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ベランダ蘭

灼熱と強風のベランダで健気に育つランの観察

2018/10/01 (月): ヘツカラン Cymbidium dayanum

2018-10-01 | シンビジウム
昨夜の台風24号、私の地域に来るまでに力は衰えていたはずですが、
それでも未明は猛烈な風で、外では、何かが飛ばされたり壊れたりする不穏な音がしていました。
すごかったですね。

それにしても、前日に遮光ネットと枠を撤去しておいて本当に良かった。
そのままにしていたら跡形もなく破壊されていたかもしれません。



台風一過の夜明け。ほとんど眠れませんでした。
今日の天気は一転して真夏日。



水銀式の最高最低温度計を、「植物ほど大事ではないから」という勝手な理由でベランダ置き去りにしていたら、
転げまわって水銀柱がひどいことに。もしも管が割れて水銀が漏れていたらと思うと、ぞっとします。
どうやって直すんだっけ?



さて今日はヘツカラン (Cymbidium dayanum)。
来歴は前回紹介した通りで、小さな実生苗から数年で一気に株立ちに。



そして遂に見つけました!



この形は、待望の初の花芽でしょう。



こっちの小さいのは普通の葉芽っぽいかな。



ヘツカランの根も、Clowesia と同様に地上部で上向きに伸びます。
着生性のヘツカランの生態において、この逆向きの根が落ち葉(=肥料)トラップとして機能することが有利だったのでしょうか。

ちなみに、同属の別の着生種であるキンリョウヘン Cymbidium floribundum の根は、上向きには伸びません。
そこでキンリョウヘンとヘツカランの交雑種ならどうなるだろう、とか考えてしまうのが、遺伝学専攻の性(さが)なのか。
誰か作出しているのかな?

春蕙蘭?キンリョウヘン?「白龍の舞」 (Cymbidium sp. 'Hakuryu no mai')

2018-07-07 | シンビジウム
種名不詳の交配東洋蘭 (Cymbidium sp.)、白龍の舞(はくりゅうのまい)です。
2016年4月、中山植物園から購入。



葉幅があり短く詰まった、矮鶏(チャボ)とか達磨(ダルマ)と呼ばれる葉型で、まるでオモトのようです。
一目見て気になり、購入しました。
業者の説明では春蘭と蕙蘭(けいらん:報才蘭などの総称)の交配、春蕙蘭とのことです。
一方でネット検索すると、この白龍の舞がキンリョウヘンだという説明もあるようです。
どちらが正しいのか分かりませんが、バルブが肥大せずに小さく、根が枝分かれするところは、キンリョウヘンに似ていると感じます。

白龍の舞について検索して情報を調べようとしても、ほとんどその栽培経過を知ることができません。
幾人かのブログで「購入した」という紹介記事はあるのですが、その後が何も続かないのです。
とにかく根の出る本数が少ない(バルブ当たり1~2本)ので、調子を崩してしまいやすいのでしょうか?
(あるいは、安価な交配種だからとあまり大切にされていないのかも)
うちではとりあえず、2年ちょっとは維持できています。開花すれば種名が判明しそうですが、その兆候はありません。

 2018/3/19撮影

今年の植え替えの際、3本立ちに対して根が2本で、しかもよりによって植え替えの際に1本が外れ(叫んだ)、根1本になってしまいました。
藁にもすがる気持ちで、ミズゴケで根巻きにしてさらに段ボールで包み、植え付けました。
段ボールがランやランの共生菌に良いらしいという経験則が、日本の野生ラン栽培趣味の業界で広く流布しています。

 2018/5/2撮影

何とか枯れずに成長を再開したのですが、みるみるうちに白いカビのような菌糸がミズゴケに繁茂してきて焦りました。
しかしこの白い菌糸によって植物が悪影響を受ける様子(感染とか腐敗とか)はなく、そのまま経過を観察することにしました。
今まで、富貴蘭などミズゴケ単用で植えた場合には見たことがない現象なのですが、これが段ボール効果なのでしょうか?
そしてこの白い菌糸がランの共生菌なのでしょうか?

 2018/7/2撮影

白い菌糸の謎はともかく、今年はなんと奴芽で出てきました。
これは本当に段ボールの効果があったのでしょうか? そういえば写真を見比べると、わずか2ヶ月で一気にミズゴケが劣化していますね。
来年の植え替えで、根の状態が改善されているか確かめないといけません。

中国奥地蘭・朶朶香 「明梅」 (Cymbidium goeringii 'Minbai')

2018-06-07 | シンビジウム
中国奥地産、朶朶香(だだこう)と呼ばれるタイプの春蘭 (Cymbidium goeringii) から選別命名された、明梅(みんばい)です。
朶朶香は、浙江省や江蘇省産の伝統的な中国春蘭と産地こそ違うものの、同様に爽やかな芳香を持つのが特徴です。
2017年2月に命名者のエビアン氏(東洋蘭風来記)から余剰苗を分譲。

 2018/3/4撮影

寒風をさえぎるために他の蘭と一緒に大きな段ボール箱に入れていただけで、ベランダで傷まずに越冬してくれました。
今年1月後半の寒波の時には、さすがに数日間室内に避難させましたが。
寒さに対する耐性だけでなく、夏場のベランダの高温、強風、低湿度でも葉がツヤツヤと育つ、とても強健な品種です。

