![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/d6/6000a87bc0b6ddc4b711d2677317f1a3.jpg)
Story
1824年のウィーン。第九の初演まであと4日と迫った日、ベートーヴェン(エド・ハリス)の元に写譜師としてアンナ・ホルツ(ダイアン・クルーガー)が派遣されて来る。相手が若い女性であることに最初は拒絶したベートーヴェンであったが、彼女の才能と作曲家への野心を認めて写譜の仕事をまかせることにする。やがて迎えた第九の初日、聴覚障害のベートーヴェンは指揮をすることに自信をなくし、アンナにサポートを依頼する。観客に見えないようにオーケストラ席にかがみ込んだアンナは、指揮台上にテンポの合図を送る。曲がクライマックスにさしかかると、アンナは楽曲とベートーヴェンと一体となった官能に恍惚となるのだった。そして、第九の初演は大成功に終わる。観客のスタンディングオベーションに気づかないベートーヴェンをアンナはやさしく客席に向ける。
翌日、アンナはベートーヴェンに自分が作曲した譜面を見せるが、彼は口汚く酷評する。泣いて立ち去るアンナを見て自分の無神経さを後悔した彼は、アンナに謝罪し、やがて一緒に作曲を始めることとなる。二人の間に師弟関係を超えた愛情が芽生え始める。アンナには建築家志望の婚約者マルティン(マシュー・グード)がいた。ベートーベンは、マルティンが作った街に架ける橋の模型を品評会の席上、嫉妬も手伝ってステッキで叩き壊すのだった。二人の間で揺れるアンナも結局はベートーヴェンの元で作曲家を目指すことになる。
その後、意欲作の大フーガは、時代を先行しすぎたために観客に理解されず失敗に終わり、ベートーヴェンは心労も手伝って倒れるのだった・・・。
2006年/アメリカ/アニエスカ・ホランド監督作品
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/47/8cd15ffb6d74fbddeb4f48ad5dd01f21.png)
評価 ★★★★★
この映画のベートーヴェンは、とんでもないエゴイストに描かれています。音楽は人々の魂を結びつける、作曲家は神と対話出来る職業だ、という強烈な自負がそうさせています。
写譜師のアンナは、ベートーヴェンその人というよりも彼の曲を愛してしまったと考えられ、この映画の主題もそんな女性アンナの物語であると感じました。
アンナの婚約者マルティンは建築家ですが、彼が嬉々として彼女に見せる橋の模型は鉄格子の檻を連想させます。彼は彼女の才能を尊重せずに閉じ込めてしまうことを暗示しているようです。だから、ベートーヴェンが橋の模型をたたき壊したのを、あとで正解だったと言ってのけるのでしょう。
映画のハイライトはなんと言っても第九の演奏シーンですね。指揮を執るベートーヴェンの手の中で恍惚となるダイアン・クルーガーはとても素敵でした。
作曲家は神の代弁者、最後に神と一体となる、というようなことをベートーヴェンが言います。ラストで、草原の中に歩み出て溶け入るように消えた彼女は、まさに世界と一体となった感を受けました。それと同時に、天才の薫陶を受け、その呪縛から解放されて自分の世界を見出した印象を受ける終幕となっています。
そういうわけで、年明け早々上質な映画を見れて大満足でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/f6/bb06621f9b3c4a44f441b99a7c17b7e7.png)
評価 ★★★★★
年末になると必ずベートーヴェンの「第九交響曲」が演奏されますよね。この「第九」が生まれた背景に、実は女性の写譜師とのドラマが存在したら・・というこの映画の設定は、とても面白いと思いました。アンナ・ホルツという女性の写譜師を通して、少しずつベートーヴェンという人物が浮き彫りになっていきます。
アンナは作曲家を志しており、ベートーヴェンの音楽をこよなく愛している。いつかベートーヴェンのような作曲家になりたいと思っている。最初は女性の写譜師を認めようとしなかったベートーヴェンも、アンナの才能と、自分の音楽に対する熱意に心うたれて、写譜の仕事をまかせるようになります。やがて第九の演奏会で、聴覚障害というハンデを背負いながらオーケストラを指揮しようとするベートーヴェンを、アンナは観客席から見えない所でそっとテンポの合図を送ります。このシーンは、この映画の最大の見せ場でもありますが(この10分間の演奏シーンは、映画を観ている観客も、演奏会にきた観客のような錯覚をおぼえます。必見です!)、この演奏会の成功により、ベートーヴェンのアンナへの信頼が絶対なものとなるのです。
この映画では、ベートーヴェンは周りの者に無理難題を押し付けるエゴイストとして描かれていますが、その反面、音楽に対しては誰よりも真剣に向き合って、自分に嘘偽ることのない真正直な人物としても描かれています。
