おかだ小児科医院公式ブログ

けが火傷のなつい式湿潤療法、江部流糖質制限食、渡辺派MEC食、おかゆから始めない離乳食、ボディソープを使わないスキンケア

咳止めを飲むと咳が長引きます

2018年12月12日 | 
先日大阪医大で行われた近畿小児科外来研究会で、西村龍夫先生が発表されました。
詳しくはリンク先の抄録を御覧ください。
「咳止めを飲むと咳が長引く」
要は咳止めとしてアスベリンという薬を飲んだ人のほうが咳が長引いたということです。
理由はわかりません。メジコンも同じだと考えています。
当院では就学前の小児や乳幼児にアスベリンやメジコンを処方いたしません。

なお、欧米ではコデイン系の咳止めの小児への使用はずいぶん前から使用禁止になっています。
日本でも近いうちに使用禁止になりますが、従来からある薬に配慮して猶予期間が設けられました。
代表的な薬です。
コデインリン酸塩散1%「第一三共」
ライトゲン配合シロップ
カフコデN配合錠
セキコデ配合シロップ
ベンザブロックSプラス
ブロコデせき止め液
パブロンAG錠



抗ヒスタミン剤について

2018年11月14日 | 
鼻水があるとよく処方される抗ヒスタミン剤ですが、第一世代抗ヒスタミン剤は脳に移行し、眠気を催します。眠気だけでなく集中力の低下、学習障害、痙攣の閾値を下げることがわかってきました。
また、これらの薬は鼻汁を粘稠にして、鼻閉を長引かせると考える耳鼻科の先生もおられます。
そこで、私は鼻水に処方する薬ではないと考えています。

よく医療機関で出される第一世代抗ヒスタミン剤

テルギンG(タベジール、クレマスチン)
ペリアクチン(シプロヘプタジン)
ザジテン(ケトテン)
セルテクト
ポララミン*


市販の風邪薬にも入っていますので気をつけてください。

新潟の橋本先生のホームページです。

*第2世代ですが脳内移行量が多く、痙攣を起こしやすい薬に分類されます。

抗生剤(抗菌薬)について

2018年05月02日 | 健康
抗生剤(抗菌薬)はバイキンを殺す薬です。お子さんのほとんどの病気はウイルスによるもので、バイキンによるものではなく抗生剤(抗菌薬)は効きませんし、必要ありません。
不要な抗生剤の使用は耐性菌(薬のきかない菌)を作り出すだけです。
それ以外にも最近アレルギーになりやすくするということがわかってきました
新聞でもニュースになりました。
<抗菌薬>乳幼児は服用注意を アレルギー発症率1.7倍
5/2(水) 6:45配信 毎日新聞

先日の小児科学会では川崎病発症のリスクの可能性もあると言われていました。

抗生剤(抗菌薬)は決して危ない薬ではなく大切な薬です。必要があれば、適切な抗生剤(抗菌薬は使わなければなりません。
必要のない抗生剤(抗菌薬)、内服では効かない抗生剤(抗菌薬)を使わないことが大切です。
念の為とか喉が赤いねと言われ、抗生剤(抗菌薬)を処方されたら、バイキンの感染ですか、どんな菌がどこに感染しているとお考えですかと医師に聞いてみてください。そこで怒り出す医師には掛かってはいけません。



注 内服では効かない抗生剤(抗菌薬)
第3世代セファロスポリンこれも新聞にのりました。価値の低い医療/中 抗菌薬セファロスポリン 専門家「使用控えて」

<国内で使用されている主な第3世代セファロスポリン薬の商品名>
バナン、セフゾン、メイアクト、フロモックス、トミロン、セフスパン
これらの薬はほとんど吸収されず、便になります。DU薬(だいたいウンコ)という先生もおられるくらいです。


低血糖を起こす恐れのある抗生剤にも注意が必要です。

<メイアクト、フロモックス、トミロン、オラペネム>

また、他の薬が無効で、入院しなければならないが、外来でもう少し頑張ってみようというときに使う最終兵器のような薬を最初から出されることがあります。
<オゼックス、オラペネム>