 2018/3/4撮影

キャップ遮光(花芽をアルミ箔の筒で遮光することで脱色させるテクニック)は行わなかったのですが、
段ボール箱に入れて薄暗い状態で越冬したおかげか、私からすれば十分にきれいに色が抜けて咲いてくれました。
春蘭を真剣に育てている人ならば、これをさらに純白に咲かせることを目指すのでしょうけど。

 2018/3/2撮影

春蘭はこれ一鉢で十分だと思わせる、完成された良さがあります。
・・・そう思うのは、私が春蘭の奥深さを全然わかっていないだけかも知れませんが。

シンビジウム ワダエ (Cymbidium wadae 'Tokyo City' self)

2018-06-03 | シンビジウム
Cymbidium wadae 'Tokyo City' self です。
が、まだ未開花なので、もし花を期待して訪問して下さった方がいたらすみません。
2017年2月の東京ドーム世界らん展にて、アルファオーキッドから購入(太陽園芸で実生?)



プラの万年青鉢にバーク植えで、乾きを抑えるためにミズゴケを表面にかぶせています。
(軽いので倒れないように、重石がわりの素焼き鉢にはめている)
入手時の写真(おおよそ同縮尺)と比べると、1年と少しで結構大きくなりました。新葉が7枚出て古葉が3枚落ちた計算。



ミズゴケの下では、太くみずみずしい根が伸びています。



待望の仔芽も出てきました。



この種類は、国立科学博物館の遊川博士によって2002年に新種記載されたものです。
近縁種のCym. eburneumと混在していた中から、洋ラン栽培家の和田氏がその特殊性に気付いたのが発見のきっかけだったそうです。

基本的に複茎性の成長をするCymbidium属の中にあって、このwadaeは単茎性であるというのが大きな特徴です。
wadaeだけではなく、同じEburnea節のeburneummastersiiも同じ傾向ですが。)
蘭展で初めて見た開花株の展示は、衝撃的でした。
また他のCymbidiumと比べると葉丈が短く詰まっており、整然とした葉姿だけでも観賞できる良さがあります。
今後さらに葉の枚数を増やして、開花させたいです。あと1~2年くらい?

日本春蘭 「大雪嶺」 (Cymbidium goeringii 'Daisetsurei')

2018-05-30 | シンビジウム
日本春蘭 (Cymbidium goeringii) の柄物の古い銘品、大雪嶺です。
大雪嶺の来歴についてはこちらの安庵さんのサイトにまとめられています。昭和40年代初期には70万円以上だったとか。
2015年11月に蘭万園から購入(現在では3,000円)。



花は葉の集合が変形したものということが分かっています。
そして春蘭は花にも葉緑体を持つので、葉が斑入り品種の場合は、花も斑入りになることが多いようです。
大雪嶺の斑のタイプは三光中斑(春蘭で言う中押し縞)なので、側花弁(棒芯)と萼片にきれいに三光中斑があらわれています。



青空に透かして撮るのが気に入っています。
こんなアングルで観賞できるのは栽培者の特権です。



本来は葉を観賞するものですが、見せるに耐えない貧弱な姿です(なので逆光でごまかす)。
ベランダでの春蘭栽培は、やはり乾燥した風が強すぎるせいか、なかなかうまく行きません。

中国春蘭 「武漢素心」 (Cymbidium goeringii fma. album 'Wuhan Soshin')

2018-05-22 | シンビジウム
中国産シュンラン (Cymbidium goeringii) の素心です。産地から武漢素心という仮銘がついています。
素心についてはこちらを参照。
2015年10月に上野グリーンクラブの即売会で、宮崎蘭園から購入。

 2018/3/4撮影

中国で古代から尊ばれてきた「伝統的」な中国春蘭は、浙江省など南東沿岸部の地域に産し、
ジャスモン酸メチルを主成分とする爽やかな芳香をもちます。
しかし中国における春蘭近縁種の分布はより広く、雲南省や貴州省といった内陸奥地に産する朶朶香、豆辨蘭、蓮弁蘭、春剣蘭、
また台湾に産する糸蘭、ピアナン春蘭などが知られ、園芸的に注目されてきました。
(勉強中で受け売りなので、間違いがあったら教えてください)

一方でやや見過ごされている印象なのが、沿岸部と奥地の中間にあたる地域(湖北省や四川省)で、
ここには香りを殆どもたないタイプの春蘭が自生するそうです。ほぼ無香という性質は日本産・韓国産の春蘭と似ており、
そのため中国の中間地帯の春蘭との識別は難しそうです。私には違いが分かりません。

ともあれこの武漢素心は武漢(湖北省の省都)の名を冠し、ラベルと業者の説明を信じるならば中国の中間地帯タイプの春蘭です。
香りはごく弱く、鼻を近づけて嗅ぐと、かすかに柑橘系の匂いがします。
春蘭の素心の品種は非常にたくさん発見されており、さらに花型が良いもの、葉姿が美しいもの、香りが良いものなど、よりどりみどりです。
それらの優秀品種と比べると地味ですが、個人的に武漢に縁を感じており(行ったことはないですが)、この品種を選びました。

 2018/3/12撮影

ベランダから仰ぐ青空に透かせば、何でも一番に見えます。

 2018/5/20撮影

今年の新芽が出てきました。