放射線治療と医学物理

放射線治療、特に医学物理に関する個人的記録

CTのMTF評価を簡便にするために

2008年11月07日 | QA for IGRT
放射線治療と医学物理 第48号

Ronald T. Droege, et al.: A practical method to measure MTF of CT scanners, Med Phys, 9, 1982

IGRTに使用されるCBCTの画像評価の項目の中には、高コントラスト分解能の評価としてMTFが用いられています。MTFの取得にはワイヤー法等が用いられますが、テストツールを正確に配置することの煩雑さ、計算過程が複雑である等の問題点があります。一方で、本論文に紹介されている方法は、バーパターンの画像内のピクセル値の標準偏差を使用してMTFを求めています。この方法はミスアライメントの影響を受けにくく、CT装置に備えられているROI中の平均値と標準偏差を計算する機能を用いているため、簡単かつ早く結果を得ることができると記載されています。

本論分によると、MTFは以下の式にて表すことができます。
MTF(f) = π√2 / 4 ・M(f) / M0 f>fc/3
M(f): 標準偏差
実際に測定した標準偏差M’は均一なROI中にて得られた標準偏差Nにて補正することができます。
M = √(M’^2 - N^2)
M’: パターンの境界内において、もっとも大きな正方形のROIにて得られた標準偏差
N: PlexiglasのCT値における標準偏差Np、水のCT値における標準偏差Nwにより、
N^2 = (Np^2+Nw^2) /2
M0は下記の式で表すことができます。
M0 = |CT1 – CT2|/2
Plexiglas / Waterバーアレイを用いた場合、CT1: PlexiglasのCT値、CT2: CT1と同位置(x, y)でスライスの異なる、均一な面(水のみのスライス)における水のCT値

ここでは通常のMTF測定法(0.1mm直径ステンレススチール)によって得られたMTFと簡便法の結果を比較し、差異がないことを記述しています。

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操作が簡便であり、かつ結果をすぐに得ることのできるこの方法は非常に優れている。また、画像のノイズに結果が影響しない点も重要である。しかし、この方法ではカットオフ周波数が7.5 cycles/cm以下の場合、2.5 cycles/cmの評価はできないことに注意が必要のようである。

詳細は論文で。



CBCTの画質評価と許容値の設定

2008年11月05日 | QA for IGRT
放射線治療と医学物理 第47号

Jean-Pierre Bissonnette, et al.: A quality assurance program for image quality of cone-beam CT guidance in radiation therapy, Med Phys, 35, 2008

IGRTとして使用されているCBCTの画像におけるQAに関する報告です。本論分を発表したPrincess Margaret Hospitalの施設の充実度には本当に驚きます。ここではCBCTの画像評価のQAを作成するために10台のCBCT(Varian OBI. 4台、Elekta Synergy. 6台)を利用して、3年間の臨床使用におけるデータを元に許容値を考察しています。

CBCTの画像は画像registrationアルゴリズムの信頼性および正確性に影響し、その結果IGRTの正確性に影響を与える可能性があります。また、long方向のflat panelの位置のずれは、画像の質は保たれたままでも誤った位置情報を与えてしまう可能性があります。

 Flat Panelは一般的にピクセルgainの変動、defectiveピクセル、ピクセルoffset、暗電流の変異を補償するために校正されています。暗電流やピクセルoffsetは画像再構成の前に各々のプロジェクションから暗電流を差し引くことで消去しており、このDark imageはflat panelに照射することなく50画像を平均化して得られ、各々ピクセル毎の標準偏差が自動的に記録されます。ピクセルごとのgainの変動とdefective pixelはflood imageを利用して補正されています。このflood imageは遮蔽体(吸収体)なしでopen照射を行い、照射50画像を平均化して得られます。この作業(flood image)によりピクセル固有のgain factorが得られ、defectiveピクセルは近くのピクセルの値を平均化することにより消去されます。
Flood imageは取得環境下に依存し、本論分ではElekta LINACにおいて2.0cmアルミニウムを装着、およびVarian OBIではbow-tie filterを装着して取得しています。

