noribo2000のブログ

特定のテーマにこだわらず、意見やアイデアを表明するブログです

賑やかなリンク集~インターネットでワクワク体験~

2005年12月30日 | 科学技術・システム・知財など

多分今年最後のブログになります。ちょっと楽しい記事を見つけたので紹介します。

英大学生、斬新なウェブサイトで大もうけ

英国の大学生、アレックス・テューさん(21)が斬新なアイデアをもとに作ったホームページ(http://www.milliondollarhomepage.com/)で大もうけしている。

テューさんは自身のホームページを100万ピクセル(画素)からなる広告掲示板に作り変え、ロゴマークの掲載希望者に対し、1ピクセル1ドルで販売。販売開始から4カ月間で正味100万ドル(約1億1700万円)の利益を得ている。

テューさんはロイターの取材に対し「売り上げは銀行に貯金している」とコメント。さらに「車を買った。運転免許を取得したばかりだから、黒のミニクーパーにした」とも語った。 

出会い系サイト、カジノ、不動産業者から英タイムズ紙に至るまで、さまざまな広告主がピクセルを購入。現時点までで91万1800ピクセルが売れている。


ここ見てみました。ものすごく賑やかなリンク集といった感じです。通常のリンク集だとブラウザやサイト内の検索機能によって必要な情報にすぐアクセスができるのですが、このサイトは到底そんなことできません。なので「どれどれ」といって見た目に面白そうなロゴマークを試しにクリックしてみる必要があるのです。

これって、本屋、CD屋、レンタルビデオ屋などに行ったときやチラシなどを見たときに感じるワクワク感に近いものがあるかもしれません。目的のものが見つからないかもしれないが、何気なく手にとって見たものの中に意外な発見があるかもしれない、というあの感じです。インターネットでの情報検索は確かに膨大なデータの中から欲しいものがすぐに手に入るけど、こうした楽しみを感じる機会が少なかったような気がします。

また、欲張らず(?)に100万ピクセルのサイズで抑えているところも絶妙ですね。有限な領域の中でいかに自分のロゴをクリックしてもらうか、という部分でも広告主は工夫をすることでしょう。それがまたこのサイトの魅力を引き立てているともいえます。ビジネスとしてもサイズが無限に増え続ける掲示板であれば1ピクセル1ドルなどという課金はできなかったでしょうけど、サイズ限定なので狭い領域を高価に販売することに成功しています。コンシューマも無限に広い掲示板だったら途中で飽きてしまいますが、100万ピクセルくらいならばさっと見渡すことができるので、これくらいなら見てやろうかなと思わせる効果もあると思います。

このサイトの応用例として、例えばVoDなどのコンテンツをこんな風に陳列すると良いのではないでしょうか。偶然による発見も含め、コンテンツが多くの人に接する機会が増えるのではないかと考えます。

なお、もっとこうした方がいいなと思う点は下記のとおりです。

  • 掲示板をカテゴリごとに分けたほうが良い。
  • 1度ピクセルを購入したら5年間有効とあるが、もっと短いスパンでも良いように思う。(例えば1週間、1ヶ月単位など)そうしないとリピーターが現れない。

このサイトの日本語版、1億円ホームページ も開設されているのですが、こちらはまだ開設したばかりなのか寂しい限りです。そのうち充実してくるのでしょうか。これからどうなるかが楽しみなサイトです。


 


NHKの民営化はしない?~小泉首相~

2005年12月24日 | 政治・社会

首相、NHK民営化に否定的考え

小泉首相は22日夜、NHK改革について「NHKは特殊法人(を維持)とする(政府)方針がある。民営化ではない、ほかの改革が議論されるのではないか」と述べ、NHKの民営化に否定的な考えを示した。
 
首相官邸で記者団に語った。発言は、2001年12月に決定した政府の特殊法人等整理合理化計画で、NHKの組織形態は「現状維持」としたことを踏まえたものだ。

政府の規制改革・民間開放推進会議は21日、受信料制度見直しなどを明記した答申を首相に提出した。

当ブログではかねてより、NHK放送のスクランブル化、およびNHK民営化の推進を主張してきました。改革続行を標榜する小泉首相ならばNHK民営かも現実のものとなるかと期待していたのですが残念です。記事にあるように4年前の「特殊法人等整理合理化計画」で現状維持という結論が出ている、というのが理由とのことでしたが、当時から現在に至るまで放送を取り巻く環境が激変していることを考慮すれば、再度民営化も含めた改革の議論を開始して欲しいところだと思います。

