未来予想図～ア・イ・シ・テ・ルのサイン～

Story
大学生のさやか（松下奈緒）は学生映画の制作をきっかけに、慶太（竹財輝之助）と出会った。建築家を目指して迷いなく進む慶太にさやかは惹かれ、やがて2人は恋人同士に。卒業後、慶太は設計事務所に、さやかは印刷会社に勤め始めるが、出版を希望していたさやかは今の仕事に満足できない。そこで一念発起し出版社へと転職し、自分の夢の第一歩を踏み出す。そんな時、慶太に海外転勤の話が持ち上がり……。（goo映画より）
2007年/日本/蝶野博監督作品





評価　★★★☆☆

ドリカムの名曲「未来予想図」をモチーフにして映画化された作品。

展開の早いハリウッド映画に負けていないくらい、この映画もとにかく物語の展開が早かったです！ゆったりとしたテンポの日本映画が多いなかで、こんなに展開がスピーディな映画も珍しいんじゃないかな。。そういう意味では飽きさせない展開なのかもしれないけど、肝心の登場人物たちに感情移入する暇も与えないほど、あまりにもテンポが早すぎるのはどうでしょうか。。もっと盛り上がれそうな場面はいくつもあったのに、なんだか詰め込みすぎて、かえって全体的に薄っぺらい印象になってしまいました。。

この映画はドリカムの名曲「未来予想図」をモチーフにして作られた作品ですが、残念ながら映画の内容が曲の素晴らしさに追いついていない印象を受けました。曲の内容に合わせて作られているのは分かるんだけど、さやかと慶太の二人の恋愛が上手く描写できていないため、まるでプロモーション・ビデオを見せられているような気分になります。
恋愛映画のハズなのに、心に迫ってくるものがないんですよね。。物語はかなりベタな展開ですが、二人の恋愛にもっとのめり込むようなものがあれば、この映画の印象も違ってきたと思うのですが。。

さやかを演じた松下奈緒さんは、美人だし華があるし、はにかんだような笑顔がとても魅力的な女優さんです。同性から見ても憧れるような素敵な女性なのですが、演技の方はまだ今ひとつなのかな。。物語に惹き込むほどの魅力的な演技が見られなかったのが残念でした。。
慶太を演じた竹財輝之助さんは、これから伸びる役者さんなのかもしれないけど、松下奈緒さんの相手役にしては正直、ちょっと弱いんですよね。。女性を魅了するほどの華がないし、演技の方もまだ素人っぽさが抜けない感じで、良い台詞があっても、ちっとも心に響いてこなかった。。主役を演じた二人の役者が、どちらも今ひとつな印象を受けたのは残念でしたね。。

でも、この映画は女性が憧れる要素がいっぱい詰まった映画なので、映画の内容は別にしても、それなりに女性は楽しめる映画なのではないでしょうか。というのは、それだけ、さやかという女性は同性から見ても羨ましいくらい、女性が欲しい物をいっぱい手に入れている女性なんですよね。
例えば、大学時代の彼氏との素敵な想い出、女性誌の編集者という華やかな職業（とエディターらしいお洒落なファッション）、悩みを聞いて心配してくれる優しい上司、子供を影から応援して励ましてくれる母親、そして、将来有望な建築家の素敵な彼氏、などというように、ラストの結婚式のシーンに至るまで、さやかという女性は、女性の憧れる理想のライフスタイルをまさに実現してきた女性ではないかと思います。
実際はこんなに何もかも揃っているなんてありえないし、思い通りにいかないのが人生なので、さやかのような人生は女性にとっては夢物語ですよね。だから、この映画の一時だけ、さやかになったつもりで夢物語を楽しんでみるものいいかもしれません。この映画を観に来た男性にとっては苦痛かもしれないけど（笑）、さやかに共感できる女性は、この映画結構楽しめるのかな、なんて思ってしまいましたね。


映画『未来予想図～ア・イ・シ・テ・ルのサイン～』公式サイト


（「未来予想図～ア・イ・シ・テ・ルのサイン～」2007年10月　東京　丸の内ピカデリー2にて鑑賞）