Flat panelは撮影用X線および加速器からの散乱線、漏洩線にて電気回路が照射され、時間の経過とともに少しずつパフォーマンスが低下してくることが予想されます。これを評価するために平均化されたdark、flood imageを26ヶ月取得し、100x100の中心部のピクセル値を記録し、この標準偏差をモニターすることによりflat panelのパフォーマンス低下を調査しています。評価方法には中心ピクセルの平均値を標準偏差で除算することでSNRを算出し、26ヶ月の経過を調査しています。

上記のdark imageやflood imageに加え、ここではCatPhanを用いて均一性、低コントラスト検出率、高コントラスト分解能、画像の忠実度、CT値の直線性を調査しています。高コントラスト分解能の評価には21個の正方形の波型パターンを用いてMTFを評価しています。
 均一性の評価においては、積算不均一性として、中央と外側4箇所のCT値を測定し、
Integral nonuniformity = (CTmax – CTmin) / (CTmax + CTmin)
として評価し、
Uniformity index = 100 x (CTperiphery – CTcenter) / CTcenter
も同時に評価しています。

結果は以下です。
1. 26ヶ月のデータにおいて、dark imageの標準偏差の平均. 5.62±0.09ADC、99%信頼領域0.27ADC
2. flood fieldの平均的SNRの評価は、不明瞭な測定基準であった。
3. 正方形の波型パターンを使用したMTFでは、アイソセンターplaneから離れても(4cm, 8cm)MTFは変化しない。また照射野を小さくすることで(散乱線を減少させることで)MTFはずいぶん改善する。
4. Integral nonuniformityは0.009-0.039の間(平均0.025)、Uniformity indexは-8.9-4.5の間(平均-2.9)
5. CT値の直線性は装置に依存するところが大きい
6. 距離の測定の精度は99%信頼区間において0.45mmであり、メーカの基準値1mmよりも優れている
7. 同じメーカの装置であっても許容値が異なる。


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LINACに搭載されているCBCTは非常に高エネルギーの散乱線を電気回路に受ける可能性がある。性能の低下を発見し、なるべく早く対処するためのQA作成に関する工夫が見られる論文である。ほぼ3年の使用で劣化が見られないことは記載されているが、劣化状況を把握しておくことは必要かもしれない。
許容値は相当数のデータを取得し、その統計的処理から判定する方法が妥当なところのようである。
装置や使用環境、スタッフ等の条件が異なれば、許容値が異なって当然である。
最重要なことは各施設で許容値を作製するために定量的評価のための統計的手法を学ぶことである。

知識がないまま使用するだけの装置とならないように心得たい。

詳細は論文で。



モンテカルロ法によるCBCTの線量評価

2008年11月01日 | QA for IGRT
放射線治療と医学物理 第46号

George X Ding, et al.: Accurate patient dosimetry of kilovoltage cone-beam CT in radiation therapy, Med Phys, 35, 2008

現在CBCTがIGRTの重要なツールとして使用されている。あえて記載する必要性も低いが、CBCTを使用することによって3Dでの解剖学的情報収集が可能となり、そのデータを用いて患者の位置補正をすることができる。しかし高頻度にCBCTを使用することとなれば、組織に与える吸収線量(放射線被曝)も無視できないものとなる。
また、CTの被曝の把握は重要項目となっているものの、人体内の軟部組織や骨等の不均質物質での吸収線量評価は容易ではない。
本論文ではこの問題に対処するために、モンテカルロ法を用いてCBCTでの被曝(臓器吸収線量)を把握することを試みている。

方法
モンテカルロコード: BEAMnrc/DOSXYZnrc
LINAC: Trilogy, OBI (Varian)
CBCT: 125kVp, 80mA, 25ms, 2mm thick slices,
Rotating the gantry: -4° to 364° (total 368°)
Ionization chamber: Exradin model A14 (waterproof), IC15

CBCTにて得られた画像における1点の線量を、電離箱で測定した値(Dexp)とモンテカルロで計算した値(DMCcal)とを比較し、
Dexp = fMCcal・DMCcal
と定義し、モンテカルロ校正定数(fMCcal)を得ています。
このfMCcalを種々の部位におけるモンテカルロの計算結果(DMCcal)に乗じることにより、種々の部位におけるモンテカルロ予想線量(DMC)を得ています。
DMC = fMCcal・DMCcal

