玄関サイト経由せず閲覧、携帯、非公式サイト増加――広告掲載を収入源に

2005年10月25日 | 通販/モール
安全性では課題も
 携帯電話会社のポータル(玄関)サイトを経由せずに閲覧できる「非公式サイト」が増えている。データ通信の定額制が浸透し、通信料を気にせず閲覧できるようになったためだ。ベンチャー企業が運営する集客力の強いサイトは、会費の代わりに広告収入で運営する事業モデルを構築している。審査を受けていないサイトの安全性を高める対策も急務だ。
 今月十七日、携帯で連載された小説をスターツ出版が発売した。女性が携帯電話のホームページで執筆した「天使がくれたもの」。女子中高生らの間で「泣ける」と口コミで評判が広がり、発売前に三十三万人の読者を獲得した「ベストセラー」を書籍化した。
 この小説は無料ホームページ作成サイト「魔法のiらんど」から生まれた。十代が中心の若者が自分のページを開き、思い思いの情報を発信する。会員数は約四百万人。サイトは毎日千五百―二千ずつ増えている。
 「魔法のiらんど」を運営するティー・オー・エス(東京・千代田)は今年からサイトに求人や中古車などの広告を掲載し始めた。広告収入でサーバー管理などの運営費を賄い、年内には単月黒字への転換を目指す。
 ティー・オー・エスは、小中高生らが閲覧するのに不適切なサイトを削除する。定期的にキーワードでサイトを検索し、最後は内容を見て判断する。いわゆる「出会い系」や犯罪行為に関する内容、借金やマルチまがい商法は排除する。
 携帯各社が管理する公式サイトはニュースなどの閲覧に月百―三百円の会費がかかる。一方、非公式は広告収入が主体。従来は広告を閲覧すると通信料が増えるため、広告主も広告掲載を敬遠しがちだったが、データ定額制の導入で携帯向け広告が事業として成立しやすくなった。
 非公式の中で利用が増えているのが検索サイトだ。ウェブドゥジャパン(同)の小渕宏二社長は「連日深夜まで作業に追われています」と苦笑する。同社が検索する携帯用サイトは約五千二百万。毎日二百五十万ページを新たに発掘している。
 同社は検索窓に入力したキーワードに関連した広告を表示する検索連動型広告が収入源。検索機能を他社が運営する百二十サイトにも提供している。「携帯のグーグルを目指す」(小渕氏)
 インフォコムグループのニュース・サービス・センター(同)は、公式ニュースサイトの非公式版を今月十二日に開設した。広告の内容や体裁が自由なことから、検索連動広告のほか、動画を駆使したアピール力が強い高単価の広告を掲載する方針。公式の会員約四百七十万人に加え、来年三月までに五十万人の上乗せを目指す。
 通信速度が速い高機能端末の普及もあって、非公式サイトは今後も増えそうだ。ただ審査を受けていない非公式サイトの中には、架空請求など悪質なサイトやセキュリティーに不備があるサイトもある。個人情報ろうえい事件も起きている。
 携帯電話向け情報配信のサイバードは、京セラ子会社とサイトの内容の改ざんや不正侵入を防ぐ携帯向けのシステム開発で提携した。魅力的な情報で多くの会員を集めながら、安全性を確保することが非公式サイトの共通の課題となる。