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On The Road

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3-31

2010-01-25 20:25:22 | OnTheRoad第3章
 「あずさちゃんはハケンの看護婦だから、いつまでここにいるかわからない。言いたいことははっきり言えよ」とサトウさんに言われるまでそう思っていた。国家資格を持っている看護師もハケンの時代なんだ。
 運転免許と簿記しか資格を持っていない僕は仕方ないけど、看護師がハケンなんてひどい気がする。

 「アキエの病室で待ってるよ。しっかりやれよ」とサトウさんは3本めのタバコをもみ消して慌ただしく席を立った。さっきの女の子にお札を押しつけて、「後から来る看護婦さんの分も取って、お釣りはあのお兄ちゃんに渡してくれ」と言うのが聞こえた。

スズキさんの休憩時間は30分しかない。病院との往復時間を考えたら、正味20分ってところだ。聞きたいことはいっぱいあるけど、聞けることは少ないにちがいない。伝えたいこともあるから、聞くことはしぼらなければならない。

 僕をけっこう好きって言ったのは本当なのか? 本当ならどうして「会うのやめよう」と言ったのか? 今付き合っている人はいるの? いろいろ考えてみたら、一番知りたいことが見えてきた。
 僕たちにはもう時間はないのか? まだ時間はあるよね?と言ったほうがよさそうな気もする。


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