放射線治療と医学物理

放射線治療、特に医学物理に関する個人的記録

XVIおよびOBIにおけるCBCT線質、線量評価

2008年10月15日 | QA for IGRT
放射線治療と医学物理 第44号

William Y Song, et al.: A dose comparison study between XVI® and OBI® CBCT systems, Med Phys, 35, 2008

Elekta社のX-ray Volumetric Imager、Varian社のOn-Board ImagerのCBCT線量比較における報告です。
CBCTは患者の設定や治療効果の判定等、幅広く使われてきています。特にIMRTでは再現性良く位置合わせができていることは治療効果にも影響してきます。

本報告ではCBCT時のアクリルファントム中心線量と全mAs値との関係を詳細に調べています。

CBCTが撮影可能な2つの装置ですが、特性や使用時のフィルタ等は異なります。たとえば、XVIはsourceが90degについていますが、OBIは270degについています。

線量は水の吸収線量として、アクリルファントム中に電離箱を設置して測定しています。空気カーマから水の吸収線量を得ているため、質量エネルギー吸収係数の比を使用しています。ここでは半価層を種々の条件下で測定し、吸収係数の比を得ています。

CTの線量として最もよく使用されているのはCTDIです。これは比較的電離容積の長い(100mm)電離箱を使用して得るものですが、CBCTのように広いビームだと測定することはまず不可能です。そこで筆者は0.6ccのfarmer typeの線量計を使用してCTDIを測定しています。CBCTは収集の特性上、必ずしも360度回転が必要なわけではなく、中心軸上の線量分布が均一となるわけではないため、CTDIwの理念を使用して評価しています。
筆者のCBCTのCTDIは
CBCTDIw = (1/3)D central + (2/3)D peripheral
として測定、評価しています。

結果が非常にわかりやすくまとめられていますが、注目すべきはXVIとOBIの線量の差です。同じ照射条件(画像の質)にして評価しているわけではないので、一概に比較することは困難だと筆者も認めていますが、XVIの線量が低く報告されています。
XVIとOBIの実効エネルギー(アルミ半価層)の比較においても、XVIは高いエネルギーを使用していることが明らかです。

測定の繰り返しによる値の不確かさを1σとして表記していますが、この内容に関しても非常にわかりやすい記載がされています。測定時の1σが全体の不確かさを示すわけではなく、水の吸収線量をアクリル中で測定していること、校正の方法が水を基準としていることなど、最終的な不確かさは5%程度になると表記しています。

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CBCTの線量評価は使用する限り重要である。評価の際、測定における不確かさの扱い方は非常にスマートであり、非常に参考になると思われる。

詳細は論文で。