夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

第10回小津安二郎記念・蓼科高原映画祭

2008年01月24日 | ちょっとコーヒーブレイク
大変遅くなりましたが、昨年の11月3日(土)に、長野で開かれる4大映画祭のひとつ「第10回小津安二郎記念・蓼科高原映画祭」にwancoと二人で行ってきました。

この映画祭は、11月2日(金)~4日(日)の3日間、小津安二郎のゆかりの地でもある蓼科高原・茅野市で開催され、昨年は第10回の記念すべき年ということもあり、小津映画祭の原点を振り返りながら、「家族」をテーマとした全15作品が上映されました。
小津安二郎監督の「東京物語」「生まれてはみたけれど」、山田洋次監督の「武士の一分」「男はつらいよ・寅次郎相合い傘」「家族」、せんぼんよしこ監督の「赤い鯨と白い蛇」、山下淳弘監督の「松ヶ根乱射事件」、野村恵一監督の「小津の秋」などが上映され、これらの上映作品の監督たちも映画祭のゲストとして招待されていました。

その他には、短編映画コンクール(山田洋次監督が審査委員長)に、ゲスト、監督との交流パーティ監督居酒屋(映画の話を来場した監督と飲んで語ろう)などのイベントが開催されたそうです。憧れのゲスト、監督と映画について話のできるまたとないチャンスですよね!



また、昨年と同様に、シネマカフェ(交流広場)と称したひと休みコーナーも設けられていて、豚汁、蕎麦茶、コーヒーなどもふるまわれていました♪地元特産品(寒天やりんご、野菜、お菓子など)コーナーもあったりして、長野ならではの温かい心づくしが感じられる映画祭でしたね。

詳しくはこちら!
第10回小津安二郎記念・蓼科高原映画祭


私達は、小津監督の「東京物語」レビューはこちら!)とその映画のトークセッションに参加してきました。昨年も前年と同様に、会場は小津作品のファンと見られる年配のお客さんでごった返していましたね。映画が上映されると、古いフィルムのせいか途中で画像がおかしくなり、幕が下りるというハプニングもありましたが、その後はスムーズに進行して、小津作品を存分に楽しみました。
トークセッションでは、「東京物語」に出演されていた香川京子さんと、元小津組プロデューサーの山内静夫さん長野県短期大学准教授、全国小津ネットワーク会議副会長の築山秀夫さん(司会進行も兼ねていらっしゃった)がゲストとして招待されていました。なかなか面白いお話が聞けましたので、その内容の一部をご紹介しますね。

:::::::::::トークセッション:::::::::::::

・まず蓼科高原映画祭について

香川京子さん「蓼科の人にはたいへんよくしてもらいました。映画祭の内容も素晴らしく、またぜひ来たいと思っています。」
山内静夫さん「この映画祭も第10回になるそうで、映画祭の核が出きて来たように思います。また、スタッフの熱意には感服しています。」

・小津作品について

築山秀夫さん「小津作品のシナリオですが、大体1つの作品のシナリオが書き上がるまでに3~4ヶ月かかるそうです。実際の撮影では、シナリオの一語一句変えることなく、撮影に臨むのだそうですね。完璧なシナリオとしても有名。また、シナリオが完成した時には、映画のカットは全て決まっているそうで、1カット5秒くらいなので、全カット決まっているということは本当に凄いことです。」
香川京子さん「小津監督は、カメラの位置、カットが全て決まっていて、それに俳優をはめ込むような感じでした。例えば、横溝、黒澤監督の場合は、1度俳優にそのシーンを演じてもらって考えていくというタイプでしたが、小津監督の場合は、シナリオの段階から、そのシーンの俳優の位置、動きなどが全て出来上がっている。横溝、黒澤監督が「動」の監督なら、小津監督は「静」の監督でしたね。」



・「東京物語」の撮影時のエピソード

香川京子さん「原節子さんと私が尾道ロケの時には、ファンが押し寄せて大変な騒ぎになりました。その当時、原節子さんは人気絶頂の時で、まさにファンから見れば雲の上の存在のような感じだったのでしょうね。」
築山秀夫さん「母親役の東山千栄子さんが、お嫁さん役の原節子さんから肩もみをしてもらうシーンがあります。このシーンは実際の撮影が1時間以上にも及んだそうで、東山さんは、気持ちよくなるなら小津作品に限る、と言ったそうです。」

・世界から見た小津作品

山内静夫さん「ニューヨークのリンカーンセンターで小津作品が上映されたのですが、若い人がたくさん観に来てくれていました。小津作品は、「家族」をテーマにした作品が多く、人間と人間のきめこまかい愛情について描かれているので、外国人にも分かりやすく、外国ではとても良い反響でした。」
築山秀夫さん「外国でも小津作品に感銘を受けた監督はたくさんいて、フィンランドのアキ・カウリスマキ監督、ドイツのヴィム・ヴェンダース監督、台湾のホウ・シャオシェン監督などが、小津作品を絶賛しています。特に、ヴィム・ヴェンダース監督は、「東京物語」を観て、最初のシーンから結末まで、”まるで雷に打たれたよう”と述べているほどです。小津作品は世界で通用する素晴らしい作品だと、外国からも高い評価を受けています。」

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

以上です。頑張ってメモしたものを書いてみましたが、いかがでしょうか?
私はこのトークセッションで、小津安二郎がいかに凄い人かを実感したような気がします。日本人なのに、小津作品は数えるほどしか観たことがなかったので、なんだか恥ずかしくなりましたね。。

昨年は忙しくて、この「蓼科高原映画祭」のみの参加となりましたが、今年は機会があったらぜひ他の映画祭にも行きたいです♪


※昨年開かれたその他の長野の映画祭はこちら!
第11回うえだ城下町映画祭
第4回みすずかるしなの・NAGANO映画祭
第6回北信濃小布施映画祭


一昨年の蓼科高原映画祭については・・・
第9回小津安二郎記念・蓼科高原映画祭



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