個別指導塾 ONE-S(ワンズ)のブログ

堺市上野芝にある個別指導塾です。進学から補習、不登校の子どもの学習サポートなど、さまざまな子どものニーズにこたえます

言い方の問題

2018-03-17 10:22:49 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

私はあまり経験がないのですが、知り合いの塾の先生たちからよく聞く話の中に、ご両親が子どもに「〇〇高校以上にいきなさい!」というものがあります。もちろんその多くは、子どもにもっと勉強をしてもらいたいから、はっぱをかけるという意味合いでの言葉でしょうし、どうして勉強してもらいたいかというと、少しでも偏差値の高い高校に行き、そして大学に進むことで就職が有利になり、将来子どもが苦労しないためという親心からの発言なんですね。お気持ちはとってもよくわかります。

社会に出て、いろいろな経験をした大人の視点から見ると、もちろん学歴があった方がいい、あって損はしない、なかったら就けない職業も多くあるため学歴があると選択の幅が広がる。それらすべては正しく、私も基本的には同じ意見です。ただ、正しいことだからといって、子どもたちの心には響くとはかぎりません。子どもたちも1人の人間ですから、その年齢に応じた自分なりの考えを持っています。その考えが甘かったり、世間知らずだったりするのは社会に出ていないまだ狭い世界で生きているのですから当たり前で、そこを責めてはかわいそうですし、「なぜわかってくれないのか」と子どもに対して腹を立てても仕方ありません。

私たちも、まだ子どもだったとき、自分の親や学校の先生の言うことをすべて理解し、その通りに行動してきたでしょうか?そんなことありませんよね。「言ってることはなんとなくわかるねんけどな」ということもありましたが、「この人何を言ってるねん、古い考え方やな。俺とは合わんわ。俺は俺の思う通りに生きていきたいねん」と思うことも度々ありました。この歳になってようやく、親や先生が言ってくれていたことの意味がわかったり、それに同意したりできますが、当時の私にはほとんど理解できませんでした。

このように、たとえ正しいことであっても、それを子どもに正確に伝えることは難しいのです。「学歴があった方が社会に出てから有利だ」というのは、具体的ではなく、そんなぼんやりしたこと言われてもピンときませんよね。自分が経験したこと、自分の知り合いが経験してきたこと、または統計資料などを用意して、より具体的に示してあげると少しは理解しやすいかもしれません。

ただ、まだ正しいことを一生懸命子どもに伝えることは良いことだと思うのですが、前述のように「〇〇高校以上に行きなさい。それより下は許さん!」のような言葉は最悪です。いくつか理由はありますが、一番だめな点はその情報は間違っていることです。将来的に日本でもトップの大学を狙っていて、その大学の合格者を輩出している高校に合格しなさいというのなら、まだ理屈が通っていて理解はできます(賛成はできませんが)。しかし、たとえば中堅高校のA高校とB高校ではいったい何が違うのでしょうか? A高校とB高校の卒業生の追跡調査をして、その後の就職先や年収、社会的な地位などの統計をとったうえで、明らかにA高校とB高校には差があるというのであれば、まだ理解できます(それでも賛成はできませんが)。しかし、それらのことを調べもしないで、自分が持っている高校に対するイメージだけで決めつけて、子どもに「A高校以上に行かなあかん。B高校には行かさんからな」などと言うのは絶対におかしいです。

こういう言い方が最悪なのは、他にも理由があり、子どもが言われた通りA高校以上を目指して勉強したとします。しかし、B高校以下しか受験できる学力が残念ながらつかなかったとします。そうするとたいていの場合は「頑張ったんやから、しかたないやん。B高校を受験したらいいよ」と言ってくれるでしょうが、子どもからしたら「あれほどB高校には行くなと親が言ってた高校しか自分は受験できんねんな。こんな高校行っても将来なんの役にも立てへんやろうな」と思ってしまいます。なぜなら、ずっと親がそう言ってきたからです。せっかく頑張って合格したとしても、喜びよりも残念な気持ちの方が強くなってしまいます。この時点で子どもの意欲は激減しており、自暴自棄になりさえします。

子どもの将来のことを考えてのことであったとしても、言い方を間違えてしますとそれが逆に子どもを苦しませることになってしまい、子どもの可能性を減らせてしまい、結果的に選択肢が狭くなってしまうこともあります。

一番いけないことは無関心だと思います。ですから子どものこと、子どもの将来のことを心配し、考えてあげることって、本当に素晴らしいことだと思います。だからこそ、その想いがきちんと子どもに伝わるような言い方をしなければとても、もったいないことですし、残念なことなのです。私も教育に関わるものとして、この点には特に気をつけて言葉をかけるようにしています。子どもたちの将来のために。


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