盲ろうの方とお話したことのある人、会話をしているのを見たことのある方は、うなずきなどを伝えるために、手をトントンとたたいたり、太ももをタップしたりして、コミュニケーションをとる方法を見たことがあると思います。私は、今回、初めてアメリカでの名称をしりました。
ライアンさんが紹介した動画をご覧ください。
YouTube: Welcome to Pro-Tactile: The DeafBlind Way
お二人とも盲ろうの方で、相手が話しているとき、相手の太ももに自分の手を置いていますね。そして自分がうなずいたとき、手で相手の太ももをタップしています。相手の盲ろう者に「そうそう」という相槌を伝えているのです。これがPro-Tactile(プロタクテイル/略してPTと表す)で、動画では、盲ろう者にはタッチ(触ること)してコミュニケーションを取る、これぞDeafBlind Way!と話されています。
ライアンさんの言うに、
・PTの表現に決まったルールはない。
実際、ライアンさんは、彼の上司(盲ろう者)とオリジナルPTを作っているそうです。
・相手と通じやすい方法を考えたらよい。Be natural!自然体で。
例えば、タッチする部分は肩や手、太ももなどを使うことが多いようですが、
・立っているときに、太ももを触るのはやりにくいかも→肩や腕など
・座っているときは、上半身から太ももあたりまでか
などとそのときそのときの状況や相手に合わせて無理の無い表現を決めるそうです。
PTは、盲ろう者同士が話しているときに使われるし(上のYouTubeの例)、
盲ろう者が目が見える方と話しているとき、相手のうなずき、表情などを伝える情報手段にもなります。
「すまいる」事務所で行われた2日目のワークショップは、3人で一組、盲ろう者、盲ろう者と話す方、盲ろう者にPTで情報を伝える方の3役を練習しました。(写真下)
マーティン講師が門川さんの肩に手をおいているのがわかりますか?
緑の服(左)を着た方の表情を伝えています。このように、通訳ではなくても、私たちが普通に盲ろうの方に視覚情報を伝えることが可能です。
また、盲ろうの方々との気軽なおしゃべりをしているとき、PTを使うことで、リアルタイムに生き生きとした、密度の高い、そして、楽しい会話につながると思いました。
ライアンさんの話は続きます。
PTの使い方はまだまだあり、例えば、講演会の場合などでPTでは会場の様子を伝えます。
YouTube: JASS_Pro-Tactileの一例byMartin
質疑応答の時、会場の人が手を挙げたことを、通訳が背中でPTで知らせたら、司会担当の盲ろう者自身が、その人をさして、「どうぞ」とか「待って」等の指示ができるのです。盲ろうの方の「目」になって見えるものすべてを伝えるのです。
PTについてウエブサイトもあります。www.protactile.org
こちらのサイトで上のYouTubeの動画を英語テキストで読むことができます。
大切なことは、情報アクセスを増やすこと。
コミュニケーション方法や情報アクセスを複数持ち、どれを使うか選択できるとういうことが重要であるということを、改めて学びました。
私は盲ろう者活動に関わっているわけでもなく、通訳活動もしていませんが、盲ろうの友人は何人かおり、とても興味深く拝見させていただきました。
大阪のイベントは大盛況だったようです!
ライアンさん、ありがとう!そして紹介してくださったマーティン講師にもお礼申し上げます。
たか記