夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

カプリコン・1

2010年07月19日 | か行の映画
Story
人類初の有人火星探査宇宙船カプリコン1が今まさに打ち上げられようとしていた。乗り込むのは、ブルーベーカー空軍大佐(ジェームズ・ブローリン)、ウィリス空軍中佐(サム・ウォーターストン)、ウォーカー海軍中佐(O・J・シンプソン)だ。しかし、打ち上げのカウントダウンが最終段階に差し掛かった最中、緊急事態を告げられた彼らは、強制的に宇宙船から下ろされる。そして、無人のロケットは空高く舞い上がって行くのだった。軍の基地に連れ込まれた宇宙飛行士達は、NASAの所長ケロウェイ博士(ハル・ホルブルック)から、驚愕の事実を知らされる。曰く、直前になってカプリコン1の生命維持装置に欠陥が発見され、このまま発射すれば、3人の生還は望めない。しかし、昨今の国内の宇宙開発への無関心ぶりから有人火星探査は是が非でも成功させ、国民と議会の宇宙への感心を高めなければならないこと。そのため、3人の宇宙飛行士達には火星着陸の模様を特設ステージで”演じて”もらうこと。であった。一度は協力を拒否した彼らであったが、家族の命を保証しないとの脅迫をうけて、やむなく承諾するのだった。一方、ジャーナリストのコールフィールド(エリオット・グールド)は、友人のNASA職員の失踪から火星探査の裏にひそむ陰謀を嗅ぎ付ける。しかし、火星着陸に”成功”後、帰還した宇宙船は、大気圏に突入する際、熱遮蔽装置の不備で消滅してしまったのだ。これはそのまま、3人の宇宙飛行士の抹殺を意味する。彼らを救うため、コールフィールドは必死の捜索を開始する。
1977年/アメリカ/ピーター・ハイアムズ監督作品




評価 ★★★★

MOVIEーDICの白くじらさんから、ブログDEロードショーのお誘いを受けました。ありがとうございました!皆で同時期に同じ映画を観て語り合うという企画ですが、DVDを入手するのに時間がかかって、遅くなってしまいました。ともあれ、レビューをアップです。


おもしろかったですね~。子供の頃一度観ていたのですが、今回改めて観て、映画の完成度の高さを再認識しました。
これまでは、宇宙開発の裏に潜む陰謀を描いた超大作とのイメージが強かったです。新たな印象は、低予算で仕上げたB級映画の面白さに満ちた、しかし、出来栄えはA級のサスペンス・アクションですね。 

それから、以前は気づかなかった新たな発見がありましたね。
例えば、根底には政府と軍部(NASAは正確には軍事機関)の対立があるということ。宇宙開発で先行して覇権を握りたい軍部と、予算を削減したい政府当局の無関心ぶりを宇宙船打ち上げの観覧席のシーンでさりげなく描写しています。
そして、陰謀に巻込まれた宇宙飛行士と真実を追うジャーナリストを主軸にしつつ、宇宙飛行士の家族愛もしっかり描いていること。これが、ラスト、追悼式に出席している家族の基に駆けつける宇宙飛行士のシーンの感動を盛り上げています。
考えてみれば、その後のピーター・ハイアムズのSF映画(「アウトランド」「2010」)でも、家族愛をちゃんと描いていましたね。

最初に低予算で仕上げたと書きましたが、お金をかけずに工夫しているなと感心したのは以下の部分です。
・宇宙船打ち上げシーンは、モニター映像として見せていますが、これは、実際のロケット打ち上げ映像の使い回しでしょう。
・ジャーナリストの車が暴走するシーンは迫力がありますが、よく観てみると主観映像を主にして描いていて、クラッシュシーンはほとんどありません。車にカメラを据えて運転しながら撮影して、後は早回しで効果を出したのではないでしょうか。
・飛行機の胴体着陸シーンも、普通に着陸している飛行機を、カメラアングルと土煙であたかも不時着しているように見せていることが分かります。
・一番お金をかけたと思われるのがクライマックスのジェットヘリと複葉機のチェイスシーンですね。ここは、文句なしに面白かった!翼に宇宙飛行士をしがみつかせたままアクロバット飛行するという、考えてみればむちゃくちゃな事をやっていますが、テリー・サバラスの強烈な個性と相乗効果になって(何度も出て来る「頭をひっこめろ!」のセリフが笑わせる)、何度観ても手に汗握るシーンです。

CGで何でも表現出来るようになった今ですが、当時は限られた手法を用いて、如何に本物らしく見せるかという作り手の創意工夫が窺われて、映画製作の原点を観るような思いでした。

ちょっとセリフが多すぎて、無駄に長いシーンがあるのが気にはなりましたが、キャラクターの個性を印象づけるのに役立っているのでこれもいいかなと思えます。そんな、比較的スローな展開が、時折挿入されるアクションのインパクトを高めていたのではないでしょうか。
そういうわけで、70年代のアクション映画の面白さに浸れて、充実の2時間でした。



(「カプリコン1」1978年1月 盛岡市にて鑑賞)

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (白くじら)
2010-07-19 15:05:40
この度は、第11回「ブログ DE ロードショー」にご参加頂きありがとうございました。
気に入っていただけたようでよかったです&レビューも嬉しいです。(^^)

