ポイント事業、商社攻勢

2007年06月01日 | ポイント/電子マネー/決済
 住友商事と三井物産はネット上で提供しているポイントサービスを拡充する。両社の事業子会社が六月にも、新サービスに乗り出す。企業や消費者にとってより使いやすくすることで利用のすそ野を広げるとともに、企業向け販売促進ツールとしての価値を高める狙いだ。成長が続くネットマーケティング市場で事業基盤の確立を狙う。
 住商子会社で、ポイント交換サービスのジー・プラン(東京・千代田、渡辺浩社長)は物販などを手掛ける企業の販促と結びつけた「Gポイントギフト」を始める。企業が来店促進などのため配布する販促物を媒介し独自発行の「Gポイント」を広く行き渡らせることを狙った新サービスだ。
 カードやチラシを発行する企業にGポイントを販売。販促物を受け取った消費者が印刷された認証番号をジー・プランのホームページに入力すると一定額のGポイントを取得できる仕組み。それを全日本空輸のマイレージなど百十社以上のポイントに交換がきる。
 従来、消費者がGポイントを得る機会はネット上での物品購入やアンケートに回答した場合などに限られていた。新サービスは利用企業とポイント発行に関する情報のやり取りの必要がない。システム構築の負担を伴わないため主に中小企業の利用を見込む。現在、ポイント発行は年間六億―八億規模。新サービスの開始で十億―十二億程度に増やしたい考えだ。
 通販サイトなどに共通ポイントを提供する三井物産子会社のネットマイル(東京・千代田、山本雅社長)は、会員のブログ(日記風の簡易ホームページ)を活用したポイント発行サービスを始める。
 会員が自身のブログでネットマイルが提供する動画広告を配信すると、視聴者とブログ運営者が共通ポイント「マイル」を獲得できる。動画広告を視聴するとポイントを獲得できるサービスを四月に始めた。新サービスは紹介者にもポイントを付与する。
 これまで、加盟サイトでの商品購入などに応じマイルを付与。航空マイレージや現金などに交換することができる仕組みを提供してきた。マイル獲得手段を増やすことで会員を拡大、企業にとっての同社のサービスの利用価値を高める。

 両社がポイント事業を強化するのは電子商取引(EC)などネット市場が急成長するなか関連事業を拡大させるためだ。
 住商はスーパーやドラッグストアなど実店舗を使う小売り事業を抱え、ネット購買との連動を重点課題と位置付ける。今春からサミットなどで、ネット経由の物販事業を始めた。新しいEC事業がポイントサービスを始める場合にGポイントの採用を想定している。
 まず販促ツールとして価値を高める必要があり将来は住商グループ内外のEC事業などでの利用を増やしたい考えだ。
 三井物産はグループ会社を通じ検索連動型や成果報酬型など複数のネット広告サービスを展開している。検索連動型や成果報酬型は新サービス立ち上げ時の集客に適している。ポイント事業はサービスの利用頻度に応じ「マイル」を提供するため、リピーター確保や利用促進に有効という。
 グループで手掛けるネット広告を強化・連動させることで「企業のネット広告予算すべてを獲得したい」(インターネットサービスビジネスユニットの神吉敏雄ユニットリーダー)と意気込む。
 今後の焦点は電子マネーとの連携だ。両社は既に「エディ」とは交換可能。今夏にもGポイントは電子マネー「スイカ」と連動するスイカのポイントと交換できるようになる予定。三井物産もエディ以外の電子マネーと連携したい考えだ。