最初は、粗野で乱暴者なベートーヴェンに困惑していたアンナですが、彼の音楽に対する情熱とその才能に感化されて、やがて彼の一番の理解者になっていきます。ベートーヴェンも、自分を恐れないできちんと意見をのべるアンナに、しだいに心を開き、彼女を一人前の仕事のパートナーとして接するようになります。この二人の師弟関係を超えた絆は、観ていてとても心地よかったですね。
この映画の冒頭で、ベートーヴェンの臨終の知らせを聞いたアンナが、急いで馬車を走らせるシーンがあります。そのシーンで、アンナが溢れるばかりに鳴り響く音楽を感じ取る様子が描かれているのですが、映画を見終わってやっとその意味が分かりました。
作曲するときに音楽の形式にこだわっていたアンナですが、ベートーヴェンに、心を無にして自然と降りてくる音に心を傾けろと、作曲家にとって本当に必要なものは何かを教わります。冒頭のシーンは、アンナがベートーヴェンを乗り越えて、本当の作曲家になった姿が描かれていたのですね。
この映画でベートーヴェンを演じたエド・ハリスは、徹底的な役作りをして、ベートーヴェンに似せた楽譜の走り書きまでマスターしたそうです。ベートーヴェンの容貌もすっかり成りきっていて、ふだんのエド・ハリスとは似ても似つかないですよね。
アンナを演じたダイアン・クルーガーも、「トロイ」や「戦場のアリア」での役の雰囲気とずいぶん違っていて、色々な役柄を演じられる女優さんなんだなと思いました。
年明け早々、久しぶりに良い映画とめぐりあえて感激です。
(「敬愛なるベートーヴェン」2006年1月 MOVIX利府にて鑑賞)
1824年のウィーン。第九の初演まであと4日と迫った日、ベートーヴェン(エド・ハリス)の元に写譜師としてアンナ・ホルツ(ダイアン・クルーガー)が派遣されて来る。相手が若い女性であることに最初は拒絶したベートーヴェンであったが、彼女の才能と作曲家への野心を認めて写譜の仕事をまかせることにする。やがて迎えた第九の初日、聴覚障害のベートーヴェンは指揮をすることに自信をなくし、アンナにサポートを依頼する。観客に見えないようにオーケストラ席にかがみ込んだアンナは、指揮台上にテンポの合図を送る。曲がクライマックスにさしかかると、アンナは楽曲とベートーヴェンと一体となった官能に恍惚となるのだった。そして、第九の初演は大成功に終わる。観客のスタンディングオベーションに気づかないベートーヴェンをアンナはやさしく客席に向ける。
翌日、アンナはベートーヴェンに自分が作曲した譜面を見せるが、彼は口汚く酷評する。泣いて立ち去るアンナを見て自分の無神経さを後悔した彼は、アンナに謝罪し、やがて一緒に作曲を始めることとなる。二人の間に師弟関係を超えた愛情が芽生え始める。アンナには建築家志望の婚約者マルティン(マシュー・グード)がいた。ベートーベンは、マルティンが作った街に架ける橋の模型を品評会の席上、嫉妬も手伝ってステッキで叩き壊すのだった。二人の間で揺れるアンナも結局はベートーヴェンの元で作曲家を目指すことになる。
その後、意欲作の大フーガは、時代を先行しすぎたために観客に理解されず失敗に終わり、ベートーヴェンは心労も手伝って倒れるのだった・・・。
2006年/アメリカ/アニエスカ・ホランド監督作品
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/47/8cd15ffb6d74fbddeb4f48ad5dd01f21.png)
評価 ★★★★★
この映画のベートーヴェンは、とんでもないエゴイストに描かれています。音楽は人々の魂を結びつける、作曲家は神と対話出来る職業だ、という強烈な自負がそうさせています。
写譜師のアンナは、ベートーヴェンその人というよりも彼の曲を愛してしまったと考えられ、この映画の主題もそんな女性アンナの物語であると感じました。
アンナの婚約者マルティンは建築家ですが、彼が嬉々として彼女に見せる橋の模型は鉄格子の檻を連想させます。彼は彼女の才能を尊重せずに閉じ込めてしまうことを暗示しているようです。だから、ベートーヴェンが橋の模型をたたき壊したのを、あとで正解だったと言ってのけるのでしょう。
映画のハイライトはなんと言っても第九の演奏シーンですね。指揮を執るベートーヴェンの手の中で恍惚となるダイアン・クルーガーはとても素敵でした。
作曲家は神の代弁者、最後に神と一体となる、というようなことをベートーヴェンが言います。ラストで、草原の中に歩み出て溶け入るように消えた彼女は、まさに世界と一体となった感を受けました。それと同時に、天才の薫陶を受け、その呪縛から解放されて自分の世界を見出した印象を受ける終幕となっています。
そういうわけで、年明け早々上質な映画を見れて大満足でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/f6/bb06621f9b3c4a44f441b99a7c17b7e7.png)
評価 ★★★★★
年末になると必ずベートーヴェンの「第九交響曲」が演奏されますよね。この「第九」が生まれた背景に、実は女性の写譜師とのドラマが存在したら・・というこの映画の設定は、とても面白いと思いました。アンナ・ホルツという女性の写譜師を通して、少しずつベートーヴェンという人物が浮き彫りになっていきます。
