放射線治療と医学物理 第49号
S Devic, et al.: Accurate skin dose measurements using radiochromic film in clinical applications, Med Phys, 33, 2006
皮膚基底層の深さは目の周囲や足底など部位によって変化する。本来は放射線腫瘍医の関心のある深さの線量評価をすべきであるが、ICRPおよびICRUは実際の線量評価点として70μmの深さを推奨している。実際の皮膚線量測定の際には実効測定点が水等価にて数μmから数mmの線量計が用いられる。これらの領域は荷電粒子平衡が成り立たない領域であるため、測定機器の選択は重要である。
本報告の目的は、荷電粒子平衡が成り立たないビルドアップ領域の最初の数mm以内の線量測定の正確性を調査することである(6MV)。ここではAttix平行平板型電離箱、自作外装線量計、radiochromic film(HD-810、EBT、HS、XR-T)、TLDにて皮膚線量を測定し、その結果をモンテカルロ法と比較している。
ビルドアップ領域に加え、ビルドダウン領域の線量についてradiochromic film EBTにてPDDを測定し、その精度を調査している。
ビルドアップ領域の測定方法
測定器はSolid water phantom(1.04g/cm^3)の表面に設置。SSD=100cm。referenceとして1.5cm深も測定。LINACはVarian 2300 C/D。
radiochromic filmを含め、論文にて用いられた線量計の実効測定点(radiochromic film はsensitivity layerの中間の厚さ)、および最大深および実効測定点における水と検出器の制限衝突阻止能比は以下のように記されている。
HD-810: 0.0004g/cm^2, 4μm, 0.9996
Attix chamber: 0.0048g/cm^2, 48μm, 1.012
Extrapolation chamber: 0.0069g/cm^2, 60μm, 1.010
HS: 0.0153g/cm^2, 153μm, 0.9993
EBT: 0.0153g/cm^2, 153μm, 0.9997
XR-T: 0.0157g/cm^2, 157μm, 0.9997
TLD-100 (0.15mm): 0.0185g/cm^2, 185μm, 1.002
TLD-100 (0.4mm): 0.0496g/cm^2, 496μm, 1.001
ビルドダウン領域の測定方法
EBTフィルム(3cm x 23cm)をSolid waterではさみ、6Gy(最大深)照射。照射野10x10cm^2。ガントリー角度90度。PDDを測定。
照射野の大きさとビルドアップ領域、ビルドダウン領域のPDDの関係
一辺5, 10, 15, 20, 25, 30cmの正方形照射野を使用して、上記影響を調査。
結果
1. ビルドアップ領域における各種線量計の実効測定点におけるPDD値と70μm(皮膚)でのPDDおよび補正係数との関係は以下である。
Skin. PDD 17.0%
Attix. 16.0%, 1.062
EBT. 19.9%, 0.854
HS. 20.0%, 0.850
XR-T. 20.3%, 0.837
TLD(0.15). 21%, 0.810
TLD(0.4). 29, 0.586
2. ビルドダウン領域における各種線量計の実効測定点におけるPDD値と70μm(皮膚)でのPDDおよび補正係数との関係は以下である。
Skin. PDD 32.66%
EBT. 32.75%, 0.997
HS. 32.75%, 0.997
XR-T. 32.76%, 0.997
3. 照射野を変更した場合における、ビルドアップおよびダウン領域におけるEBTの実効測定点におけるPDD値と70μm(皮膚)でのPDDおよび補正係数との関係は以下である。
Entrance skin dose correction
5x5. 0.804, 10x10, 0.854, 15x15, 0.908, 20x20, 0.910, 25x25, 0.925, 30x30, 0.928
Exit skin dose correction
5x5. 0.998, 10x10, 0.997, 15x15, 0.997, 20x20, 0.998, 25x25, 0.997, 30x30, 0.998
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本報告ではガフクロミックフィルム4種類(HD-810、XR-T、HS、EBT)の構造がFig,1に詳しく記載されている。これを確認するだけでも非常に参考になると思われる。またビルドアップ領域では比較的大きな補正係数が必要であるのに対し、ビルドダウン領域ではほぼ1.000であることに注目したい。
