葉の変異個体)に、ウジャウジャ発生していた。



これはひどいwww
ハダニが落ちないようにそーっとベランダから持ちだして、アパートの部屋からも出た外で、全部の葉を徹底的に切除。
残った用土と根茎にも十分にシャワーをかけて洗浄。
クローバーなら復活するでしょう。

こういう分布様式は生態学で言うところの「メタ個体群」みたいだな、と思ってしまった。
(メタ個体群なんて用語、大学院入試の試験勉強以来、十年以上ぶりに思い出した)
それに当てはめると、鉢の一つ一つがパッチまたは局所個体群で、特に今回はクローバーの鉢がソース個体群ということになる。

クローバーの局所個体群を潰したところで、既に他のランの鉢に新たな局所個体群が形成されているので、まだ解決はしていない。
ただしハダニは吸汁する植物の種類に選好性があるので、クローバーからランに馴化するかどうかという要素もある。
見たところこのハダニにとって、ランはクローバーほどの好物という訳ではなさそうだ。
それゆえに、根茎からクローバーの葉が再生した時に、ハダニがランから逆戻りする可能性も忘れず、注視しないといけない。

ただ、こんな回りくどく考える必要などなく、害虫や病気の発生パターンは普通こういうものなんだろう。
私は生物学が専門ではあるけど、農学部でなく理学部の教育を受けてきたので、こういう実用的な問題が発生した時に、
どう効率的に対処すべきか体系的に学べていないのが残念。

サクララン (Hoya carnosa, variegated)

2018-06-23 | ラン科以外
サクララン (Hoya carnosa) の斑入りです。(注:ラン科じゃないです)
2014年5月に、サカタのタネガーデンセンター横浜から購入。



珍しくもないごく普通種ですが、植物栽培を何も分かってなかった高校か大学生くらいの頃に買ってすぐ枯らした記憶があり、
ちゃんと再挑戦したいと思っていました。しかしサクラランを枯らすとか、当時の私は何をしていたのか。

花の香りは、杏仁豆腐と安いチョコレートを混ぜて希釈して、そこに咳止めシロップの苦みを少し加えたような匂いがします。
どちらかと言えば芳香だけど、なんだか惜しいなあという印象。



鉢を片手に持って写真を撮っていたら、うちのベランダまでマルハナバチ(コマルハナバチ?)が飛んできて、目の前で吸蜜し始めました。
野山ではよく見ますが、住宅街にも巣を作るものなんですね。
この後も何度も戻ってきて吸蜜していました。



受粉して結実しないかな?
サクラランの本来の花粉媒介者って何なのでしょう?

さて、2014年に320円の苗を購入してから、4年間の成長を並べてみました。(購入当時の写真は見つからないので、その1年後から)



このように、去年に初開花するまでは良かったのですが、今年はボロっちくなっています。
3年目で花が咲いて喜んでいたら、今度はまるで壊れたかのように何度も何度も開花を繰り返し、逆に葉が全く出なくなってしまったのです。
それに加えて、甘えというか手抜きなのですが、昨年の冬は風除けすらもせず、完全にベランダ放置で冬越しさせました。
(その前までは、室内に取り込んだり、ベランダに置いておくとしても大きな透明ビニール袋で二重に包んだりしていた)
割と温暖な地域とは言え、雪に埋もれたりマイナス数℃くらいには曝されたりしています。
余りにも花が咲きすぎたので、満足を通り越して少し飽きてしまっていたのかもしれません。
それでも丈夫に冬を生き残り、また開花を再開した姿を見て、私も反省して世話をしようという気になりました。

 2018/4/27撮影

4.5号の駄温鉢に植えてから3年ほどで根がびっしりと周り、粗い用土が崩れないほどです(春蘭用の混合培養土を使用)。
このままスポッと5号鉢に鉢増しして、隙間に新しい用土と置肥を少し詰めました。

 2018/6/16撮影

めっちゃ手抜きですが、それでも効果があってか、一月半たってようやく一年ぶりくらいに葉芽が出てきました。
逆に言うと、去年から花ばっかり咲いていたのは根詰まりの効果だったのでしょうか???