少し前のブログで、小選挙区制によって自民党が投票数の比とは比べ物にならないほど多くの議席を獲得したことを述べました。また、小選挙区制のもとではいかに50%を超えるか、というところに注力すればよいため、ムードをうまく作れば何とかなり、カッコいい党首を選出する、一言二言でわかるスローガンを印象付ける等といった作戦になる、と述べました。このような政治の空洞化を解消するためには中選挙区制のように投票数比が議員構成比に近くなるような制度が必要ではないかと考えていました。
そんな折、9月25日の読売新聞の「地球を読む」というコラムで、中曽根康弘元首相が小選挙区制の問題について言及しています。一部分を抜粋して紹介しますが、私の言いたかったことをずばり指摘しています。中曽根さんや、小泉さんまでもが小選挙区制にはもともと反対だったのですね。
政治台風襲来の後、全国の選挙民は自己が引き起こした劇場型選挙の予想外の結果について、異常なことと驚いている。まず今回の選挙の特色を探り、従来のものと比べその様相・性格の変化と問題点を考えてみたい。
正直なところ、小選挙区制採用には小泉首相も私も反対であった。選挙民は多元社会において白か黒かの二者択一を強いられ、結果は公認権を持つ総裁や幹事長の権力が強大となり、議員・党員は執行部の顔色をうかがって行動するようになる。中選挙区制においては、複数の候補者を選ぶ結果、演説会が中心となり、候補者の立会演説も行われ「考える選挙」の性格が強い。
これに対し小選挙区制は「スローガンの政治」「印象の政治」となり、劇場型の選挙は政治の深みや社会の多元性の喪失を招く。そして政党は総裁独裁型になる可能性が大である。そのような理由から反対していた小選挙区制を100%駆使して、小泉首相が今回の選挙で大勝したことは歴史の皮肉でもある。
ブログ党を提唱している私も、やはり中選挙区制が望ましいと考えます。理由は以下のとおりです。
■民意をほぼ正確に反映でき、第二、第三の意見も取り入れられる。
■小政党や個人にも魅力があれば当選できる可能性がある。政党本位ではなく、人物本位で議員を選ぶことができるようになる。
■選挙区が広くなっても、インターネットを選挙活動に用いることで選挙費用の増加を最小限に食い止めることが可能となる。従って中選挙区制が廃止になった1994年当時に比べ政治汚職の可能性は低減した。
前回のブログでも言いましたが、自民対民主の得票数は56:44です。6対4ですらありません。割と接戦だったのです。しかし結果は自民圧勝。これでは民意を反映しているとは言いがたいですね。是非とも選挙にインターネットを活用し、民意を正確に反映できる中選挙区制の導入を期待したいものです。