そこで、2001年12月に決定した「特殊法人等整理合理化計画」では、NHK改革についてどのように記載されているのか調べてみました。

特殊法人等整理合理化計画

p.19
日本放送協会

(事業について講ずべき措置)
【公共放送事業】
○公共放送事業に付随した新たな業務の実施について、インターネット利用については放送の補完としての利用に限定するとともに、子会社等の業務範囲の拡大を抑制するため、子会社等の業務範囲を原則として出資対象事業に限定する等の仕組みを設ける。

○子会社等との取引については、競争契約を原則とするとともに、随意契約による場合については、業務の専門性、特殊性等から他に委託先がない等やむを得ない場合に限定する。

(組織形態について講ずべき措置)
●特殊法人

これだけだと、なぜ特殊法人のままという結論に至ったのか判りませんね。そこでさらに特殊法人等改革推進本部の会議で何が議論されてきたか調べてみました。

2001年9月4日に「特殊法人等の廃止又は民営化に関する各府省の報告」が公表されました。NHKの所管の総務省の見解は下記のとおりでした。

p.4
【廃止の可否: 廃止できない】

(事業を純粋に廃止できない理由)
① 我が国の放送は、国民からの受信料を財源とし、放送の全国普及、豊かで良い番組の放送、放送の進歩発達等を目的とする公共放送と、広告料収入等を財源とする民間放送との二元体制の下、互いに切磋琢磨しつつ発展。

② 仮に、日本放送協会を廃止する場合、上記の目的を達成できず、我が国の放送の健全な発展に支障が生じることから廃止することは適切ではない。

(事業を他の運営主体に移管して特殊法人等を廃止することができない理由)
③ 日本放送協会の事業を他の運営主体に移管する場合、国、地方公共団体については行政府からの自主性及び政治的中立性の
確保が要求される報道機関としての特殊性から適切ではなく、民間企業については上記①の目的達成が不可能となることから適切ではない。

【民営化の可否:民営化は適切ではない。】
(民営化できない理由)
○ 民営化は上記①の目的達成が不可能となることから適切ではない。


んー、なんという貧弱な理由でしょうか。NHKと民放とが「切磋琢磨しつつ発展」とあり、これを継続する必要があるためNHKを民営化できないとしています。しかしNHKと民放とは何をどう「切磋琢磨」してきたのでしょうか?テレビ放送が始まった当初のことはよくわかりませんが、昨今のテレビ放送からはそのようなNHKと民放の切磋琢磨を感じることはありません。

この程度の理由でありながら、これを受けた特殊法人等改革推進本部の会合で事務局はこんな意見を述べています。

特殊法人等の組織見直しに関する各府省の報告に対する意見

p.5
日本放送協会

【廃止・民営化の可否(その他)】
不可

【その条件等】
(豊かで良い番組の放送等を実現し、放送の健全な発展を図るため公共放送は必要)

【事務局の意見】
引き続き整理合理化について検討する。


つまり民営化についてはあっさりあきらめ、「整理合理化を検討する」とだけ記載されているのです。その結果が「特殊法人等整理合理化計画」に反映されているのです。この計画の中にNHK民営化などの根本的な改革は当然盛り込まれておらず、「整理合理化」の一環でNHK子会社の業務範囲やNHK本体と子会社の発注関係について一定の制限を設ける程度に留まっています。

このような経緯で決められた4年前の計画に縛られてNHK民営化の議論をしない、とするのはあまりに消極的だと思います。NHKをめぐる国民の不信感が高まっており、思い切った改革の必要性は4年前とは比較にならないほど増大しています。是非とも民営化も含めた改革に向けて大胆に舵を切って欲しいと思います。


規制改革・民間開放推進会議でNHKの「地デジ」スクランブル化の検討を進言

2005年12月22日 | 政治・社会

かねてより内閣府の規制改革・民間開放推進会議で議論してきたNHKによる公共放送、受信料制度の是非について、答申が出ました。

NHKのスクランブル化検討…規制改革推進会議が答申

答申の本文はこちら

(p.81より抜粋)

