おへそのひみつ 

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血の味<沢木耕太郎>

2005年07月18日 | 
中学三年の冬、私は人を殺した。ナイフで一突きしたのだ。ナイフはBONEというアメリカ製のもので、刃渡りは八・七センチだった。

15歳の時に殺人を犯した男。彼は少年院で過ごした2年間を代償に殺人の記憶を封じ込めることができるようになったと思っていたのだがそれは違っていた。そして、ふとしたきっかけから過去の記憶を取り戻してしまう。
女装した中年男との出会い、嫌悪感を覚えつつも元ボクサーだという男の話に興味を持ち近づいていく少年は、自らも走り幅跳びで突然跳べる事ができなくなり挫折を味わっていた。そして・・・


衝撃的な文章に思わず惹かれ、一気に読み出した沢木耕太郎著の
「血の味」です。
退屈な授業、腹のたつ教師、深く交わることのない同級生・・・思春期の苛立ちはどこにでも普通に転がっていると思う。そしてそれは容易に止めることもできない。自分自身にもよくわからない感情だからだ。ただ静かに本を読み続ける寡黙な父、突然出て行った母親、自覚はしていないまでも少しずつ蓄積されてきた孤独感やわけのわからぬ苛立ちは次第に増大していったのだろう。
オカマ男への突然の不信感や忌まわしい行いによる裏切りによって少年の怒りは爆発するが、凶器が向かった先は最終的にはその男ではなかった。予想を裏切る殺人事件の真相にはなんともいえない悲しさが残る。揺れ動く思春期のやり場のない感情をを少しだけ思い出したような気がした。


 



堤の夏<姑獲鳥の夏>

2005年07月18日 | 映画
「姑獲鳥の夏」観て来ました。
んん~~っ、やっぱり2時間ちょっとで収められる作品じゃなかったですねぇ。キャスティングの違和感もさることながら、時間が短いだけに人物の1人1人に深みがないような・・・。あの、気になっていた京極の薀蓄も適当に短くなってましたが、全体的にうまくまとめる為にほとんどのシーンの削られすぎ感が強く、その結果すべてが淡々と描かれてしまったような気がしました。
そしてさっぱり怖くなかった(これが1番残念)ある程度、映像化の限界というかそういうものは薄々感じていたので、細部はともかく全体を通しての妖しげな雰囲気やおどろおどろしさをかなり期待してたのですけどね・・・そこのところは本当に残念。(期待しすぎのせい?)久遠寺の病院とか、眩暈坂とかはセットっぽさがありありでしたし。ああいう坂って探しても見つからなさそうだから仕方がないのかな。

堤真一の京極堂はやっぱりイメージと少し違ってて、陰陽師という雰囲気じゃなかったです。京極堂=豊川悦史がいいという人が多いけれどそれもちょっと・・・。雰囲気はわかるけど、あの薀蓄語らせるあたりは今ひとつかと思うんですけどね。そんなおへそは椎名桔平派。さぁ、どうでしょうか。小説を読んだ人はそれぞれのイメージが既に出来上がってるから難しいです。

そうそう、永瀬正敏は見た目なんだか大江千里じゃなかった?あの眼鏡と髪型のせいで。(ちなみに昔、大ファンでした^^)
いしだあゆみはやっぱりあのシーン(絶叫)にすべてが集約されちまってました。宮迫は・・・ん~~もういいか。

おへそはただいま「魍魎の匣」に取りかかり中ですが、やっぱり京極ワールドは本がいい。無理はしないほうがいいです。

堤真一は「フライダディフライ」に「姑獲鳥」に大活躍。そしてお次は
「吉原御免状」の舞台。これぞ堤の夏でありますな。( ̄ー ̄)ニヤリ