詳細は論文で。
S Devic, et al.: Accurate skin dose measurements using radiochromic film in clinical applications, Med Phys, 33, 2006
皮膚基底層の深さは目の周囲や足底など部位によって変化する。本来は放射線腫瘍医の関心のある深さの線量評価をすべきであるが、ICRPおよびICRUは実際の線量評価点として70μmの深さを推奨している。実際の皮膚線量測定の際には実効測定点が水等価にて数μmから数mmの線量計が用いられる。これらの領域は荷電粒子平衡が成り立たない領域であるため、測定機器の選択は重要である。
本報告の目的は、荷電粒子平衡が成り立たないビルドアップ領域の最初の数mm以内の線量測定の正確性を調査することである(6MV)。ここではAttix平行平板型電離箱、自作外装線量計、radiochromic film(HD-810、EBT、HS、XR-T)、TLDにて皮膚線量を測定し、その結果をモンテカルロ法と比較している。
ビルドアップ領域に加え、ビルドダウン領域の線量についてradiochromic film EBTにてPDDを測定し、その精度を調査している。
ビルドアップ領域の測定方法
測定器はSolid water phantom(1.04g/cm^3)の表面に設置。SSD=100cm。referenceとして1.5cm深も測定。LINACはVarian 2300 C/D。
radiochromic filmを含め、論文にて用いられた線量計の実効測定点(radiochromic film はsensitivity layerの中間の厚さ)、および最大深および実効測定点における水と検出器の制限衝突阻止能比は以下のように記されている。
HD-810: 0.0004g/cm^2, 4μm, 0.9996
Attix chamber: 0.0048g/cm^2, 48μm, 1.012
Extrapolation chamber: 0.0069g/cm^2, 60μm, 1.010
HS: 0.0153g/cm^2, 153μm, 0.9993
EBT: 0.0153g/cm^2, 153μm, 0.9997
XR-T: 0.0157g/cm^2, 157μm, 0.9997
TLD-100 (0.15mm): 0.0185g/cm^2, 185μm, 1.002
TLD-100 (0.4mm): 0.0496g/cm^2, 496μm, 1.001
ビルドダウン領域の測定方法
EBTフィルム(3cm x 23cm)をSolid waterではさみ、6Gy(最大深)照射。照射野10x10cm^2。ガントリー角度90度。PDDを測定。
照射野の大きさとビルドアップ領域、ビルドダウン領域のPDDの関係
一辺5, 10, 15, 20, 25, 30cmの正方形照射野を使用して、上記影響を調査。
結果
1. ビルドアップ領域における各種線量計の実効測定点におけるPDD値と70μm(皮膚)でのPDDおよび補正係数との関係は以下である。
Skin. PDD 17.0%
Attix. 16.0%, 1.062
EBT. 19.9%, 0.854
HS. 20.0%, 0.850
XR-T. 20.3%, 0.837
TLD(0.15). 21%, 0.810
TLD(0.4). 29, 0.586
2. ビルドダウン領域における各種線量計の実効測定点におけるPDD値と70μm(皮膚)でのPDDおよび補正係数との関係は以下である。
Skin. PDD 32.66%
EBT. 32.75%, 0.997
HS. 32.75%, 0.997
XR-T. 32.76%, 0.997
3. 照射野を変更した場合における、ビルドアップおよびダウン領域におけるEBTの実効測定点におけるPDD値と70μm(皮膚)でのPDDおよび補正係数との関係は以下である。
Entrance skin dose correction
5x5. 0.804, 10x10, 0.854, 15x15, 0.908, 20x20, 0.910, 25x25, 0.925, 30x30, 0.928
Exit skin dose correction
5x5. 0.998, 10x10, 0.997, 15x15, 0.997, 20x20, 0.998, 25x25, 0.997, 30x30, 0.998
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本報告ではガフクロミックフィルム4種類(HD-810、XR-T、HS、EBT)の構造がFig,1に詳しく記載されている。これを確認するだけでも非常に参考になると思われる。またビルドアップ領域では比較的大きな補正係数が必要であるのに対し、ビルドダウン領域ではほぼ1.000であることに注目したい。
詳細は論文で。