みどりのスケッチブック

いなかのくらしと身近な自然のスケッチブック。

鳥猟顛末記 最終日 長い一日

2013年03月21日 | 鳥撃ち猟師
なかなか現在に追いつけず、4月が来ようとしているのに未だに2月の話を書いてます。
なさけなす。
記憶もだんだん薄まってきてますが、記録としても残したいのでしばしお付き合いのほどよろしくお願いします。


いよいよ猟期最終日、絶好の曇り空です。
最終日は目標がてんこ盛り。
いや、目標と言うよりは妄想か…。
カモを数羽、夢のキジバトを数羽、ヒヨを数羽とれればいいな~と能天気に出かけました。(←よくばり)

まずはいつもの定番コース、近所の池めぐりから。
前にハシビロガモの大群が居た場所は私が荒らしたせいかカモの数が減ってはいましたが、数羽のカモが。
ハシビロガモ、コガモのようです。
撃つも外れ。
最終日はあっという間に終わってしまいそうなので、次々に池を回ります。
前回マガモを獲った池に行ってみると、ふたたびマガモが居ます。
前回のようにのんきに藪の下へ隠れていますがまる見え。
しめたとばかりに狙いを付けて撃ちました。

が、当たりません!
驚いているカモに向かって続けて2矢を放ちます。



ふたたび驚いたカモは飛び上がって枯れ竹を乗り越え、その勢いで飛び立っていきました。
その様子がなんだか滑稽で、ちょっと笑ってしまいました。
まさに肝がつぶれる思いがしたことでしょう。
飛んでって逃げろや~い。今日で猟期は最後だぞ~!
逃がして残念なような、ちょっとほっとしたような気持ちになりました。

この後も次々とめぼしい池を回り、行くたびに群れが居るのですがなかなか当たりません。
一通り定番コースをめぐっても収穫はゼロ。

くそぅ、最終日なのにボウズになるのか!

心ばかりが先走って、なかなか獲物に当たらないのでした。
そうしてとうとう午前中が終わり、お昼も過ぎたころ…
イノシシの猟場の近くを走っているときに、道端の田んぼからキジバトが飛び出しました。

あ、キジバト!

ここへ来るまでにも何度か遭遇していたのですが当たらずに、手こずっていた相手です。
午後も過ぎて諦めと疲れで、少々どうでもいい気分になっていたのですが、とりあえず近くの木にとまった一羽に狙いを付けてみることにしました。

気持ちは落ち着いて、ゆっくりと引き鉄を引きます。

パスッ!

手ごたえと共に、ハトが木の枝の上から真っ逆さまに落ちて行くのが見えました。
茫然…
また外れて飛び立っていくものだと思って引き鉄を引いたので、ハトが落ちたのが信じられずしばし立ちつくしてしまいました。

や、やったぞ…

ハト獲ったどー!!


今期はハトは獲らずに終了かと諦めていたので、じわじわと喜びがこみ上げてきました。

念願のキジバト、とうとう仕留めた~!!

と、喜びに浸っている場合ではありません。
獲物は回収するまで手に入れられたとは言えないのです。
しかも、今回のハトは…


↑この写真の左から2番目の木の枝にとまっていました。
というわけでハトが落ちたのはこのうっそうとした笹藪の中…。

NOoooo!
マダニ必至の道なき道を行かないと行けません。
が、せっかく命をもらったのですからこんな藪で諦めたりはできません。
どんな道でも獲物のために突き進むぜー!!

あちらこちらから攻撃してくる笹藪とイバラをかき分け、格闘しながらなんとか木の根もとへ。
すると…



楽な道あったんかい!!

汗だくになりながら見つけたのは木のすぐ向こう側を走る農道でした。
いや~、途中からそんな気はしてたんだよね…。

気を取り直して辺りを探すと、念願のキジバトが藪の中に落ちていました。
向こうを向いて木の枝に止まっていたので、弾は背骨に命中したようです。

拾い上げると、まずその美しさに感動です。
腹側のピンクがかったグレーの柔らかい羽根。
キジバトのピンクは蛍光ピンク、ただの灰色のハトではなくその色どりは様々な色味を帯びています。
キジバトの妖艶さを引き立てるのはやはり目元と足の紫がかった蛍光ピンクではないでしょうか。


