おかだ小児科医院公式ブログ

けが火傷のなつい式湿潤療法、江部流糖質制限食、渡辺派MEC食、おかゆから始めない離乳食、ボディソープを使わないスキンケア

子どもの糖質制限についての疑問に答える(1)

2017年01月02日 | 糖質制限
チャイルドヘルス2016年 Vol.19 No.11 2016-10-28子どもの栄養の最新情報
10 子どもでも糖質制限は意味があるの?~生活習慣病予防健診と栄養指導~…橋本友美先生著という記事が載っています。

それに対して、私の意見を述べます。
 最近「糖質制限が子どもを救う」三島学という本まで出版され、子どもにも糖質制限を勧める者が増えてきました。
 このチャイルドヘルスの記事はそのことに対する懸念であると思われます。私は5年前に江部康二先生の著書を読んで、糖質制限を開始し、腹囲92cmから82cmとメタボから脱し、さらに父が40歳代で発症した2型糖尿病の発症の恐怖から逃れることが出来ました。このように糖質制限実践者の一小児科開業医が子どもたちの食についいて関心をもち、考えていることをのべます。

●糖質制限とは
 >糖質制限とは、食事中の糖質の摂量を制限して
 まず、この定義は不十分なだけでなく、誤解を招く可能性が高いです。橋本先生も誤解されています。糖質制限とは、食事中の糖質の摂取量を制限して、必須栄養素である蛋白質、脂質の摂取割合を増やす食事です。いわば高蛋白、高脂質、低炭水化物食であります。MEC食(ミート、エッグ、チーズ)、断糖肉食、とも言います。

体重減少や血糖値の低下を目指す方法です
 肥満の方が、正しい糖質制限食(高蛋白、高脂質、低炭水化物食)をするとやせることが多いですし、食後高血糖、食後高インスリン血症が改善されます。
 それ以外に糖質過剰摂取がなくなったことにより、私たちは、食後の眠気がなくなったり、朝の目覚めが良くなったり、さらにはメンタルが安定したり、集中力が増した子どもたちを多く見ています。
 さらに、難治性てんかんの治療食として認められている、ケトン食や修正アトキンス食は全く糖質制限食(高蛋白、高脂質、低炭水化物食)であります。緩やかなケトン食でさえ、橋本先生のおっしゃる”極端な”糖質制限食です。

●成人における糖質制限
おおむね現況をまとめてあり、ここでは反論を控えます。ただ、糖質制限食にエビデンスがまだ無いと書かれていますが、現行のカロリー制限食もエビデンスレベルはコンセンサスであり、全く科学的エビデンスと呼べません。

● 子どもに糖質制限が勧められない理由
(1) エビデンスが少ないため
お示しになられたsystematic reviewを読みましたがおっしゃる通り、良いとも悪いとも書いていません。ただMeta-analysis indicated a greater reduction in BMI in the low-carbohydrate group immediately after dietary intervention とあり肥満が短期に改善することは裏付けられていると私には読めました。
 エビデンスが少ないということであれば、現在のカロリーコントロール食にもエビデンスはありません。ましてや脂質(1g9Kcal)を減らして、糖質(1g4Kcal)に置き換え、糖質量を総カロリーの60%にする食事法にエビデンスはありません。

(2) QOLの低下を招く可能性があるため
たしかに現代社会では、甘いものや糖質が溢れかえっており、その誘惑や友人付き合いもあり、糖質制限を続けることは、困難であり、最悪いじめの種になる恐れはあります。
 しかし、私達が関わっている糖質制限食を行っている子どもたちは、想像しているより遥かにクレバーです。糖質制限食(ケトン食)をしている事情はそれぞれですが、母親などの話を聞くと、友人たちとの軋轢もなく楽しくやっているようです。

