日暮しトンボは日々MUSOUする

こっそり試したい愛情とそれを大切に思う気持ち


「愛する視線の先にあるもの… 」 (再掲載)


彼女は待ち合わせの時間に必ず10分遅れてくる

10分という時間は 僕にとっては十分妥協できる範囲である

ある日僕は 待ち合わせ場所の近くで用事があり

1時間早く着いてしまったので 待ち合わせ場所が見える喫茶店で

コーヒーでも飲んで時間を潰すことにした

約束の時間10分前くらいに なんと彼女が喫茶店に入って来た

後ろの席にいる僕に気がつかない彼女は 窓際の席に座った

そして注文したコーヒーを飲みながら ジッと待ち合わせの場所を見つめてる

僕はしばらく彼女の様子を斜め後ろの席から見ていたが 

約束の時間が近づいたので彼女に声をかけた

彼女はえらく驚いたが 「みつかちゃった…」と少し照れた感じで笑った

実は彼女 いつも10分遅れて来るのではなく10分早く来ていたのだ

そして近くの喫茶店で僕が来たのを確認してから 10分経ったところで出ていくらしい

なんでそんなことをするのか聞いてみると彼女はこう答えた


「あなたって 私の来る方向をじっと見てるでしょ

 私の姿を探してキョロキョロしている時の顔とかね… 

 そんなあなたの表情を見ているのが好きなの」

と照れながら彼女が話してくれた

「チェッ なんだそれ… 悪趣味なヤツ」 と呆れた感じで軽く流す男の心情は

実はこういうのって結構うれしかったりする

「10分間だけの私の楽しみだったのになぁ バレちゃったからもうおしまい
  
 今度から遅れないからね」 と彼女


僕は彼女の言うことも少しわかる気がした
 
なぜなら今日 僕を待っている彼女の横顔を知ってしまったから














 「僕が君を怒らせる理由」  (再掲載)


僕はすぐに自分勝手に行動する 二人で歩いている時も

目を離すとすぐに何処かへ行ってしまう

そんな僕を彼女はいつも探し回っている

疲れてデパートの椅子に座りながら僕が戻るのを待っている

僕が目当てのものを見終わって彼女のところへ戻ると

目を吊り上げて怒る

「どうしいつもいつも 勝手に行っちゃうのよ!

 一言声かけてって言ってるでしょ!」

「ゴメンゴメン…そんなに怒らないで、お詫びに美味しいと評判の

 パンケーキでも食べに行こう、ね」

「 … なら許してあげる」



彼女の機嫌を取るために 僕はセッセと優しくする

こんな理由がなくても 普段から優しくしたいんだけど

何もないのに突然優しくするのは ちょっと照れがある

だから少し怒らせて 機嫌を取るという名目なら思い切り優しくできる


キミがボクを許してくれてるうちはまだ大丈夫 

そのうち本気で怒らせることがあるかもしれない

彼女のふくれた顔も可愛いと思えるこの幸せを失いたくないから

しっかっりと手を握っていよう








これは携帯の普及率がまだ低かった頃に書いた作品。 世の中便利になると、すぐに相手の事や居場所が確認できてしまうので、不便であるがこその誤解やすれ違いのエピソードが使えなくなるのが残念である。 




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