また、モンテカルロ法の妥当性を証明するために、水中(Blue phantom)でのdepth-dose, dose profileを測定、比較評価をしています。この際、測定の不確かさとして3%の再現性が記述されています。

CBCTの線量評価に用いられたファントムは頭頚部および骨盤のRadiosurgery verification phantomであり、この中にExradin A14線量計を配置して測定を行っています。

結果は以下です。
1. OBIのX方向(治療台lateral方向)のプロファイルは、bow-tie filter、heel効果により対象ではない。
2. PDDおよびプロファイルにおいてモンテカルロ法による計算と測定結果は非常に一致している。
3. Head phantomでのDexp=7.92cGy (half-fan scan mode): ほぼ頭部の中央
4. Pelvis phantomでのDexp=4.42cGy (half-fan scan mode): ほぼ骨盤の中央
5. Pelvis phantomでのDMCcal=4.33cGy, 測定よりも2%低い
6. 骨の線量は軟部組織の3-4倍となっている。
7. 患者の頭頚部CBCTにおいて、骨の吸収線量は20cGyよりも多い。脳は最大5cGy、脊髄は最大6cGy、皮膚は最大10cGy。
8. 患者の胸部CBCTにおいて、脊髄は3-4cGyであり、頭頚部CBCTよりも少ない。
9. 患者の下腹部CBCTにおいて、骨の吸収線量は10-20cGy、皮膚は5cGyよりも少ない。これらは頭頚部CBCTよりも少ない。

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 モンテカルロ法における計算の誤差要因はSystematic errorとstatistical errorに分けられる。ここではCalibration法によりSystematic errorを減少できたと報告している。この方法はVMCBC©としてVanderbilt大学が権利を有しているようである。
 本論文に記載されている診断エネルギーにおけるPDDやProfileはあまり公表されていない。またモンテカルロによるCT時の臓器吸収線量の把握は非常に有用である。将来的に、CTを撮影した際にピクセル値を確認すれば「CT値」と「臓器吸収線量値」が表示される日も遠くないかもしれない。

詳細は論文で。



定位放射線治療QAのためのCBCT

2008年10月27日 | QA for IGRT
放射線治療と医学物理 第45号

Jenghwa Chang, et al.: Accuracy and feasibility of cone-beam computed tomography for stereotactic radiosurgery setup, Med Phys, 34, 2007

定位放射線治療における患者setupは、一般的に定位用フレームにて行われている。このsetupや治療における検証は、コントラストの低いportal image、治療部位が小さいこと等から従来困難であった。そこで最近使用可能となったCBCTを使用することによって、高精度定位放射線治療のsetup精度向上の可能性がある。
本研究では最近使用可能となったLINACに搭載されたCBCTを用いて、radiosurgeryのsetupの検証を行っている。

この研究にて使用されているCBCT装置はVarian社のOBIである。このOBIはactive servo feedback機能を有し、ガントリーの角度にかかわらず目的とするアームの位置を自動補正する。またLINACは2100EX、カウチにはRadionics製を用いている。

定位放射線治療用のフレームはBRWである。2mmの複数の丸マーカをランド頭部ファントムに埋め込み、BRWフレームに装着させ、CT(PQ 5000)にて撮影している。またこのファントムには直径9mmの2つのpoleがついており、このpoleを囲むことでも幾何学的中心を得ている。

LINAC室内にてBRWフレームの位置を合わせるためにレーザを使用し、その後CBCTを撮影している。BRWフレームのマーカを全て撮像範囲に含めるため、X線管-FPD検出器間距離を150cmとし、FPDを15.5cmシフトさせている。ここで360deg収集を行い、half-fan画像再構成アルゴリズム(Feldkamp FBP)にて画像を作成している。

その後撮影したCTもしくはCBCTのデータはBrainSCANにてBRWの座標に置き換えられている。またTPSにてマーカ間の距離および角度を測定することにより、CTとCBCTの幾何学的精度の確認を行い、その後画像をfusionさせ、その正確性を検証している。

最後にBRWフレームにて位置合わせした後にCBCTを撮像し、3軸の差を検出している。ここではカウチの正確性(1mm程度)の問題からtranslationはしていない。また、その同様の3軸の差を検出するためにX線撮影も行っている(マーカがよく見えるため)。