うろこ模様と呼ばれる翼の模様。
まぶたは薄くて閉じていても目のオレンジ色が透けて見えました。
蛍光ピンク、グレー、オレンジ、キジバトの色のイメージです。

猟期最終日に念願のキジバトをもらって、鳥の神様に感謝しました。
しかし、ここで満足して終わるオイノコではありません。
次の獲物目指して、ふたたび行動開始です。

ここからは全くの新天地、今まで行ったことのない池にまで足をのばしてみました。

そして…

コガモ、ハシビロガモに撃ちかけるも失敗、次の大きな池にはマガモの大群が!!
誰も猟場にしていないのか、30羽近いマガモたちがのんびりと暮していました。

ぬおおおおおお、これは~…。

正直マガモは2羽も獲れたからもういいか…と思っていたのですが、こんな大群を見たら放ってはいおけません。
とにかく近くのカモから狙いを付けて撃つ!撃つ!撃つ!
…乱暴者です。

しかし、どれも当たらずほとんどのカモは飛んで行ってしまいました。

そして、まだのんきそうに池のほとりのコンクリートのそばでぼーっとしていたマガモを発見。
ちくしょう!今度こそ!!

狙いを付けて、発射!

カモのすぐ左側に着弾。
驚くカモ!



続けて二の矢はカモの右側へ!
飛び上がって驚くカモ!

訳も分からず命からがらのていで逃げ出すカモ…

またも逃げられましたが、なんだか滑稽なやり取りでまたも失笑。
不謹慎ですが、マガモはなんでこんなにどんくさいのかと愛着がわいてしまいます。
今日で最後、もう撃たれるなよ~!ちゃんとシベリアへ帰れよ~。
なんて、撃っといてそんな気になってるのですからひどいもんです。

やれやれとその後近くの池でヒドリガモの大群と格闘し、まんまと逃げられ、疲れきっていつもの縄張りへと引き返すことにしました。

午後も半分ほど過ぎ、いつもの猟場へ戻ると午前中に回った池にもう一度カモが来ているかもしれないと様子を見に行きました。
すると、土手からすぐ近くの絶好の場所にヒドリガモが浮いて眠っています。
これはチャンス!

いろいろなカモのことを知りたいので、まだよく知らないヒドリガモはぜひ獲りたい獲物のうちの一つです。
土手から静かに回りこんで、ゆっくりと狙いを付けます。
2羽眠っているうちの一羽、私がどちらを選ぶかで生死が別れると思うと複雑な気分になりますが、じっと狙いを付けます。
引き鉄を引き、パン!という音と共に狙いを付けた一羽が暴れはじめました。
もう一羽は驚いています。
続けて2矢目、命中です。
もう一羽は危険を察知して飛んで行きました。

なんとか最終日、こうしてヒドリガモも獲ることができました!
よかった!!

が、回収するまでは安心できません。
この時間帯はひどく風が強く、釣竿を用意する間にカモは少しずつ風下へと流されて行きました。
どんどん流されるカモにあわてて釣り針を投げかけますが、焦れば焦るほど釣り針は突拍子のないところへ飛んでいきます。
30回以上投げるころには、カモは向こう側の岸から投げたほうが近いところまで流されていました。
とほほ…しかし池なので、海まで流される心配がないのが良いところです。



こうしてずいぶん釣竿を振らされましたが、岸から5メートルのところまで流されて、やっと回収することができました。
ずいぶんの時間のロスですが投げ釣り初心者なので仕方がありません。



念願のヒドリガモ、メス。
首と頭に当たっていました。

キジバトのみならず、ヒドリガモも獲れました。
鳥の神様、ありがとう!

しかし、貪欲なオイノコは暴走が止まらず次のターゲットをヒヨドリに変更することにしました。
もうすぐ夕暮れ、猟の時間もそろそろ終わりに近づいてきました。

近くの猟場に移り、ヒヨドリを待ちます。
ところが、ヒヨドリを撃っているときに銃の様子がおかしいのに気が付きました。
どうも弾が出ている様子がないなと思っていたら、弾倉を回転させるレバーが硬くて動かないのです。
おかしいな~?
強引に操ると、バキッと音がしてレバーが軽くなりました。

や、やべぇ…

きっと何かが壊れた。

青くなって様子を見るもよくわかりません。
とりあえず撃ってみると弾は出ません。
弾倉が回転しないのだから当然ですが、最後の最後で壊れるなんて良かったのか悪かったのか…。

あと一回カモを撃ちに行って終わろうと思っていたのでとんでもなく悔しいです。
しかも、ヒヨドリは1羽しか獲れませんでした。
先輩猟師のIさんにその猟場出会ったのですが、ヒドリガモはまずいと罵られたので悔しくてもう一羽カモを獲ろうと思っていたのに…。

しかたなく師匠に電話して猟果を報告がてら相談してみると、弾倉は手で回せないのか?との話。
確かに…。
試しに手回しで撃ってみるとちゃんと弾が出ました。

がぜんやる気になって、最後の勝負。
猟は日没の時間までというルールになっています。
もう夕暮れが近くなっているので、急いで近場の池に向かってGO!です。

最後に獲りたいのはコガモです。
コガモはとてもおいしいと聞いていました。
以前コガモが居た茂みのそばにそっと近寄ると…

いた!