NHKの業務、組織等を規定した放送法が制定された昭和25 年当時は、視聴の有無とは無関係に受信機を設置した者に対してNHKとの契約義務を課し、あまねく全国に放送を普及させるための特殊な負担金として受信料を徴収することは有効な方法であり、また、国民の理解を得られるものであった。しかしながら、その後50 年以上を経て放送を取り巻く環境は特に近年大きく変化しており、NHKの根幹を成す受信料制度も見直しを迫られている。昨年の不祥事を契機とした受信料の不払い(支払拒否・保留)は、平成17 年9月末現在で約127 万件に上っており、未納、滞納さらには未契約世帯958 万世帯を合わせると契約対象世帯数の約3割に達し、平成17 年度の受信料収入は当初予定から約500 億円もの減額が見込まれている。最早これは単に不祥事による一時的な現象と見るべきではなく、視聴の有無にかかわらず国民に負担を求めるという受信料制度が構造的に抱える問題が表面化したと考えるべきである。様々なメディアが存在し、国民の対価意識が強まり、さらに、NHKの放送番組内容自体も災害・ニュースからスポーツ・娯楽に至るまで多様化している中で、受信料制度は利用者の選択の自由を制約するものであり、民間の有料放送や通信インフラを利用した有料コンテンツ配信との公正な競争条件の確保という観点からも今や問題があると言わざるを得ない。

(p.83より抜粋)

デジタル化や通信・放送融合の進展、視聴形態の多様化など公共放送を取り巻く環境の変化を踏まえ、保有チャンネル数の在り方、上波デジタル放送のスクランブル化の是非を含む受信料制度の在り方、業務範囲等、将来を見通した公共放送の在り方全体の見直しを早急に行い、平成18 年度早期に一定の結論を得るべきである。

この答申は当ブログでの提言とほぼ同じ内容になっており、私としては一歩進んだかなと感じています。ただしこれからが大変で、いかに実行するかというのが今後の大きな課題になります。来年度の動きは要注目です。


浅田選手の五輪出場特例について

2005年12月21日 | スポーツ・プロ野球など

12月17日、フィギュアスケートのグランプリファイナルで優勝した浅田真央選手が年齢制限によってオリンピックに出場できない件について、日本スケート連盟は国際スケート連合(ISU)に対し特例の申請を行わないことに決めました。このことについて日本スケート連盟に対し400通もの懇願メールが届いているようです。

浅田の五輪特例、日本連盟求めず…ISU会長見解受け 

「真央を五輪へ」働きかけ求めるメールが400通も 

まあ、あれだけの圧倒的な演技を見せられれば、なぜ五輪に出られないのか?といいたくなる気持ちはわからないでもありません。しかしながら私は今回は特例を認めるべきでないと考えます。理由は以下の示すとおりです。

■ もともとトリノ五輪の選考対象ではなかった

現在の日本女子フィギュア界は浅田選手だけでなく安藤選手、中野選手、荒川選手、村主選手など世界を争える強豪選手がひしめいている状況です。浅田選手以外の選手はまず国内の選考に勝ち残るべく、厳しいプレッシャーの中で戦ってきているのです。トリノ五輪は眼中に無かった浅田選手とはプレッシャーのかかり方が違うと考えます。よって、当初からトリノ五輪出場を狙っていたほかの選手と同列に比較するのはアンフェアといえるでしょう。

■ 年齢制限はある程度やむを得ない

ISUの規定には2005年7月1日に15歳になっていない選手は翌年のオリンピックには出場できないことが明記されています。このルールは、選手の体調面を考慮して決められたもののようです。フィギュアスケートは体に何トンもの加重がかかるといわれ、非常に体に無理を強いるスポーツといわれています。そのような過酷なスポーツでありながら、体の軽い若い選手の方がジャンプが飛びやすいので高得点が狙いやすいという側面もあるようです。結果として成長過程にある若い選手に無理をさせることにつながってしまい、選手の体調面で深刻な影響を与える可能性が高まります。年齢制限ルールはこうしたことに配慮したものと思われます。

そうは言っても、今回の浅田選手の場合はたった1ヶ月2ヶ月の差ではないか、という意見もあります。これについては確かに強引な線引きではあるかもしれませんが、もっと柔軟なルールにしてしまうと結局は大人の都合でルールを規定した本来の趣旨をねじ曲げてしまい、選手の体調面配慮という本来の目的を果たせなくなる可能性があります。喫煙・飲酒が20歳から、というのと同じで、この手の線引きがどこかで必要になるのは仕方ないと思います。

それではなぜグランプリファイナルのような国際試合には出場権を与えているのか、という点も疑問としてあるところだろうと思います。ただ、このような国際試合は選手個人・コーチ陣・協会・そして国民全体の最終到達点ではないため、腕ためし的に参加くらいは認めてもよいであろうということだと思います。一方、五輪のように選手の最終目標と位置づけられている大会の年齢制限が下がるということは、強化対象が低年齢化し、結果として選手の体調に深刻な影響を与えることになりかねないので、これは避けなければならないでしょう。

