富貴蘭(フウラン Vanda falcata の登録品種)の無地葉変わり品種、宝熨斗(たからのし)です。
2016年7月にヤフオクで趣味家の出品を落札。

流行の富貴蘭品種が好きな方々には忘れられている、古い品種ですが、格好よくて私は気に入っています。

葉を左右から折り畳んで貼り合わせたような熨斗葉、管葉が特徴です。
この葉型から熨斗を連想するネーミングセンスというのが、日本の伝統文化を感じさせてくれます。

熨斗芸を示さない葉でも、ザラザラとコルク化したような堅条線がこまかく走っています。
最近の実生作出の墨芸よりも、こういう品種が天然で生じたことと、それを見つけた人の観察眼の方が凄いと思います。

裏側と軸(袴)の部分も、荒々しい魅力があります。
このように表側が貼り合わさったような葉(単面葉)といえば、アヤメ科やイグサ科などが有名です。
ラン科の中でも、デンドロビウム (Aporum節)、アングレカム、オンシジウムの一部などで「剣状葉」タイプとして知られています。
しかし「宝熨斗」の葉の接着は不完全で、新しい葉型への進化の過程というよりも、正常な形態形成のエラーのように思われます。
もともと風蘭の新葉(天葉)は、表を内側にして二つ折りになった状態で形成され、伸びてきます。
当たり前のことのようでいて、実はこの時に、葉の表面がいくら強く密着していても癒合してしまわないような仕組みがある筈です。
植物の細胞は、接ぎ木のように密着させると組織がつながることも可能ですから、わざとそうしないことも大事なのです。
植物学の実験で使われるシロイヌナズナでは、葉の表面をコーティングするクチクラ層を作れない変異体が見つかっており、
その変異体は、形成中に触れ合った葉どうしがあちこちで貼りついてしまいます。
宝熨斗もまた、そういったクチクラ層を作れない(とまでは行かなくても、量が減少とか)のが原因でしょうか?
2016年7月にヤフオクで趣味家の出品を落札。

流行の富貴蘭品種が好きな方々には忘れられている、古い品種ですが、格好よくて私は気に入っています。

葉を左右から折り畳んで貼り合わせたような熨斗葉、管葉が特徴です。
この葉型から熨斗を連想するネーミングセンスというのが、日本の伝統文化を感じさせてくれます。

熨斗芸を示さない葉でも、ザラザラとコルク化したような堅条線がこまかく走っています。
最近の実生作出の墨芸よりも、こういう品種が天然で生じたことと、それを見つけた人の観察眼の方が凄いと思います。

裏側と軸(袴)の部分も、荒々しい魅力があります。
このように表側が貼り合わさったような葉(単面葉)といえば、アヤメ科やイグサ科などが有名です。
ラン科の中でも、デンドロビウム (Aporum節)、アングレカム、オンシジウムの一部などで「剣状葉」タイプとして知られています。
しかし「宝熨斗」の葉の接着は不完全で、新しい葉型への進化の過程というよりも、正常な形態形成のエラーのように思われます。
もともと風蘭の新葉(天葉)は、表を内側にして二つ折りになった状態で形成され、伸びてきます。
当たり前のことのようでいて、実はこの時に、葉の表面がいくら強く密着していても癒合してしまわないような仕組みがある筈です。
植物の細胞は、接ぎ木のように密着させると組織がつながることも可能ですから、わざとそうしないことも大事なのです。
植物学の実験で使われるシロイヌナズナでは、葉の表面をコーティングするクチクラ層を作れない変異体が見つかっており、
その変異体は、形成中に触れ合った葉どうしがあちこちで貼りついてしまいます。
宝熨斗もまた、そういったクチクラ層を作れない(とまでは行かなくても、量が減少とか)のが原因でしょうか?