物語には、その物語を取り囲むシチュエーションがあります。
本筋がいくら素晴らしくても、その物語の周辺の雰囲気描写が上質でないとスキルの
高い話に仕上がりません。
そんな雰囲気描写の一つに「植物の香り」、今風に言えばアロマセラピーというので
しょうか、鼻腔をくすぐる感覚があります。
有名なところでは、原田知世さん主演の「時をかける少女」のきっかけ「ラベンダー」
などがあげられるのではないかと思いますが、今日ご紹介する松谷みよ子さんのお話し
もそんな「植物の香り」が豊かに想像の世界に誘(いざな)います。
明治期、田舎の貧困を窮す小作農の子どもたちは、お金のあるお宅に仕事に出されます。
主人公おときも多分に漏れませんでした。
でも、おときは元は都会に住む子ども。親が酒飲みで身を滅ぼす前は、それなりに謳歌
しながら過ごしていました。
親の稼業が没した子どもにとってみれば、大人の顔色を気にする癖がついてしまったのは
致し方ないこと。この日も心無い大人の顔色に落ち込みながら幼子の手を引き自宅に戻る
途中に、キツネの親子に出会います。
霊験あらたかなキツネの事、もしかしたらおときの心を読んだのかもしれないし、
その夜風に漂う栗の花の香りに酔っただけかもしれませんが、おときは昔いた都会の夏祭り
のただ中に居ました。
甘いお菓子の香り、色鮮やかな着物、何もかにも楽しそうな場所。でも目を開けてみれば、
我が家の中でした。
遥か遠くの山の中で座っていたのを、帰ってこないことを心配した村の捜索の男衆に見つけられた…。
というのが大まかな内容。 おときときつねと栗の花 isbn4-03-635190-7(偕成社)
独特の香りの栗の花。
いい匂いなのか嫌な臭いかはまさに紙一重でしょうし、この香りに誘われてやってくる
虫たちがいればこそ、秋に僕らはその木の実の恩恵を味わえます。
同時に、今日の話世のように、個性的な独特の香りは、まさに「天狗様にさらわれた」などに
代表される物の怪をも生み出せる業なのかもしれませんね。
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地域『小田原』と花『造園業・植木屋』と住まい『エクステリア』にカウントされます。
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明治期、田舎の貧困を窮す小作農の子どもたちは、お金のあるお宅に仕事に出されます。
主人公おときも多分に漏れませんでした。
でも、おときは元は都会に住む子ども。親が酒飲みで身を滅ぼす前は、それなりに謳歌
しながら過ごしていました。
親の稼業が没した子どもにとってみれば、大人の顔色を気にする癖がついてしまったのは
致し方ないこと。この日も心無い大人の顔色に落ち込みながら幼子の手を引き自宅に戻る
途中に、キツネの親子に出会います。
霊験あらたかなキツネの事、もしかしたらおときの心を読んだのかもしれないし、
その夜風に漂う栗の花の香りに酔っただけかもしれませんが、おときは昔いた都会の夏祭り
のただ中に居ました。
甘いお菓子の香り、色鮮やかな着物、何もかにも楽しそうな場所。でも目を開けてみれば、
我が家の中でした。
遥か遠くの山の中で座っていたのを、帰ってこないことを心配した村の捜索の男衆に見つけられた…。
というのが大まかな内容。 おときときつねと栗の花 isbn4-03-635190-7(偕成社)
独特の香りの栗の花。
いい匂いなのか嫌な臭いかはまさに紙一重でしょうし、この香りに誘われてやってくる
虫たちがいればこそ、秋に僕らはその木の実の恩恵を味わえます。
同時に、今日の話世のように、個性的な独特の香りは、まさに「天狗様にさらわれた」などに
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