ベランダ蘭

灼熱と強風のベランダで健気に育つランの観察

2018/08/18 (土): ネジバナ Spiranthes sinensis

2018-08-18 | 地生ラン
前日8/17のベランダの日中最高35℃、夜間最低22℃
台風とかでなく、晴れているのにこの最低気温というのが、秋だなあという感じ。
しかし天気予報によると、あくまで一時的なものだそうで。来週後半から残暑が復活するらしい。



シュンランの大雪嶺の鉢から自然に生えてきたネジバナ Spiranthes sinensis var. amoena です。
通常の初夏咲きと、珍しい秋咲きの中間である、今の時期に咲いています。変なの。

今までのデジカメ(RICOH CX3)からの移行練習がてら、新しいデジカメ(Canon PowerShot SX730 HS)で撮影しています。
15年位前に初めてデジカメ(コンデジ)を使い始めてから、今までずっとオートの設定に頼りっぱなしで撮影してきましたが、
それでは満足できなくなってきたので、ついにマニュアル設定に手を出してみました。
ISO感度? F値? という感じで何も知らない状態なので、さすがに用語くらいは勉強しないとなあ。



たまに(私にとっては)うまく撮れたりします。



上の写真をトリミングすると、かき氷のようにシャリシャリに輝く唇弁が写っていました。
つぶつぶの一つずつが、表皮の細胞でしょう。



小さなシャクトリムシが一匹、偶然に写っていて後で画像チェック中に見つけました。
一匹ならそんなに害は無いかな?ということで監視しつつ放置。

Phal. pulcherrima の4輪目が開花。



カメラの違いだけでなく、撮影時間帯による日射の加減もあって、前回よりは魅力が伝わる写真になったかと。

ほんのかすかに、甘い香りがすることに気付きました。
今まで全く気付かなかったので、夜明けとかの時間帯限定でしょうか?

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今年2回目のクマゼミの鳴き声が聞こえた。
関西に住んでいた頃が懐かしいなあ。

アマナランの花に来たお客さん (Bletilla formosana)

2018-07-01 | 地生ラン
アマナラン Bletilla formosana の濃色花の斑入りです。前回から12日。
まだ残っている花に、何か気になる昆虫がとまっています。



体長1cmほどの、小型のハナバチの一種のようです。(昆虫の種名は調べるのが不慣れで分かりません。分かる方コメントで教えて下さると嬉しいです)
胸部の背中に注目。



クリーム色のつぶつぶ。ランに特有の花粉塊(かふんかい)を何個もつけています。
ラン科の花は、花粉をぎゅっと固めた花粉塊に粘着性の部分をもち、これで訪花昆虫の体に付着して運ばれていきます。
私の住んでいる地域には、残念ながらネジバナ以外の自生のランは無く、ネジバナの花粉塊にしては大きすぎるので、
ほぼ確実にうちのアマナランの花粉塊でしょう。



当のハナバチは、自身に課せられた崇高な役目を理解していないらしく、ヘツカランの葉に停まって背中に脚をのばし、
何とかして花粉塊を掻き落とそうと悪戦苦闘していましたが、花粉塊が外れる様子は全くありません。
進化を極めたランの花の構造により、ハチの背中の絶妙な位置に付着しているのでしょう。
しかし何個も花粉塊をつけているということは、付着力が強すぎて、次の訪花で柱頭に付くべき時にハチから外れなかったのかもしれません。
力加減が難しいようです。



ハチは結局あきらめたのか、花粉塊を付けたまま、その後もいくつかの花に潜りこんでいました。
辛うじて撮れた写真で、黒っぽいハチの体が唇弁の隙間にちらっと見えています。
はてさて、どれかの花で無事に花粉塊が外れ、自家受粉(正確には隣花受粉)で結実するでしょうか?

アマナラン 濃色花・斑入り (Bletilla formosana)

2018-06-19 | 地生ラン
アマナラン Bletilla formosana の濃色花の斑入りです。
2016年6月にAKIMOTO花園芸センターから購入。



アマナランは、日本産のシラン (Bletilla striata) と同属で、中国大陸南部と台湾に分布する小型種です。
最も簡単な識別点は、アマナランは唇弁に橙黄色の着色があり、シランにはありません。
シランは5月に咲き、アマナランは6月以降に咲きます。
ですが、典型的なアマナランは花弁と萼片の紅色がもっと淡いはずであり、それゆえにラベルには「濃色花」とあります。
Bletilla属は容易に雑種を作るので、もしかしたら純粋なアマナランではないかもしれません。
暑さ寒さにも強いところも、雑種ではないかと思わせる強健さです。



斑の安定性はとても良好です。(大江丸縞も見習って欲しい)



性質としては散り斑縞で、斑の中にも細かい緑点(「松葉を散らす」と言う)が入っています。



購入時の4株から2年で12株に増殖しましたが、それでも手乗りサイズです(浅型の4.5号駄温鉢)
シランは大きすぎて敬遠していましたが、このアマナランを手元で育てることで、開花時の面白い現象に気付きました。



上部のまだ咲いていないツボミは、苞(ほう)で包まれて守られているのですが、既に咲いた花には苞がありません。
どこに行ったのでしょうか?



ツボミが大きくなると、苞を貼りつけたまま伸びることで、苞の基部を茎から切り離し、
さらにツボミが大きく膨らむと、乾燥して縮んだ苞が貼りついていられず、ポロッと落ちるようです。
(注:連続写真ではなく、3つとも別の花茎です。)
まるで、ツボミを信じて着いていき、生きる糧さえ手放してしまった苞が、あっけなく見捨てられるかのよう。
擬人化はともかく、進化学的には、苞の動作は花を守り、自分と同じ遺伝子を残す利己的な行動に他ならないですが。
面白いなあ。