夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

シャドウ・イン・クラウド

2022年07月01日 | さ行の映画
Story
1943年。ニュージーランドからサモアへ最高機密を運ぶ密命を受けた連合国空軍の女性大尉モード・ギャレット(クロエ・グレース・モレッツ)は、B-17爆撃機フールズ・エランド号に乗って空へ飛び立つ。モードは男性乗組員たちから心無い言葉を浴びせられながらも、ひたむきに任務を遂行しようとする。やがて彼女は高度2500メートルの上空で、自機の右翼にまとわりつく謎の生物を目撃する。次から次へと想像を絶する試練に見舞われる中、大切な荷物を守りながら決死の戦いを繰り広げるモードだったが……。(映画.comより)
2021年/ニュージーランド・アメリカ合作/ロザンヌ・リャン監督作品






評価 ★★★☆☆

どーせB級のモンスター映画だと思ってお気楽に観に行ったんですが、意外に奥深い設定で拾い物の作品でした。

「キック・アス」シリーズでアクション女優として名を上げたクロエ・グレース・モレッツ。
彼女が女性士官モード役で、最高機密を手に半ば強引に爆撃機に乗り込む所から物語が始まります。
招かれざる客の彼女に対して、乗員の男達は誹謗中傷を浴びせるのですが、クロエが銃座に一人で男達の姿を見せずにインターホン越しに延々と続くのが異様な緊張感を盛り上げる。

最初は信じなかった男達がグレムリンの攻撃に一人また一人とやられていくのは、飛行中の機内で展開することもあって、一種の密室ホラーの雰囲気。
グレムリンの襲撃、日本軍の攻撃、最高機密の絶体絶命、という具合に三つ巴でクロエに襲いかかり、爆撃機の底部につかまったりの大アクションを繰り広げるのは、クロエの本領発揮といったところ。
最後は地上で、彼女とグレムリンが一騎打。ここで男どもがボーっと観てるだけなのが笑わせる。
次第に男女の立場が逆転して、最高機密の正体とあわせて女性のパワーが男達を圧倒するのが面白かった。

中国系の女性が監督しているのもひと味違ったホラー映画になった要因でしょう。
これまで業界の男性達の偏見の中で仕事をしてきたのか、彼女の体験がホラーの形で投影されているようです。
グレムリンは男達の悪意のメタファーだったのですかね。






評価 ★★★★

この映画はB級テイストながらも充分に楽しめる、本当に拾い物の映画でした。
ほとんど飛行機の中で物語が進んでいくのですが、少しもダレることなく鑑賞していられたのは、脚本に演出、そして役者と三拍子揃った面白い映画だったからでしょうね。上映時間も90分ほどとちょうど良い長さで、最後まで一気に楽しめました。

また「キック・アス」のクロエらしいアクションも期待どおり見せてくれるので、強いヒロイン像に女性はスカッとしますね。クロエって見た目はかよわい感じの可愛らしい女性なのに、一皮むけば相手を徹底的にやっつけてしまうような強さを感じるところがあって、そのギャップがとても魅力的なんだと思います。

それにしても、クロエがグレムリンをボコボコにやっつけている横で、屈強な乗組員の男性たちがボーッとただ見ているだけだったのが本当に笑えました。監督が女性なので、男性に頼らなくても頑張れば女性一人でも充分に生きていけるというようなメッセージが隠れていたのかな。

この映画を観ていたら、1980年代に封切られたミステリー映画の「トワイライト・ゾーン」を思い出しました。いくつもの短編で構成された映画なんですけど、この短編の中の一つに上空を飛んでいる飛行機を襲うグレムリンのお話があったんですよね。このクロエの映画もこういった昔の映画からヒントを得て生まれた作品だと思うのですが、こういった目に見えない何かが少しずつ人間を脅かしていくお話って本当に怖いです。
当時、私が子どもだった頃にこの「トワイライト・ゾーン」を劇場で観たんですが、グレムリンのお話がなんだか妙に怖くて、いちばん印象に残っていました。物語は本当にシンプルなんですが、人間の怖いと思う心理を上手く描いた作品だったので、また2020年代の今の時代に長編になってもう1度、その怖さを体感できたのは本当に感激でした。




映画『シャドウ・イン・クラウド』公式サイト


(「シャドウ・イン・クラウド」2021年 5月 昭島ムービックス にて鑑賞。)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 帰らない日曜日 | トップ | ブラック・フォン »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

さ行の映画」カテゴリの最新記事