外はまるでこの世の終わりのように暗くなり、強風にあおられた黄砂で黄色くかすんでいます。
花粉症とは認めていませんが、かゆみ、鼻水、のどの痛みがひどい今日この頃です…。
未来はどうなるのだろうと考えさせられるようなこの天気…。
ところで鳥猟顛末記、途中なのにずいぶんあいてしまいました。
記憶が新しいうちに書いておかねば!
最初はヒヨドリ専門のような鳥猟でしたが、やはり鴨の魅力に勝てず朝もやのかかる絶好の天気の日に鴨撃ちに出かけました。
香川県は溜め池王国、家の近くにもたくさんの溜め池があります。
まずは一番近いところからスタート。
最初の池には鴨が居ず、とりあえず2番目の鴨場へ。
2番目の鴨場には池が密集していて、5個くらいの大小の池が近接しています。
そのうちの1つにはコガモの小群がいました。
そこはスルーして次へ。
こっそり次の池をのぞくと何十羽というハシビロガモがぷかぷかと浮かんで平和そうに泳いでいます。
こんな大群が居るなんて!
近所にこんな場所があるとは思いもよらなかったので、かなり感動しました。
ただ、初めての場所で初心者なのでなかなか撃つかどうか決められずしばらくぐるぐると池めぐりをしていました。
ぐるぐるしていても仕方がないので、ハシビロガモの大群のところへ戻り銃を携えて池の堤を登りました。
こっそりとのぞくとカモたちはやはりのんびりと平和そうにしています。
くるくると泳いだり餌を食べたり、眠っていたり…。
あまりにかわいくて撃つのは忍びない…そう思いましたが、今日はカモ観察に来たのではありません。
覚悟を決めて、空気銃を構えて発射!
…見事に外れました。
銃声でカモたちは一気に飛び立ちます。
空気銃は一発しか弾が出ないので、散弾銃のように飛び立った獲物に命中させることはできません。
なので、一度撃って飛び立ってしまえばそれで終わりです。
何十羽もの大群は空中でいくつかの群れにわかれ、空中を旋回します。
ある群れはすぐ隣の池へ、ある群れは山の向こうの池へ、そしてある群れは遠く彼方へ飛び去りました。
そんな中、池の上空を幾度か旋回して数羽の群れがふたたび舞い降りてきました。
2度目のチャンスです。
結構離れた場所でふたたびのんびりと泳ぎ出したカモのうちの一羽に狙いを付けます。
この私の選択でカモの命を握っていると思うととても責任を感じます。
狙いを付けて…引き金を引きました!
バスっと言う手ごたえとともに、水面上のカモがバタバタと暴れはじめました。
当たった!
しかし、当たったらすぐにコテっと動かなくなるといったイメージとは違って、カモはひどく暴れてもがいています。
ドキドキと緊張してどうしようかと戸惑いました。
しばらく見ているとカモはそのうち静かになり、池の土手際で動かなくなりました。
急いで車に戻り、カモ回収用の釣竿を持って現場に戻ります。
水際のアシの葉の近くに茶色いカモが浮いていました。
釣竿を持つ手もおぼつかなく、なんとかカモを回収。
釣竿の先に引っかかったカモはズシリと重たい感じがしました。
回収したのはハシビロガモのメスでした。
弾の跡を見ると、見事に頭部に命中しています。
ハシビロガモは他のカモに比べてくちばしの先が広くなっています。
カモの口をじっくりと観察するのは初めてのことでしたが、口の中はクジラのひげのように細かいブラシがぎっしりと並んでいました。
これで藻やプランクトンを濾しとって食べるそうです。
カモは獲ったらすぐに腸抜きという作業をします。
腸の内容物が発酵して臭いを出し、肉質が落ちるのを防ぐためです。
やり方だけは師匠に聞いていたのですが、実際にやるのは初めてです。
とりあえず肛門の周りの羽をむしり、ナイフで肛門の周りを切りとりそのまま腸を出します。
途中で切れてしまい海のようなしょっぱい香りがしました。
家が近かったので一旦家に戻り腹の中を洗ってきれいにしました。
カモ撃ちにはナイフや水やタオルが欠かせないと気が付きました。
まだ時間が早かったので、以前目を付けていた池へも行ってみました。
道路際に車を止め、銃と釣竿を持って池の堤を静かに登ります。
そうっとのぞいてみると、手前に一羽のコガモが泳ぎ、その奥に数羽のマガモが泳いでいました。
コガモは異変に気付き、少し距離を取ってマガモの近くまで移動して行きました。
マガモはまだ気が付かず、のんびりと泳いでいます。
静かに銃を構え、発射!