政府当局の無関心ぶり…大統領に関しても念押しに来たにも関わらず、打ち上げには姿を現さなかったり、よほど触れるのが嫌だったのかもしれません。
確かに今の世の中を見ても、宇宙開発恐ろしいほどの予算が必要なようですし、失敗は許されないのでしょうけど。

「アウトランド」も家庭愛が描かれていましたね。今観るといろいろとツッコミ要素はありましたが、こういう家族に関することもちゃんと織り込んでいるところはこの監督の特筆すべき点ですね。

テリー・サバラスはちょっとしか出てこないのに、登場シーンからインパクトがありましたね。こういう人は使いどころが難しいんでしようねぇ。(^^;

トラックバックもありがとうございました。
こちらからもさせていただきました。
返信する
初めまして☆ (miri)
2010-07-19 19:14:38
wancoさん、nyancoさん、初めまして。
私は「映画鑑賞の記録」の miri(みり)と申します。
このたび、白くじらさんからご紹介を頂き、お邪魔いたしました。
「ブログDEロードショー」に賛同して下さり、鑑賞とレビューを有難うございました☆

>CGで何でも表現出来るようになった今ですが、当時は限られた手法を用いて、如何に本物らしく見せるかという作り手の創意工夫が窺われて、映画製作の原点を観るような思いでした。

本当にそうですネ~!
デジタルから入る世代と違って、私たちは映画の歩みも見て来られたので、ある意味幸せだと思います♪

ところで、私のブログでこの企画の記録の記事をアップしているのですが(URL)もし宜しかったら、この記事をその記事へ、リンクさせて頂けませんでしょうか???
ご了解を頂いてから、させて頂きたいと思います。

もし宜しかったら、これを機会に今後もどうぞ宜しくお願いいたします。(ペコリ)
返信する
Unknown (宵乃)
2010-07-20 11:28:22
はじめまして。「忘却エンドロール」というブログの宵乃と申します。
ブログDEロードショーでは、鑑賞のみで参加させてもらってます。

>NASAは正確には軍事機関

あ~、そうだったんですか!
全然知らなかったので、どうしてあんなに物騒なモノを簡単に用意できるのか不思議に思ってました。

>低予算で仕上げたB級映画の面白さに満ちた、しかし、出来栄えはA級のサスペンス・アクションですね。 

そうですよね。派手さはないものの、面白いサスペンスをつくろうという気合が伝わってくる作品でした。
CGにはない味わいがあると思います。
返信する
宇宙開発 (wanco)
2010-07-25 21:45:42
白くじらさん、こんばんは。
「ブログ DE ロードショー」へのお誘いありがとうございました。おかげで懐かしい映画に再び触れる事が出来ました。

宇宙開発というのは、夢はあるけど、直ちに人々に恩恵を及ぼす訳ではないので、なにかと難しいものがあるのでしょうね。それこそ、「2位ではだめなのですか?」の問答になりそうです。

テリー・サバラスの個性は強烈でしたね。しかし彼が登場してからは笑える箇所が多くなるとともに、クライマックスも盛り上がりましたよね。
返信する
miriさんへ (wanco & nyanco)
2010-07-27 22:20:56
miriさん、こんばんは。
返事が遅れてしまってごめんなさい。
リンクも貼って頂きありがとうございました。

「ブログDEロードショー」では久しぶりに70年代アクションを満喫出来て有意義に過ごせました。
機会があったらまた参加したいと思いますのでよろしくお願いします!
miriさんも映画歴が長そうで、お話が合いそうで楽しみです。
それでは、これからもよろしくお願いします!
返信する
宵乃さんへ (wanco & nyanco)
2010-07-27 22:27:06
宵乃さん、こんばんは!
これまた、返事が遅れてしまってごめんなさい。
コメントとトラバ、ありがとうございました。

私も長いことNASAは学術団体だとばかり思ってました(笑)。しかし、宇宙飛行士がほとんど軍人である事や、離発着に空軍基地を利用する事など、完全に軍の管理下にあるみたいです。

そうですね、面白い映画を作ろうという意気込みが伝わって来る映画でした。こういう映画をみるとこっちまで気持ちが良くなりますね。

それでは、これからもよろしくお願いします!
返信する
Unknown (miri)
2011-12-13 22:09:05
こんばんは☆
今日はご挨拶に参りました。

第11回「カプリコン1」の時から
「ブログDEロードショー」にご参加頂く事が出来て、本当に嬉しかったです。
数本の映画をご一緒に鑑賞しましたね~。
記事も書いて下さり、本当に有難うございました☆

・・・実は、私は、今年いっぱいでこの企画のお世話を辞めさせて頂きます。
来年からは宵乃さんが引き継いで下さいます。
私も いち参加者としてずっと参加してゆきますので、
夫婦でシネマさんも、もし良かったら、ご都合の良い時には是非、ご一緒に映画を楽しみましょう~♪
返信する
ご苦労さまでした。 (wanco & nyanco)
2011-12-25 23:02:52
miriさん、こんばんは。
ご連絡ありがとうございました。
「ブログDEロードショー」 企画・運営ご苦労様でした。
これからは参加者として楽しんで下さいね。
私達は、都合上劇場での鑑賞が主となりますが、これからも良い映画を沢山観て行きたいですね。

それでは、ちょっと早いですが来年は良い年でありますように。そして良い映画にめぐり合えますように。
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