ISUのルールについては、こうしたきれい事だけではなく、いろいろな思惑があるようなことも一部報道されていますが、それを差し引いても上記の理由から今回の浅田選手のトリノ出場特例を認めないとする措置は妥当ではないかと考えます。彼女には今回は無理をせず、ぜひ2010年のバンクーバー(19歳)、2014年(23歳)、2018年(27歳)のオリンピックぐらいまでは頑張ってもらいたいですね。金3つを期待しましょう。


みずほ誤発注の取り消しエラーは東証システムの不具合

2005年12月13日 | 科学技術・システム・知財など

先のブログでも取り上げた12月8日に発生したみずほ誤発注問題で、みずほ担当者が誤発注後に操作の取消を実行したにもかかわらず受理されなかった件について、当初はみずほ担当者のオペレーションミスと説明されていたのですが、実は新規上場時の取消し操作がうまくいかないというシステムの不具合が原因であることがわかりました。

東証システムに不具合、みずほの誤発注を取り消せず

東証は8日の会見で、取り消しが利かなかった理由を「みずほがストップ安価格の57万2000円で取り消し注文を出すところを、誤って1円で出したため」と説明していた。しかし、11日の会見では一転、「どのような価格を入力しても取り消しが利かない仕組みになっていた」と説明を変更した。

東証によると、売買システムでは通常、3秒ごとに繰り返される約定処理の合間に取り消し注文が入ると、それ以後の取引に反映され、売買が行われない仕組みになっている。しかし、すでに上場している銘柄で誤発注があった場合には対応できるが、新規上場したジェイコムのようなケースでは取り消し注文ができない仕組みになっていたという。現在の売買システムは2000年に導入され、富士通が納入した。

取消すときに発注IDを指定するようにすればオペレーションミスも発生しないはずであり、このようなユーザフレンドリーでないシステムを作った東証・ベンダ(富士通)にも責任がある、と先のブログでは指摘しました。しかし、それ以前の問題だったということが判明しました。境界値試験(システム上認められている値域の外の値を入れてみて、異常計の処理がうまく動作するか確認する試験)、シナリオ試験(実際の業務フローを想定し、ユーザの利用状況を模擬して実施する試験)などが不十分だったのでしょう。

前回の月またぎ処理の不正動作といい、今回の新規上場時の不正動作といい、どうも富士通の開発体制に根本的な問題があるような気がしてなりません。だからこそ当ブログでも前回の不具合の時に「富士通は再発防止策を早く提示しなければならない」と指摘したのですが、未だに提示されておりません。このことは、「たまたまこのシステム、このプロジェクトに問題があるだけで全社的に改善が必要な問題ではない」、と富士通の上層部が認識しているからではないかと思われても仕方ないと考えます。だとしたら、今後も類似の問題が繰り返される可能性があり、富士通の経営自体にも大きな打撃を与えかねない大変危険な認識だと思います。これを機会に認識を改め、ぜひ抜本的な見直しを実施すべきと考えます。


KDDIの携帯端末の「リファラ」漏洩はとは何なのか?

2005年12月11日 | 科学技術・システム・知財など

KDDIの携帯端末に搭載されているソフトウェアに不具合が発見され、店頭にて改修をするそうです。

KDDI、リファラ漏洩が発生する端末の改修を実施

今回の不具合内容は記事によれば

KDDIは、auおよびツーカーの携帯電話のうち、2003年3月~2005年8月に発売された機種において、特定の操作を行なった場合に本来送出されないはずのリファラが送出されるという事象があることを明らかにした。同社では、店頭で改修受付を開始している。

リファラは、ブラウザ使用中にサイトへアクセスするとサーバーに送信されるデータ。直前まで見ていたページのURLなどが含まれる。通常は、リンクを選択してアクセスした場合にのみ送出されるデータだが、同社の一部端末では、特定の操作を行なうとこれ以外の場合にもリファラが送出されるケースがあるという。

ということです。しかしこの記事では、「リファラ」というものが通常送出されるケースとは違うケースで送出されるのが問題だ、とだけ記述されており、当不具合が深刻なものなのかそうでないのかはあまりよくわかりません。

KDDIの説明を見てみましょう。

インターネットによるホームページの閲覧において、次に閲覧するページを「リンク選択」すると、現在閲覧中のホームページのURL (サーバ名、フォルダ名、ファイル名など) を、次に閲覧するホームページへ付加情報として送出する機能(noribo2000注 これが「リファラ」機能です)があります。これは、RFC (Request For Comment。インターネットの技術に関する一般的な仕様) にて記されており、一般的なブラウザにおいては本機能を搭載しています。

au携帯電話、TU-KA携帯電話においても同機能を搭載していますが、「リンク選択」しない場合においても、以下の特定の操作を行うと、現在閲覧中のホームページのURLが次に閲覧するホームページへ送出される事象が発見されています。