今度も当たったようですが、バタバタとしているものの泳いで逃げようとしています。
どうやら半矢(致命傷にならない状態)のようです。
私の空気銃は5連発式なので、急いで次の矢を放ちます。
2の矢3の矢とあわてて撃ちましたが、マガモはバタバタと暴れながら見えない入りくぼんだ場所へと流れて行きました。
致命傷になった自信もなく、あわてて池の反対側へ回り込むことにしました。
そこそこ大きな池だったので、回り込む道を探して土手沿いを行きます。
藪の切れ目に竹やぶがあり、そこを登って畑に出て、眼下に池が見えました。
入江のようになった場所にカモが浮いています。
どうやらうまく仕留めていたようでした。
その場所へ下りるために、放棄された竹林を抜けました。
竹林はあまりに荒れていて暗く枯れた竹が倒れ交錯し、ジャングルジムのように行く手を阻みました。
服や銃や釣竿などあらゆるものに引っかかり、まるでそこへ行くなと言わんばかりに私の前に立ちはだかります。
しかし、これを越えていかねばせっかく命をもらったマガモまでたどり着けません。
息を切らし、肩で息を切りながら、何とかマガモの場所まで降りることに成功しました。
マガモは入江の真ん中あたりでぷかぷかと浮いていました。
釣竿を用意して、なんとか岸近くまで引き寄せましたが、岸の近くには細い藪が繁っていたり、水に沈んだ竹の枝が出ていたりしてうまくマガモを引き上げることができません。
岸から水面までは落差が1メートルほどあり、そのままほぼ垂直に深くなっています。
少し躊躇しましたが、マガモまではほんの少しの距離です。
意を決して池の際まで降りてマガモを手づかみして上げることにしました。
細い灌木の茂みの根元をつかみ、少しだけ突出した崖の上に足をかけます。
長靴のくるぶしまで水につかり、このまま滑ったら池の中へまっさかさまでダイブするだろうな、などと妄想しながらマガモへ手をのばします。
なんとかカモをつかみ、ぐっと引きあげました。
その予想外の重さ!
ハシビロガモより大きいマガモはまだ温かく、しかもずっしりと重いのでした。
カモを陸に上げ、次に私も何とか這い上って無事に生還、ほっとしました。
よく見るとなかなか立派なオスのマガモです。
師匠からはマガモを獲れ!と言われていたので、さすがにちょっと嬉しかったです。
しかし、突進して向かってくるイノシシと戦うのと違って、のんびり平和そうにしているカモをこっそり狙い撃ちするというのは罪悪感を感じて気持ちのいいものではありません。
これってどうなのかな~と複雑な心境でしたが、とりあえず始めたばかりの鳥猟です、やると決めたからにはある程度まできわめてそれから判断することにします。
帰りはぐるっと池の周りをまわりこみ、車まで戻りましたが、なんと帰り道の方が断然楽でした。
あの苦労は一体なんだったのか…。猟場の下見はきちんとしておくに限ります。
反対側に整備された竹やぶがあり、今度来たら絶対こちら側から来ようと誓ったのでした。
ところで、マガモは他のカモより大きく、肉もたくさんとれておまけに美味ということで珍重されています。
そういうわけでカモ猟では一番の高級品。猟師にもよく狙われます。
というよりマガモもしくは次に大きくてうまいカルガモしか狙わない場合がほとんどらしいです。
しかし、いろんなことを知りたいのでいつか狩猟対象のカモを全種類獲れればなぁと思っています。
野生のカモに触れることは普段の生活ではありません。
鳥たちの体温がどんなに温かくて、体の構造がどんなに素晴らしくて、どれほど美しい羽根を持っているのか、そしてどんな味がするのか…すべてを知ることができるのは猟師の特権かなと思います。
獲りすぎず、少しだけ分けていただく気持ちで鳥猟を続けたいと思います。
つづく
花粉症とは認めていませんが、かゆみ、鼻水、のどの痛みがひどい今日この頃です…。
未来はどうなるのだろうと考えさせられるようなこの天気…。
ところで鳥猟顛末記、途中なのにずいぶんあいてしまいました。
記憶が新しいうちに書いておかねば!