雄のコガモです。
警戒していますが飛び立つ様子はありません。

良く狙って…

パスッ!

当たった!!

最後の最後でコガモを仕留めることができました。
神様ありがとう~!
コガモにとったら運の悪い話ですが、最後の最後で恵みを頂きました。



雄のコガモ。
小さいカモですが、味は抜群とのことです。
前々から獲りたいと思っていたカモなので、本当にうれしかったです。

猟期最終日、へとへとになりながらなんとか獲物を頂戴することができました。
こうして猟期最終日、長い長い一日は終わったのでした。

キジバト1
ヒドリガモ1
ヒヨドリ1
コガモ1

神様に感謝です。
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8 コメント

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燻製、遅かったですね。 (kent)
2013-06-10 07:22:37
池は河と違って流れてしまわないけど、カモキャッチャーも届かず、風もないときは困りますね。 家の真ん中で止まり1間もニラメッコしましたがあきらめたことがあります。 スコープで倍率を上げれば、しっかり狙えるけど、このときたいがい“いただき!、カモ鍋、燻製”などとった後のことを考えながら打つと対外失中します。 命を頂くそのあとのことを考えてのことで真摯に対面していないのでしょうね。マガモ(青首)、コガモは特においしいです。2番か3番にカルガモが入りますが、コガモは歩留まりが悪いので捕獲しない人もいます。 ところで猟をしない漁をする友人に教えてもらったソミール液のレシピーでキジバトを試してみてください。猟友2人の絶賛の味でした。塩味は好みで加減してみてください。
<レシピURL>
http://www.ne.jp/asahi/mshr/kent/smoke/
返信する
kentさんへ (オイノコ)
2013-06-10 20:11:09
レシピありがとうございます!
ハーブや野菜の入ったかなり本格的なものですね。
レシピを見ているだけでおいしそうです。(笑)
この燻製を味わうためにはカモを獲らないとね。
今年青森で猟をするかどうか思案中ですが、かなりやりたい気持ちに傾いてます。
返信する
小鳥の燻製 (kent)
2013-06-11 06:46:58
ヒヨドリ、キジバトでも十分おいしいいですよ。 それにしてもイラストがじょうずですね。 私も狩猟をしますので、弾が飛んできたときの鳥の表情がよく出ています。 「女山賊ダイアリー」でもだされたらいかがでしょうか? 
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kentさんへ (オイノコ)
2013-06-11 22:35:38
やっぱり!
ああいう表情しますよね?

女山賊ダイアリー、女が付くと妙にリアルな感じになりますね。(笑)
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ソミール液 (kent)
2013-06-11 22:59:49
絵はまったくその通りです。 何回この絵の情景を見たことか、絵をみて思い出して笑ってしましました。
ソミール液は友人がこのお店に伝授してもらったと思います。 葉山のオーガニック料理店です。オーナーは田中みどりさん。 私が獲ったマガモ、コカモ等こちらにおすそ分けしたと言っていました。私はまだそちらに伺ってません。
HP:http://www.nommeliere.com/
Facebook:https://www.facebook.com/nommeliere.midobiotique
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kentさんへ (オイノコ)
2013-06-12 09:18:10
ご紹介ありがとうございます。
HP拝見しました。
素敵なお店ですね!
メニューも独特で面白いですね。
神奈川方面に行くことがあれば、訪れてみたいです。
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ノムリエール (kent)
2013-06-12 10:36:16
もし訪問の機会があれば、お節介ですが紹介者は葉山在住のヨットの方→狩猟の方→オイノコさんで通じると思います。 またFacebookを通じてコンタクトされるのみ一考かと。
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kentさんへ (オイノコ)
2013-06-14 11:06:40
ありがとうございます。
しばらく青森でいますので、たぶんかなり先の話になると思いますが、機会があればそのようにしたいと思います!
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