仲秋の名月となる本日
気心の知れた三名のお客様をお呼びして
月見の趣向を盛り込んで
正午の茶事をいたしました
普段生活しているリビングを
待合にしていますので
本棚などに目隠しをして
生活感がでないように工夫しています
台風一過
少し汗ばむほどの陽気でしたが
露地庭には
心地よい風も微かに吹いていたようです
迎え付けの後
蹲踞をお使いいただいて
ほぼ定刻にお席入り
兼中斎筆一行
「秋澄萬景清」
煮物椀は
銀杏ときくらげの真薯に松茸・青ゆず・いんげんを添えて
日立久慈浜名産のさより一夜干をいただいたので
焼物に使ってみました
ひろうす・小芋・菊菜の炊き合わせ
赤ずいきと枝豆のごま据aえ
子鮎 銀杏と栗
湯と香の物三種
初炭
一つ飾をするときは
天板の上に
羽根・香合を飾ってもよいと聞いています
主菓子 月見団子 鼓月製
後座の花
濃茶
茶入は瀬戸金華山広澤写
本歌は
「広沢の 池の面に身をなして
見る人もなき 秋の夜の月」の古歌をひいて
小堀遠州が命銘したと言われます
銀色の蓋裏は同じ遠州の好みで
月を偲んだ心持と伝えられます
干菓子 末富製
薄茶
茶碗は清閑寺窯 武蔵野
待合の出窓に芒のお供え
大阪の今日の月の出は17時39分
お帰りになるころに
お月様を見られたらと思い
いつも以上にゆるゆると茶事を運びましたが
お客様が退席されるころは
まだ西の空に明るさが残っておりました
帰り支度を整えたお客様を
玄関先までお見送りに出て
そのままご一緒に
少し遠くが見通せる場所まで
ぶらぶらと歩いて参りました
すると目の前に
ちょうど山からのぼったばかりの
まん丸いお月様が現れました
その場所に足をとめ
四人そろって
一年に一度の美しいお月様をしばらく眺めた後
あらためて挨拶を交わし
それぞれの方向へと
お別れいたしました