最初はヒヨドリ専門のような鳥猟でしたが、やはり鴨の魅力に勝てず朝もやのかかる絶好の天気の日に鴨撃ちに出かけました。
香川県は溜め池王国、家の近くにもたくさんの溜め池があります。
まずは一番近いところからスタート。
最初の池には鴨が居ず、とりあえず2番目の鴨場へ。
2番目の鴨場には池が密集していて、5個くらいの大小の池が近接しています。
そのうちの1つにはコガモの小群がいました。
そこはスルーして次へ。
こっそり次の池をのぞくと何十羽というハシビロガモがぷかぷかと浮かんで平和そうに泳いでいます。
こんな大群が居るなんて!
近所にこんな場所があるとは思いもよらなかったので、かなり感動しました。
ただ、初めての場所で初心者なのでなかなか撃つかどうか決められずしばらくぐるぐると池めぐりをしていました。
ぐるぐるしていても仕方がないので、ハシビロガモの大群のところへ戻り銃を携えて池の堤を登りました。
こっそりとのぞくとカモたちはやはりのんびりと平和そうにしています。
くるくると泳いだり餌を食べたり、眠っていたり…。
あまりにかわいくて撃つのは忍びない…そう思いましたが、今日はカモ観察に来たのではありません。
覚悟を決めて、空気銃を構えて発射!
…見事に外れました。
銃声でカモたちは一気に飛び立ちます。
空気銃は一発しか弾が出ないので、散弾銃のように飛び立った獲物に命中させることはできません。
なので、一度撃って飛び立ってしまえばそれで終わりです。
何十羽もの大群は空中でいくつかの群れにわかれ、空中を旋回します。
ある群れはすぐ隣の池へ、ある群れは山の向こうの池へ、そしてある群れは遠く彼方へ飛び去りました。
そんな中、池の上空を幾度か旋回して数羽の群れがふたたび舞い降りてきました。
2度目のチャンスです。
結構離れた場所でふたたびのんびりと泳ぎ出したカモのうちの一羽に狙いを付けます。
この私の選択でカモの命を握っていると思うととても責任を感じます。
狙いを付けて…引き金を引きました!
バスっと言う手ごたえとともに、水面上のカモがバタバタと暴れはじめました。
当たった!
しかし、当たったらすぐにコテっと動かなくなるといったイメージとは違って、カモはひどく暴れてもがいています。
ドキドキと緊張してどうしようかと戸惑いました。
しばらく見ているとカモはそのうち静かになり、池の土手際で動かなくなりました。
急いで車に戻り、カモ回収用の釣竿を持って現場に戻ります。
水際のアシの葉の近くに茶色いカモが浮いていました。
釣竿を持つ手もおぼつかなく、なんとかカモを回収。
釣竿の先に引っかかったカモはズシリと重たい感じがしました。
回収したのはハシビロガモのメスでした。
弾の跡を見ると、見事に頭部に命中しています。
ハシビロガモは他のカモに比べてくちばしの先が広くなっています。
カモの口をじっくりと観察するのは初めてのことでしたが、口の中はクジラのひげのように細かいブラシがぎっしりと並んでいました。
これで藻やプランクトンを濾しとって食べるそうです。
カモは獲ったらすぐに腸抜きという作業をします。
腸の内容物が発酵して臭いを出し、肉質が落ちるのを防ぐためです。
やり方だけは師匠に聞いていたのですが、実際にやるのは初めてです。
とりあえず肛門の周りの羽をむしり、ナイフで肛門の周りを切りとりそのまま腸を出します。
途中で切れてしまい海のようなしょっぱい香りがしました。
家が近かったので一旦家に戻り腹の中を洗ってきれいにしました。
カモ撃ちにはナイフや水やタオルが欠かせないと気が付きました。
まだ時間が早かったので、以前目を付けていた池へも行ってみました。
道路際に車を止め、銃と釣竿を持って池の堤を静かに登ります。
そうっとのぞいてみると、手前に一羽のコガモが泳ぎ、その奥に数羽のマガモが泳いでいました。
コガモは異変に気付き、少し距離を取ってマガモの近くまで移動して行きました。
マガモはまだ気が付かず、のんびりと泳いでいます。
静かに銃を構え、発射!
