夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

その名にちなんで

2008年09月15日 | さ行の映画
Story
1974年、インド・コルカタの学生ガングリー(イルファン・カーン)は列車事故に遭い、九死に一生を得る。彼の命を救ったのは、ニコライ・ゴーゴリ著の「外套」を握りしめていたからだった。事故の直前に親しくなった老人から受けた海外に出て経験を積めとのアドバイスに従い、アメリカの大学へ。そして親の進める見合いで結婚し、家族に祝福されながら、ニューヨークでの生活を始める。妻(タブー)はやがて妊娠、生まれてきた男の子(カル・ペン)に“ゴーゴリ”と名付けた。(goo映画より)
2006年/アメリカ=インド/ミーラー・ナーイル監督作品





評価 ★★★★

1月に観た「その名にちなんで」を今頃レビューです。

ミーラー・ナーイルの監督作品では、過去に「太陽に抱かれて」を観ていたのですが、その映画では、キューバ難民のマリサ・トメイが赤の他人達と疑似家族を形成して行く過程が明るく描かれていました。
ふと、「太陽に抱かれて」とこの映画を対比してみて、疑似家族と本当の家族って、何が違うんだろうと思ってしまいました。家族は全て疑似家族と言えるのではないかと。そんな風に、インドからアメリカへやって来た家族の絆を反発と和解を通して感動的に描いてました。

もう一つ印象に残ったのは、アメリカという国の歴史の浅さ。
ゴーゴリが建築家になる決心をしたのは、祖国のタージマハルを見た時でした。一方で、彼のアメリカ人の婚約者は、ゴーゴリの父親の埋葬の儀式で軽薄さをさらけ出してしまいます。なにか、アメリカの自国文化の底の浅さが露呈したような感じがしました。
そして、夫の死後、インドへ戻って楽器の練習を再開する妻のアシマの姿が、抗えない民族の血を感じさせます。
アメリカとインドの歴史の重みを比べるのは酷ですが、やはり彼等にとってアメリカはあくまで生活の場であって、故郷はインドなんだなと、実感させられました。





評価 ★★★★★

ガングリーの妻アシマは、インドからはるばるニューヨークへと嫁いで来た訳ですが、結婚によって、地方から都会へ、または、都会から地方へと嫁いだ経験のある女性は、少なからずこのアシマという女性に共感してしまうのではないでしょうか。
というのは、私も結婚して東京から長野へやって来たので、アシマほどではないにしても、結婚によって環境ががらりと変わってしまうカルチャーショックみたいなものが身に染みて分かりました。

私が一番好きなシーンは、全く知り合いもいないニューヨークでアシマがゴーゴリを産んで、出産した病院の前で(ゴーゴリが産まれた記念に)ガングリーが小さな鉢植えを持って、アシマと二人で記念撮影をしたところです。文化の違いに戸惑いながらも、インド人夫婦がこれからこの大都会ニューヨークで生きて行く決意が感じ取られるような、そんな素敵なシーンでした。

インド人夫婦から生まれて来た子供達は、両親の母国インドを全く知らずに、アメリカで生まれ育った訳なので、外見はインド人なのに中身はインド人らしさのかけらも無く、すっかりアメリカナイズされてしまうのが面白かったですね。人はやっぱり生まれ育った土地で人格が形成されてしまうんだなと、この映画を観て改めて思いました。
そんなアメリカンな若者だったゴーゴリが、自分の名前の由来を知ることで、父親の想いに触れて、インド人としてのアイデンティテイを確認したところが良かったです。

この映画は、今年に入って初めて劇場で観た映画なのですが、新年早々、素晴らしい映画に出会えて、大満足のnyancoでした!


映画『その名にちなんで』公式サイト


(「その名にちなんで」2008年1月 日比谷シャンテシネにて鑑賞)

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