松岡和美さん。クラス受講から現在は個人レッスンとして協会に通ってくださっています。アメリカでの仕事でASLは必須のようです。
松岡さんとは、事務所にお越しの折に少しずつお話させていただいていますが、言語学では世界で権威の米国コネチカット大学大学院を卒業、博士号取得。アメリカで教鞭をとった後、帰国。現在は、慶應義塾大学で英語と言語学の教授として教鞭をとられています。知れば知るほどすごい才女なのだと知らされますが、普段の話しぶりはとてもフレンドリーでキュート。そのため、事務所では「さん付け」させていただいていますが、やはりここでは「松岡先生」に。
松岡先生が手話に出会ったのは、アメリカの大学で巡り合った指導教員が手話研究の有名研究者だったことがきっかけだそうです。日本でも手話研究を、と帰国してから、様々なご縁に支えられ、現在は手話言語学を専門とした研究に従事。ろう者と英語をつなぐ企画を立てたりして、ろう者のニーズをくみ取りながら、言語研究者としてデフコミュニティに寄り添い、支援していかれる真摯な姿勢が伝わってきます。
そんな松岡先生はこの10月にくろしお出版社から『日本手話で学ぶ 手話言語学の基礎』を出版されました。
おめでとうございます!
購入させていただきました!
この本の何が特別なのかというと、手話言語学専門家としての出版であること、そして、DVDが付いているのですが、このDVDは本の内容をすべてろう者が日本手話で表現しているものが収められていることです。書籍をすべて動画にしているのでなんと197分の長さがあります。3時間超!これはもう「DVD付き」ではないですね。DVD『日本手話で学ぶ 手話言語学の基礎』本付き、です。
何か文章を読んでいる時、日本語で書いてあるのに日本語に見えないことってありませんか?用語の知識がないだけといえば身も蓋もありませんが、でもでも、それを手話で説明したら、あ、わかった!ということが少なくありません。
早速、本を片手にDVDを読み始めました。「初学者が手話言語学の基礎知識を得るための入門書」とある通り、噛み砕いて丁寧に説明されています。言語学的には、「日本手話」、「手指日本語」、「混成手話」というのか。。。「日本語対応手話」、「中間型手話」ではないのね、とそんなところから学ぶ、超超超初学者の私です。勉強の秋にぴったり。ゆっくり読んで勉強させていただければと思います。
出版にかけ、松岡先生より伺いました。
「私の本は紀伊國屋書店では『言語学』に分類されており、お店では言語学のセクションに入っています。他の書店では『医療・福祉』の分類になっていますが、まず紀伊國屋書店のような大きい書店が動いてくれたことで、他の場所も変わっていくといいと思っています。紀伊國屋書店の人は、積極的にサポートしてくれています。」
確かに、本屋や図書館などでは、手話の本は、「医療・福祉」の本棚にありますね。手話の本が「言語学」の棚にあれば、手話が言語として認知された証となります。DVD(本)そのものも、そして、その位置付けも先駆けとなっているのですね。
このDVDは、言語として手話をきちんと理解したいというろうの方達に、両手をあげて歓迎されているに違いありません。さらに、言語学の棚に置かれることで、福祉分野ではない、言語としての手話の理解が広まることを願って止みません。
11月に、書籍出版祝賀会が開催されます。きっと多くの方がお祝いに駆けつけることでしょう。私とMartin講師も光栄にもご招待いただき出席させていただく予定です。少しでもお祝いの気持ちをお伝えできればと思います。とても楽しみです。
たか記(2015年10月26日)
追記:11月7日の出版パーティ