今度も当たったようですが、バタバタとしているものの泳いで逃げようとしています。
どうやら半矢(致命傷にならない状態)のようです。
私の空気銃は5連発式なので、急いで次の矢を放ちます。
2の矢3の矢とあわてて撃ちましたが、マガモはバタバタと暴れながら見えない入りくぼんだ場所へと流れて行きました。
致命傷になった自信もなく、あわてて池の反対側へ回り込むことにしました。
そこそこ大きな池だったので、回り込む道を探して土手沿いを行きます。
藪の切れ目に竹やぶがあり、そこを登って畑に出て、眼下に池が見えました。
入江のようになった場所にカモが浮いています。
どうやらうまく仕留めていたようでした。
その場所へ下りるために、放棄された竹林を抜けました。
竹林はあまりに荒れていて暗く枯れた竹が倒れ交錯し、ジャングルジムのように行く手を阻みました。
服や銃や釣竿などあらゆるものに引っかかり、まるでそこへ行くなと言わんばかりに私の前に立ちはだかります。
しかし、これを越えていかねばせっかく命をもらったマガモまでたどり着けません。
息を切らし、肩で息を切りながら、何とかマガモの場所まで降りることに成功しました。
マガモは入江の真ん中あたりでぷかぷかと浮いていました。
釣竿を用意して、なんとか岸近くまで引き寄せましたが、岸の近くには細い藪が繁っていたり、水に沈んだ竹の枝が出ていたりしてうまくマガモを引き上げることができません。
岸から水面までは落差が1メートルほどあり、そのままほぼ垂直に深くなっています。
少し躊躇しましたが、マガモまではほんの少しの距離です。
意を決して池の際まで降りてマガモを手づかみして上げることにしました。
細い灌木の茂みの根元をつかみ、少しだけ突出した崖の上に足をかけます。
長靴のくるぶしまで水につかり、このまま滑ったら池の中へまっさかさまでダイブするだろうな、などと妄想しながらマガモへ手をのばします。
なんとかカモをつかみ、ぐっと引きあげました。
その予想外の重さ!
ハシビロガモより大きいマガモはまだ温かく、しかもずっしりと重いのでした。
カモを陸に上げ、次に私も何とか這い上って無事に生還、ほっとしました。
よく見るとなかなか立派なオスのマガモです。
師匠からはマガモを獲れ!と言われていたので、さすがにちょっと嬉しかったです。
しかし、突進して向かってくるイノシシと戦うのと違って、のんびり平和そうにしているカモをこっそり狙い撃ちするというのは罪悪感を感じて気持ちのいいものではありません。
これってどうなのかな~と複雑な心境でしたが、とりあえず始めたばかりの鳥猟です、やると決めたからにはある程度まできわめてそれから判断することにします。
帰りはぐるっと池の周りをまわりこみ、車まで戻りましたが、なんと帰り道の方が断然楽でした。
あの苦労は一体なんだったのか…。猟場の下見はきちんとしておくに限ります。
反対側に整備された竹やぶがあり、今度来たら絶対こちら側から来ようと誓ったのでした。
ところで、マガモは他のカモより大きく、肉もたくさんとれておまけに美味ということで珍重されています。
そういうわけでカモ猟では一番の高級品。猟師にもよく狙われます。
というよりマガモもしくは次に大きくてうまいカルガモしか狙わない場合がほとんどらしいです。
しかし、いろんなことを知りたいのでいつか狩猟対象のカモを全種類獲れればなぁと思っています。
野生のカモに触れることは普段の生活ではありません。
鳥たちの体温がどんなに温かくて、体の構造がどんなに素晴らしくて、どれほど美しい羽根を持っているのか、そしてどんな味がするのか…すべてを知ることができるのは猟師の特権かなと思います。
獲りすぎず、少しだけ分けていただく気持ちで鳥猟を続けたいと思います。
つづく
なんか・・・いろいろ思い出しちゃいました。
5.5mm?
いろんな意味で命を感じます。
イラストとのギャップが笑えるけど
求む 続編
それにしても鳥って、そんなにすぐに腸を取り出さないといけないんですか?川魚よりも傷みやすいくらいですか?
キジバトはうちの近くだと人に馴れているのか3mくらいにでも逃げ出しませんが、これが武器を(パチンコですが)持つと、5mと近寄れないんですよね。なんでわかるのか、殺気が感じられてしまうんでしょうか?
次回からもこっそりのぞいてみてください。(笑)
その通り、5.5ミリですよ~!
番犬70%愛玩犬30%の割合で働いてます。