結果は以下です。
1. CBCTの画像に有意な歪みは見られない。
2. CTおよびCBCTから得られたBRWのlocalizingに差はない。
3. CTおよびCBCTのデータによるimage fusionは正確である。
4. CBCTにて得られたsetup errorと2方向のX線撮影にて得られたsetup errorは1.28mm±0.61mm(1SD)であり、この理由はCBCTのsliceが2mmであることと記載されている。

筆者は将来的に、レーザを用いてsetupする従来の方法は、CBCTを用いた方法に置き換わる可能性を指摘している。これにより、quality assuranceがOBI systemとLINACのアイソセンターの一致のみを見ていればよいこととなり、単純化されると記している。またほとんどの患者において治療を通じてフレームと頭蓋骨はずれないが、過去には5mmのずれが報告されたこともあり、ここでもCBCTではフレーム内のシフトも検出できるため威力を発揮できる。Fusionが高性能にて行われた経緯から、将来的にはフレームを用いることなくマスクのみで治療も出来るようになると思われる。

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CBCTの臨床での威力は容易に想像できるが、その幾何学的精度の検証や応用評価となれば話は別である。CBCTのQAを最適化し、臨床での治療効果を最大限発揮できるようにするにはこの種の論文は重要であると思われる。

詳細は論文で。



XVIおよびOBIにおけるCBCT線質、線量評価

2008年10月15日 | QA for IGRT
放射線治療と医学物理 第44号

William Y Song, et al.: A dose comparison study between XVI® and OBI® CBCT systems, Med Phys, 35, 2008

Elekta社のX-ray Volumetric Imager、Varian社のOn-Board ImagerのCBCT線量比較における報告です。
CBCTは患者の設定や治療効果の判定等、幅広く使われてきています。特にIMRTでは再現性良く位置合わせができていることは治療効果にも影響してきます。

本報告ではCBCT時のアクリルファントム中心線量と全mAs値との関係を詳細に調べています。

CBCTが撮影可能な2つの装置ですが、特性や使用時のフィルタ等は異なります。たとえば、XVIはsourceが90degについていますが、OBIは270degについています。

線量は水の吸収線量として、アクリルファントム中に電離箱を設置して測定しています。空気カーマから水の吸収線量を得ているため、質量エネルギー吸収係数の比を使用しています。ここでは半価層を種々の条件下で測定し、吸収係数の比を得ています。

CTの線量として最もよく使用されているのはCTDIです。これは比較的電離容積の長い(100mm)電離箱を使用して得るものですが、CBCTのように広いビームだと測定することはまず不可能です。そこで筆者は0.6ccのfarmer typeの線量計を使用してCTDIを測定しています。CBCTは収集の特性上、必ずしも360度回転が必要なわけではなく、中心軸上の線量分布が均一となるわけではないため、CTDIwの理念を使用して評価しています。
筆者のCBCTのCTDIは
CBCTDIw = (1/3)D central + (2/3)D peripheral
として測定、評価しています。

結果が非常にわかりやすくまとめられていますが、注目すべきはXVIとOBIの線量の差です。同じ照射条件(画像の質)にして評価しているわけではないので、一概に比較することは困難だと筆者も認めていますが、XVIの線量が低く報告されています。
XVIとOBIの実効エネルギー(アルミ半価層)の比較においても、XVIは高いエネルギーを使用していることが明らかです。

測定の繰り返しによる値の不確かさを1σとして表記していますが、この内容に関しても非常にわかりやすい記載がされています。測定時の1σが全体の不確かさを示すわけではなく、水の吸収線量をアクリル中で測定していること、校正の方法が水を基準としていることなど、最終的な不確かさは5%程度になると表記しています。

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CBCTの線量評価は使用する限り重要である。評価の際、測定における不確かさの扱い方は非常にスマートであり、非常に参考になると思われる。

詳細は論文で。


OBI systemの包括的QA

2008年06月03日 | QA for IGRT
第11号

Sua Yoo, et al.: A quality assurance program for the on-board imager, Med Phys, 33(11), 2006

