表千家一期一会

大寄せ茶会について

コロナ旋風が
ようやく遠のいていくにしたがい
しばらくお休みだった大寄せ茶会が
戻ってきつつあります

そのような中
昨日の稽古場で
大寄せ茶会についての
お話がでまして
私自身あらためて
考えさせられました

「定本 茶の湯表千家 下巻」を
開いてみますと
大寄せ茶会について
次のような記述がありました
(以下引用・抜粋)

大寄せ茶会といっても参会者は色々の場合があって
数百名・あるいは千名を超すような会になると
茶の雰囲気を保つことはなかなか難しい
(中略)
大寄せ茶会の長所
(一)お茶が小間の侘び茶だけに限られるとしたら
それを楽しむことのできる人は
ごく少数の限られた人だけということになる
この意味で
大寄せ茶会は存在の意義があると言える
(二)作法を知らない人でも気軽に参加できる
(三)客は各自随時に参加できる
(四)個人的には見られない貴重な道具を拝見できる
(五)服装なども気楽に参加できる

大寄せ茶会の欠点
これは人数が多いことがなんと言っても障害
(一)客を長時間待たせる
(二)接待が疎かになりやすい
(三)道具の拝見がゆっくりできない
(四)道具の展覧会のようになりやすい
(五)茶の静かな雰囲気を保つことが難しい

大寄せの茶会は小間の侘び茶ではないから
侘び茶に求めるものを
大寄せの会に求めることは無理である

しかし
亭主は客をもてなすのに誠心を尽くし
なるべく待たせないよう
たとえ点て出しのお茶でも
粗末にならぬよう
客の心になってもてなすべきであり
客もまた
亭主の心をくみ
一人一人が茶人としての心構えをもって
会の雰囲気を盛り上げてゆくべきである
(以上 引用・抜粋)

私は以前にも
大寄せ茶会の功罪について
このブログで言及したことがありますが
大体同じようなことを
書いたような記憶があります

正直なところ
私は個人的には
少人数の茶会・茶事には
大いに魅力を感ずるのですが
そもそも
本来のお茶の姿とは異なる
根本的な矛盾が内包されている
大寄せ茶会を
心底楽しいと思えることが
なかなか無く
大寄せとはこういうもの・・・
というところで
妥協していることが多々あります

しかしながら
会によっては
一会の茶事に招かれたに近い
満たされた心地に
させていただくことも
無いわけではありません

これまでお茶を続けてきて
そしてこれからも
まだしばらく続けていく上で
”大寄せ茶会”と
自分はどのように
かかわっていきたいのか

客としてまた席主の立場として
あらためて
自分自身に問いかけています


全てが多様化している現代において
「茶の湯」という文化そのものを
自分のできる範囲で
大切に育ててゆきたいという気持ちが
あることは否定できません

その一つの手段として
「大寄せ茶会」に関わっていくことは
微力ではありますが
今の自分に与えられている
役割の一つかもしれないとも思います

確かに大寄せ茶会は
茶道文化を支える
周辺の業界
例えば
茶道具商や職人
お茶屋さんや和菓子屋さん
和菓子職人など
多種多様な経済にも
大きく貢献する
社会的文化活動かと思います

ただそれが
比較的小規模の月釜などでは
席主個人の財力に
依存しているのも現実です

所謂「持ち出し」が
当たり前の世界

一方で
人数が多くなるということは
いやでも中味が薄くなるのは
やむを得ないという
大寄せ茶会が孕む虚しさ…

たとえ道具の力を持ってしても
数が増えて”盛会”となるほど
一人一人との関わりが
希薄になるというパラドックス

心と心の交流があってこそ
と思いつつも
少人数の茶会とは異質のものだからと
開き直らざるを得ない現実を
突きつけられた時の
身の置きどころの無さ…

私が望む大寄せ茶会
そして
私ができる大寄せ茶会とは…

今はまだ
答えは見つかりません

でもある意味
その答えを探しにいく冒険を
するのも面白いかなと
いう気持ちもあるような…

幸いなことに
私と全く心を同じくする
社中の方々がじっと
私を見つめて下さっています

最後に
最近河原書店より発刊された
「目利き~谷松屋八代戸田露吟覚書」(著・木津宗詮)
より対談の一部を抜粋させていただきます

木津:大寄せの茶会が当たり前という時代から
今は転換期になっているかもしれないですね

戸田:そうそう、君らこんな茶会をやっていたらいかんぞという
天の思し召しかもしれないと思います。(中略)
二時間・三時間待ちは当たり前・・・冷静に考えると
こんなことを平気でやっていたのかと思いますね。
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