夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

カティンの森

2010年03月13日 | か行の映画
Story
1939年9月、ポーランドは西からドイツ、東からソ連に侵攻され、両国によって分割されてしまう。ソ連によって占領された東部へ、夫のアンジェイ大尉(アルトゥル・ジュミイェフスキ)を捜しに妻のアンナ(マヤ・オスタシェフスカ)と娘がやって来た。アンナは捕虜になっていた夫に再会するも、目の前で収容所へと移送されていく。やがて独ソ戦が始まり、1943年、ドイツは占領したカティンの森で虐殺されたポーランド将校たちの遺体を発見する。しかし、アンナは夫の死を信じられない。(goo映画より)
2007年/ポーランド/アンジェイ・ワイダ監督作品





評価 ★★★★


ポーランドの苦悩の歴史を描き続けて来たワイダ監督。カティンの森事件は、彼にとって避けては通れないテーマだと言われてきましたが遂に映画化されました。私が出かけた名古屋の名演小劇場は超満員で、人々の関心の高さが窺えました。

まず目を奪われるのが、ソ連軍と独軍に攻め込まれ、双方から逃げて来た人々が橋の上で鉢合わせするシーンです。2つの全体主義国家に蹂躙されてしまったポーランドの悲劇。捕虜となった将校アンジェイと妻・娘との別れのシーンが、アンジェイのその後の運命を知るだけに胸が締め付けられます。

ドイツとソ連に交互に支配される体制の中、アンジェイの残された家族を縦軸に物語は展開します。その中で突きつけられる様々なドラマ。・・・夫の帰りを待つ妻達の焦燥。生き残った者の苦悩。特に、パルチザンに身を投じあっけなく命を散らすタデウシュ。そして、ソ連支配下で真実を告発しようと抵抗するアグニェシュカ。彼らカティンの森第二世代ともいうべき若者達の受難を重層的に織り込む事で、事件がもたらした傷の深さが印象づけられる。静かな淡々とした描写が逆にワイダ監督の怨念とも言える思いを感じさせます。

終始寒々とした映像が人間の犯した罪の大きさに耐えきれなくなる思いに拍車をかけ、映画を観たというより、事件の目撃者になった気持ちにさせる作品です。


映画『カティンの森』公式サイト


(「カティンの森」 2010年2月 名古屋 名演小劇場 にて鑑賞)

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