On The Road

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3-30

2010-01-24 20:44:04 | OnTheRoad第3章
 サトウさんがタバコを指にはさんで入ってきて、僕は右手を軽く上げた。
 「この店があるのを知ってたら見舞いも楽だったのにな」とサトウさんはタバコに火をつけた。
 水とお絞りを持ってきた女の子に本日のお勧めランチとコーヒーを説明されて、「そんなに勧められて言いにくいけど、灰皿が先。で、オレンジジュース」とサトウさんは言った。

 昨夜の焼酎2杯めからあとの僕の記憶はアイマイだけど、スズキさんのことをたくさん話したらしい。ノドが渇いて焼酎をガブ飲みしたのはなんとなく覚えている。
 サトウさんはアキエさんから僕がスズキさんの先輩らしいと聞いていて、僕の口からスズキさんの名前を聞いたときからカンドーの再会をたくらんでいたようだ。サトウさんはいたずらっぽく笑いながら、オレンジジュースを音を立てて飲んだ。
 お父さんより年上のサトウさんがどうして子供じみたたくらみを思い付いたのかはわからない。ここの看護師なのがわかったら、いつでも会いにこられるのに。


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