Varian社から発売されているOBI systemのQuality assurance programです。正直かなり良く考えられた方法で、かつ簡単に施行することができます。また、各々のテストに許容値およびテストの頻度が記載されており、OBI systemのQA入門編といえそうです。

<Safety and functionality QA>
1. Doorインターロック
2. 警告表示
3. 警告音
4. 衝突検出およびインターロック
5. ペンダントの動作チェック
6. X線管のウォーミングアップ
7. 機能チェック

<Geometrical accuracy QA>
 Geometrical accuracy QAはソフトおよびハードウェアの安定性を見るために行います。
1. OBIアプリケーションにて得られるアイソセンターとMVアイソセンターの正確性
2. 2D2D match and couch シフトの正確性
3. SAD, SIDを変更した際の正確性
4. アーム移動における正確性
5. ガントリー回転に伴うOBIアイソセンターの正確性

<Image quality QA>
1. 撮影におけるimage quality (コントラスト分解能、空間分解能)
2. CBCT画像評価
2-1 HUの直線性
2-2 低コントラスト分解能試験
2-3 高コントラスト分解能試験
2-4 HUの均一性
2-5 スライス内空間の直線性
2-6 スライス厚

 筆者はこれらのテストの結果から、OBI systemは機械的に信頼性があり、また安定していると報告しています。上記QAの方法、頻度、推奨許容値は個々の施設に依存するものの、このガイドラインは重要であると締めています。

OBI systemを用いた位置あわせは、照射したい領域と実際の位置ずれが生じている場合に、その位置ずれを少なくするために使用されます。正確に動作しないと、照射したい場所ではなく、正常組織やリスク臓器が含まれる領域にカウチが誘導されることもありえます。やはりIGRTのQAは他のQAと同様重要な項目です。

詳細は論文を。






On-board digital tomosynthesis images

2008年05月20日 | QA for IGRT
Lei ren, et al.: Automatic registration between reference and on-board digital tomosynthesis images for positioning verification, Med.Phys, 35(2), 2008

Varian社から販売されているOn-board imager (OBI)を使用したポジション位置誤差の検証には、2D-2D matchingおよびCBCTが利用されている。
CBCTは軟部組織コントラストに優れており、骨以外での位置利用できるなどの有益性の報告はあるものの、CBCTは収集に1分程度かかり、その後のreconstructionも加えると数分かかる。また、被曝もそれなりに高いと報告されていることから、常に臨床で使用が推奨されるものではない。

一方でDigital Tomosynthesis (DTS)を使用すれば10秒以内(44度の回転角度)で画像収集ができ、被曝もCBCTよりは低い。
本論分はDTSのregistrationにおいて、static methodとadaptive methodの両方の利点を取り入れてHybrid methodを提案するというもの。
これにより、高速かつ正確な位置あわせが可能となる。

DTSの技術はすばらしいが、2D-2D matchingに比較してポジション位置誤差の検証に時間がかかるのは必至であり、また、DTSでは軟部組織コントラストを期待できないことから臨床では積極的に使用されるものではないかもしれない。



QA phantom for image-guided radiotherapy

2008年05月10日 | QA for IGRT
Weihua Mao, et al.: Development of a QA phantom and automated analysis tool for geometric quality assurance of on-board MV and kV x-ray imaging systems, Med.Phys, 35(4), 2008

最近特に良く聞くようになったIGRT。
ライナック等室内のimaging systemにより、setup errorの補正や呼吸移動の確認、MU re-calculateするために使用される。

画像誘導放射線治療は「画質」と「座標」が重要であり、特に「座標」の精度は品質保証として経過を見続けなくてはなりません。

ゆえにQAという考えが必須となるわけですが、本論文は単純かつ頑強、効率的方法の紹介です。

本論文によると、
deviations of the gantry angle:Δφ
deviations of the source-to-detector distance: ΔF
deviations of rotation radius: ΔR
deviation from the rotation plane: Δz
two translational offsets of the detector: Δu, Δν
orientation of the imager: α, β
の8種類の位置精度を調べることができます。

位置精度の計算において、MaoらはC言語で書かれた自動ソフトを作成しています。

現在のところ、日本国内で画像誘導放射線治療のQAガイドラインは公表されていません。
安全な画像誘導放射線治療のために、効率的かつ安全なQAガイドラインが渇望されますね。