今日はボクチン(木賃)に泊ることができた。殊に客は私一人で、二階の六畳一室にねそべって電燈の明るさで、旅のたよりを書くことが出来た。(中略)句はだいぶ出来た。旅で出来る句は、無理に作らないのだから、平凡でもその中に嫌味が少ない。
お経あげてお米もらうて百舌鳥ないて
露草が露をふくんでさやけくも
一りん咲けるは浜なでしこ
けふもぬれて知らない道をゆく
暗さおしよせる波がしら
はれてはっきりつくつくぼうし
とにもかくにも、どうしても私はこの旅で酒を揚棄しなければならない。酒はのんでものまなくてもいい境界に達しなければならない。飲んではならないと云ふ心持もよくないと思ふ。好きな酒をやめるには及ばない。酒そのものを味ふがよい。陶然として歩を運び悠然として山を観るのである。(「行乞記」)
例によって、酒がやめられない理屈が延々と。酒精に取り憑かれた男の本性をみよ。
お経あげてお米もらうて百舌鳥ないて
露草が露をふくんでさやけくも
一りん咲けるは浜なでしこ
けふもぬれて知らない道をゆく
暗さおしよせる波がしら
はれてはっきりつくつくぼうし
とにもかくにも、どうしても私はこの旅で酒を揚棄しなければならない。酒はのんでものまなくてもいい境界に達しなければならない。飲んではならないと云ふ心持もよくないと思ふ。好きな酒をやめるには及ばない。酒そのものを味ふがよい。陶然として歩を運び悠然として山を観るのである。(「行乞記」)
例によって、酒がやめられない理屈が延々と。酒精に取り憑かれた男の本性をみよ。