これらの薬を出されたらその必要性を医師に聞いてみてください。
















麻しん(はしか)が沖縄で流行しています。

2018年04月22日 | 予防接種
麻しん(はしか)が感染拡大の恐れがあります。
現在、麻しんの流行の兆しがあると公表されております。麻しんは、強い感染力をもち、発熱、せき、鼻水、体の倦怠感などの症状が4~5日出て、肺炎や脳炎などを合併する場合もあり、過去に死亡例もあります。しかし、2回の予防接種を終了しておくことで、麻しんを発症する可能性が低くなり、感染予防につながります。
50歳以下で明らかに麻疹(はしか)にかかったことのない人、2回麻疹(はしか)のワクチン(麻疹ワクチンかMRワクチン、MMRワクチン)の接種歴のない方は自費になりますが、強く接種をお勧めします。
GWに沖縄に旅行にいかれる方は、ワクチン接種歴をご確認ください。2回接種されていない方は直前でも間に合いますので接種を強くお勧めします。なお高島市の中学校の修学旅行先が沖縄です。2回麻しんワクチンを接種されていない方は、接種を強くお勧めします。
麻しんの疑いのある場合は医療機関に予め電話で連絡の上、受診してください。
「はしかは一度はかかるもの」とか「こどものうちにかかっておいたほうがいい」とか「かかったほうが免疫が強くつく」と接種されない方もおられます。
ワクチンがない時代はそうでした。
はしかで死ぬなら、早いほうがいい。育ててから死なれては損だということです。
私もワクチンのない世代で、自然罹患しています。抗体価もすごく高いのではしかにはかかりません。
私は運良く重症化せず、亜急性麻しん脳炎にもなりませんでしたが、我々と同世代ではなくなった人や亜急性麻疹脳炎になった方も結構おられます。
もちろん自然罹患のほうが免疫は強く付きます。ヒトという種として正しいのは、自然罹患して強い個体のみが生き残ることでしょう。その反面、死亡したり後遺症を残すリスクはワクチンを接種して健康被疑を受けるリスクよりはるかに(桁違いに)高いです。




インフルエンザ治癒証明書について

2018年02月02日 | 健康
インフルエンザが大流行しています。おそらく今週か来週がピークだと思います。
ところで、県外の学校に通っている方が、インフルエンザの治癒証明を書かないと「出席停止」扱いにしないと学校からら言われたと来院されました。
インフルエンザ治癒証明書は書かしてもらいましたが、以下の文章もお渡ししました。

 まず、インフルエンザの出席停止期間は、「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日を経過するまで」と学校保健法で規定されています。
その理由は「発症後五日を経過した後になるとウイルスがほとんど検出されなくなる」という実験・臨床研究における報告がなされているからであります。
 医師の診断に基づき、学校保健安全法施行令 ( 昭和三十三年政令第百七十四号 ) では、 校長が出席停止の指示を行うこと ( 第 6 条第 1 項 )、出席停止の期間は省令で定める基準によること ( 第 6 条第 2 項 ) 等が規定されていいます。
 また、ウイルスの排出がなくなったかどうかということは、一般に医療機関で行われているインフルエンザウイルス抗原迅速検査ではわかりません。ウイルスが排出されていても抗原量が少なければ陰性になります。また、死滅したウイルスのDNAでも陽性になることがあります。生きたウイルスを見つけるためにはPCR法が必要ですが、一般の医療機関では行なっておりませんし、行っていたとしても自費になります。
 すなわち、「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日を経過」していれば、インフルエンザは臨床的に治癒していると判断できます。この期間をすぎれば、ウイルスがほとんど検出されなくなるということです。
 なお、インフルエンザ予防に患者がマスクをすることは意味があっても未罹患者がマスクをするのは意味が無いと考える医師が多いです。過度の手洗い、消毒薬を用いた『うがい』も逆効果であるとの意見もあることを申し添えておきます。
 十分な効果が期待できるかどうかは議論がありますが、エビデンスのあるインフルエンザ予防法はワクチンの接種率の向上であります。学校現場での職員生徒も含めたインフルエンザワクチン接種のみがインフルエンザ流行蔓延予防にエビデンスがあります。もちろんワクチンをすればインフルエンザに罹らないというわけではなく、あくまで集団予防のエビデンスです。