アンナは作曲家を志しており、ベートーヴェンの音楽をこよなく愛している。いつかベートーヴェンのような作曲家になりたいと思っている。最初は女性の写譜師を認めようとしなかったベートーヴェンも、アンナの才能と、自分の音楽に対する熱意に心うたれて、写譜の仕事をまかせるようになります。やがて第九の演奏会で、聴覚障害というハンデを背負いながらオーケストラを指揮しようとするベートーヴェンを、アンナは観客席から見えない所でそっとテンポの合図を送ります。このシーンは、この映画の最大の見せ場でもありますが(この10分間の演奏シーンは、映画を観ている観客も、演奏会にきた観客のような錯覚をおぼえます。必見です!)、この演奏会の成功により、ベートーヴェンのアンナへの信頼が絶対なものとなるのです。
この映画では、ベートーヴェンは周りの者に無理難題を押し付けるエゴイストとして描かれていますが、その反面、音楽に対しては誰よりも真剣に向き合って、自分に嘘偽ることのない真正直な人物としても描かれています。
最初は、粗野で乱暴者なベートーヴェンに困惑していたアンナですが、彼の音楽に対する情熱とその才能に感化されて、やがて彼の一番の理解者になっていきます。ベートーヴェンも、自分を恐れないできちんと意見をのべるアンナに、しだいに心を開き、彼女を一人前の仕事のパートナーとして接するようになります。この二人の師弟関係を超えた絆は、観ていてとても心地よかったですね。
この映画の冒頭で、ベートーヴェンの臨終の知らせを聞いたアンナが、急いで馬車を走らせるシーンがあります。そのシーンで、アンナが溢れるばかりに鳴り響く音楽を感じ取る様子が描かれているのですが、映画を見終わってやっとその意味が分かりました。
作曲するときに音楽の形式にこだわっていたアンナですが、ベートーヴェンに、心を無にして自然と降りてくる音に心を傾けろと、作曲家にとって本当に必要なものは何かを教わります。冒頭のシーンは、アンナがベートーヴェンを乗り越えて、本当の作曲家になった姿が描かれていたのですね。
この映画でベートーヴェンを演じたエド・ハリスは、徹底的な役作りをして、ベートーヴェンに似せた楽譜の走り書きまでマスターしたそうです。ベートーヴェンの容貌もすっかり成りきっていて、ふだんのエド・ハリスとは似ても似つかないですよね。
アンナを演じたダイアン・クルーガーも、「トロイ」や「戦場のアリア」での役の雰囲気とずいぶん違っていて、色々な役柄を演じられる女優さんなんだなと思いました。
年明け早々、久しぶりに良い映画とめぐりあえて感激です。
(「敬愛なるベートーヴェン」2006年1月 MOVIX利府にて鑑賞)
しかし、ご夫婦で映画ブログを運営されているというのが、なんともうらやましいです。この「敬愛なるベートーベン」も、新しい年に相応しい素晴らしい内容であったようで。ぜひ劇場で鑑賞してみたい作品です。
はじめまして、nyancoと申します。
遊びに来てくださって嬉しいです!
こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いします。
私の方からも豆酢さんのブログにちょくちょく遊びにいかせてください。
私たち夫婦が鑑賞した映画でも、いつもは評価が分かれたりするのですが、このベートーベンは☆5つと同意見で、満足のいく素晴らしい出来でした。(^-^)
良かったらぜひ劇場で観てみてください。
これからもよろしくお願いします!
今年もどうぞよろしくお願いします♪
元旦に感動する映画を観られたことは
とてもよかったですね!
第九のシーンは、感動して涙がでてきましたよ。
盛り上がりを中盤にもってくる構成が変わってましたね。
ベートーヴェンよりもアンナを中心に観てしまいました。
現代の女性が共感できるつくりかな。
エド・ハリスはなりきり演技でした!
はじめ、彼だとわからなかったデス^^
アイマックさん、こんばんは。
早速来て頂いて、ありがとうございます!
こちらこそ、昨年はお世話になりました。
今年もどうぞよろしくお願いします。
元旦にこの映画を観ようと決めていたのですが、アイマックさんのレビューを読んで、ますます楽しみにしていました。
満足の出来だったので、観て良かったです♪^^
私もアンナに共感して観ていました。
この映画は女性監督なので、アンナは監督の代弁者のような役割を果たしていたかもしれないですね。
(wancoのコメ)
第九のシーンは素敵なラブシーンでしたね!
音符の模様、楽器の模様、ベートーベンの肖像などかありましたよ
音楽ネクタイ、(音符・黒)
http://www.bidders.co.jp/pitem/62476255
音楽ネクタイ(サックス&ピアノ 黒)
http://www.bidders.co.jp/pitem/50357306
音楽ネクタイ(ベートーベン)
http://www.bidders.co.jp/pitem/50307612