アバター

Story
元海兵隊員のジェイク（サム・ワーシントン）は、遥か彼方の衛星パンドラで実行される“アバター・プログラム”への参加を要請された。パンドラの住人と人間の遺伝子から造られた肉体に意識を送り込むことで、息をのむほどに美しいその星に入り込むことができるのだ。そこで様ざまな発見と思いがけない愛を経験した彼は、やがて一つの文明を救うための戦いに身を投じていく…。（goo映画より）
2009年/アメリカ/ジェームズ・キャメロン監督作品




評価　★★★★☆

ジェームズ・キャメロンの前作『タイタニック』から12年ぶりの最新作！

私達の地元には岡谷スカラ座という映画館があるのですが、この映画館は「アバター」公開に合わせて、長野県内初の3D対応の映画館になったんです。こういった３Dの映画は都心部でしか観られないと思っていたので、長野でしかも地元のすぐ近くの映画館で観られるなんて、すごく嬉しい驚きでした！ということで、この「アバター」で初めての３D映画を体感してきました～。

さて３Dの感想はというと、ディズニーのアトラクションのように、てっきり映像がずっと飛び出しているものかと思ったら、そうではなく奥行きのある映像で、画面の中に入り込んでしまうような錯覚を覚えるものでした。私は時々、３D専用眼鏡を外したりかけたりしながら鑑賞してたんですが、正直言うと、眼鏡を外して鑑賞した方が、映像の色彩がずっと鮮やかで奇麗なんですね。眼鏡をかけて鑑賞すると、せっかくの鮮やかな映像が薄暗くなる感じがしたので、ちょっと違和感を感じました。

この３Dの映像よりも私が感動したのは、演じる俳優とCGキャラクターの異星人との体の動きを見事にマッチさせて、俳優の表情までもを事細かに捉えたパフォーマンス・キャプチャーという技術力です！私がCGを学んでいた10年ほど前は、体の動きを捉えるモーション・キャプチャーという技術がやっとだったような気がするのに、このような俳優の演じる感情までもを捉えることができるようになったということは、本当にテクノロジーの進化には凄いの一言ですね。

物語はというと、お約束な展開が多かったので特に目新しさは感じなかったものの、ジェームズ・キャメロンの描く衛星パンドラの美しい幻想世界にはやはり心奪われるものがあります。また、キャメロンの作品は、いつも悪役がしっかりと描かれているため、どちらかというと善の立場である主役たちにストレートに感情移入できるのも良いところだなと思いました。
最初はちょっとグロいなーと思っていたこの衛星パンドラの住人・ナヴィ族のキャラクターも、善の立場として描かれているからでしょうか、だんだん人間よりも彼等の方が魅力的に見えてくるから不思議です。

主役のジェイクを演じたサム・ワーシントンは、昨年公開された「ターミネーター４」で一気にメジャーになったオーストラリア人の俳優ですが、さすがキャメロンに起用されただけあって、存在感のある素敵な俳優さんですね。これからの活躍がとても楽しみです。

キャメロンは、今後、３D以外の映画を作ることに興味はないと言っているみたいですが、私はこの「アバター」よりも前作の「タイタニック」のような作品の方がやっぱり好きなので、ITの技術ばかりに目を向けないで、キャメロンらしい物語の面白さに重点を置いた作品づくりを続けていってほしいなと思いました。





評価　★★★★☆

本作はアカデミー賞の美術賞、撮影賞、視覚効果賞の３部門を受賞！

これまでのキャメロン作品からは、突如襲いかかる生命の危機とそこからの脱出をダイナミックなアクションで描き、根底には人類愛が存在しているのが共通して見えてきます。今作では、人類を捨ててアバターとしての生を選ぶ主人公を描く事で、大げさにとらえれば、キャメロンから人々への最後通牒とも言える内容になってました。
しかし、そんな深刻なテーマは抜きにしても、アクションとドラマで見応え充分の映画です。

映画の舞台となる天体パンドラは、巨大ガス惑星の衛星という設定です。ガス惑星に大赤斑みたいなのがあるので、木星とその衛星系をモデルにしていると思われます。パンドラとその生態系が有機的に繋がり、一つの意志を持っているようで、これは、地球全体を生命体とみなすガイア仮説が根底にあるのではないでしょうか。
そんなパンドラでジェイクが出くわす凶暴な動物達。そいつらに追っかけられて、ウワーッと逃げて終わるだけでなく、クライマックスでその凶暴性が重要な役割を果たすのは、無駄がなくよく出来てました。

未知の惑星に適応する最良の方法は、その惑星の生物に同化することなんですが、アバター計画はまさにそれを実践したものですね。人間にとって有毒な大気も、同化してしまえばガスマスクも不要になりますからこれは最強の防御方法と言えます。
そのナヴィに同化したジェイクが信じられないような高さから落っこちて無傷でいる場面が何度かあります。ナヴィの身体が炭素繊維みたいな強靭な組織で出来ているという説明がありましたが、それと同時に低重力のために落下する時の加速度が小さいのも助けになっているのでしょう。

パンドラの景観が3D効果と相俟って素晴らしい壮観です。中でも異色なのが空中に浮遊する島々。
何で浮いてるんだ？、と思って観てたんですが、超伝導物質を含んでいるからなのですね。超伝導体を磁場の中におくとマイスナー効果という現象で宙に浮くそうです。「あの辺は磁場が、」どうのこうのというセリフがありましたから、マイスナー効果で浮遊していると考えれば辻褄があいます。

アクションシーンはさすがの迫力。その中で使われる海兵隊のジャイロコプターみたいな兵器は、戦闘ヘリのAH-64D アパッチがモデルでは。アパッチの機首に装備されているセンサーシステム"アローヘッド"の派生型みたいなのが付いてました。スタブウィング（兵器を吊り下げる翼）に装着されている兵器はヘルファイア空対地ミサイルと70mmロケット弾の発展強化版みたいです。

以上、オタクどころ満載のワンコの解説でした（笑）。


映画『アバター』公式サイト


その他のキャメロン作品はこちら！

ターミネーター

エイリアン２

アビス

ターミネーター２

トゥルーライズ

アビス 完全版

タイタニック


（「 アバター」2010年2月　岡谷スカラ座　にて鑑賞）