(3) 食費がかさみやすくなる

たしかに糖質は安価です。しかし、肥満が解消し、小児が生活習慣病になりにくいとしたら、劇的に医療費がかかりません。
 さらには、きちっと栄養が取れていると、間食も少なくなり、ジュースやケーキやスィーツを欲しがらなくなります。もちろんスナック菓子には目もくれません。
 安ければいいのでしょうか。

(4) 糖質を多く含む食品である穀物や果物には多くのビタミン、ミネラルや食物繊維が含まれているため
 穀物にどのようなビタミン、ミネラルがどれくらい含まれているか、ご教授ください。
 糖質制限食の先駆者である江部康二は「季節の果物は適量食べる。海藻やキノコ、葉野菜はしっかり摂ること」と述べています。
 なお、現在の日本の果物は、あまりにも糖度が高く、本来の果物の良さが失われているというのは筆者の個人的感想です。

(5) 結果的に摂取エネルギーが減少する傾向があり、健康な成長を妨げる可能性があるため
最初に述べたように糖質制限食を十分理解しない人が、従来のカロリー制限食(脂肪悪玉説)の考えを捨てきれず、間違った糖質制限食(低脂肪、中蛋白、低糖質)を行った結果健康を害しているのです。
 健康な成長のためには十分な脂質と蛋白質が必要です。糖質にはカロリーはあっても、体を作る原料にはなりません。過剰摂取された糖質は、インスリンにより脂肪細胞で脂肪に合成されますので体重増加に寄与しているとはいえますが、骨格、筋肉などの原料にはなりません。
 糖質過剰摂取こそが、健康な成長を妨げているのではないでしょうか。


糖質制限に注意のいる方

2014年02月14日 | 糖質制限
糖質制限が週刊誌やTVで取り上げられています。
糖尿病の治療にも有効です。
しかし、インスリン注射及びインスリン分泌促進剤を飲んでいる方はインスリンや薬の休薬、減量をセずに糖質制限をすると重篤な低血糖に陥る可能性があります。
医師と十分ご相談の上、糖質制限を行ってください。
合併症のない糖尿病の方は当院でも糖質制限食を指導いたします。(ただしたばこをお吸いになる方は、ご遠慮ください)
下の表で赤字の薬(ジェネリックもありますので、違う名前かもしれません)がインスリン分泌促進剤です。

糖質制限

2014年01月29日 | 糖質制限
1月27日放送の「主治医が見つかる診療」「たけしのTVタックル」をご覧になられた方もいらしゃると思います。
私もこの放送で取り上げられた江部康二先生流糖質制限を2年前から行っています。左の写真は糖質制限を始める前74kgありました。
右の写真はスーパー糖質制限を開始しして6ヶ月後です。62kgまで減量しました。体調に異常はありません。
脳がブドウ糖しか栄養にできないというのは間違っています。
毎晩ワインや焼酎をいっぱい飲んでいるにもかかわらず、肝機能はGOT 31→22 GPT 27→15  γーGTP 26→21 と良くなっています。
卵や肉や油をいっぱい食べているにもかかわらず LDL(悪玉コレステロール)/HDL(善玉コレステロール)比が 130/61(2.13)から99/86(1.15)
タンパク質を摂り過ぎると悪くなる危険があると言われている腎機能も クレアチニンが 0.88 → 0.73 計算されたeGFRは71 → 86.7 と改善しています。
昔高かった尿酸値も6.3と全く上昇していません。

糖質制限は江部康二先生の本「満腹ダイエット」「主食をやめると健康になる」を読んでその通り実行すればだれでも簡単にダイエットが出来ます。
これらの本は当院近くの本屋さんにあります。
ただし重度の腎不全の方、重度の肝機能障害のかた、活動性の膵炎のかた、長鎖脂肪酸代謝異常の方は適応になりませんのでご注意ください。
1型糖尿病の方、2型糖尿病でインスリンや経口血糖降下剤を使用している方は糖質制限に理解のある医師のもとで行ってください。