(中略)

なお、本事象は、データ通信機能に影響を与えるものでもありませんので、そのまま安心してお使いいただけますが、(中略)より安心してお使いいただくために、該当する携帯電話機については、本事象を解消するためのソフト書き換えを実施させていただきます。

最初の記事より情報量が増えた部分は以下のとおりです。

  • リファラとはRFCという標準仕様で規定されている機能であり、通常のブラウザは備えているものである。従って、「リンク選択」したときにリファラが送出されるのは標準仕様に従った動作である。
  • リファラの送出そのものが、データ通信機能に影響を与えない。それでも「不安」を感じるユーザに対しソフトの書き換えに応じる。

ここまで読んでもなお何が問題なのかが解りにくいですね。特に下記の点が解りにくくしている原因であろうと思います。

(疑問1)リファラが送出されることが、ユーザの「安心」「不安」とどう関わるのかがわからない。

(疑問2)仮にリファラを送出することが「不安」なのであれば、なぜリンク選択したときのリファラ送出は不安視されないのか?


ここでまず、リファラというものの性質について整理しましょう。
KDDIの説明ではリファラとはRFCに記載されている仕様であると言及されています。具体的にはRFC2616 HTTP/1.1という仕様の中に

14.36 Referer

The Referer[sic] request-header field allows the client to specify, for the server's benefit, the address (URI) of the resource from which the Request-URI was obtained ① (the "referrer", although the header field is misspelled.) The Referer request-header allows a server to generate lists of back-links to resources for interest, logging, optimized caching, etc. It also allows obsolete or mistyped links to be traced for maintenance. The Referer field MUST NOT be sent if the Request-URI was obtained from a source that does not have its own URI, such as input from the user keyboard.②

(中略)

If the field value is a relative URI, it SHOULD be interpreted relative to the Request-URI. The URI MUST NOT include a fragment. See section 15.1.3 for security considerations.


15.1.3 Encoding Sensitive Information in URI's

Because the source of a link might be private information or might reveal an otherwise private information source, it is strongly recommended that the user be able to select whether or not the Referer field is sent.③ For example, a browser client could have a toggle switch for browsing openly/anonymously, which would  respectively enable/disable the sending of Referer and From information.
 
(以下略)

という記述があります。下線部について解説します。

① リファラとはサーバ(Webサイト)にアクセスする際、どのホームページからリンクをクリックしてそのサーバにアクセスしたのかをクライアント側(ブラウザ。今回の場合は携帯端末の中のソフトウェア)で記述することができるものである。これの仕組みはサーバ側でどこのホームページに自分のサーバへのリンクが記載されているのかを知りたい場合等に便利である。

② リファラはリンクのクリック以外でアクセスした場合(キーボードで直接アドレスを入力した場合など)は送出してはならない

③ リファラはアクセスした人がどのホームページを見てからそのサーバにアクセスしたかがわかってしまうので、プライベートな情報ともいえる。従って、リファラを送出するかどうかは選択可能にすることを強く推奨する


ようやく疑問1、2に対する答えが見えてきたような気がします。以下にまとめます。

(疑問1「リファラ送出と不安の関係がわからない」について)
リファラが送出されると、そのユーザがどのホームページをみてからこのサーバにアクセスしたのかがサーバの管理者が解ってしまいます。これはネットサーフィンの履歴の一部が知らぬ間に第三者であるサーバ管理者に知られてしまうことを意味しており、プライベートな情報の漏洩と感じる人もいるでしょう。従ってユーザの「不安」の要素となりえるのです。

(疑問2「リンクなら不安が無く、それ以外ならなぜ不安かがわからない」について)
疑問1の答えで述べたように、リファラが送出されることはリンクからのアクセスかどうかに関わらずプライベートな情報の漏洩と感じ不安に感じるユーザもいると思われます。従ってユーザの不安を払拭するためには、仕様に明記されているリンク以外のアクセスの場合のリファラ送出の禁止だけではなく、仕様としては推奨レベルであるが、どのようなケースにおいてもリファラの送出可否をユーザ側で選択可能にする必要があると考えます。


KDDIの対応は、仕様として「禁止」されている操作ができてしまうということについて改修を行うが、仕様に「強く推奨」されている操作の機能追加は実施しないということになります。どちらもユーザの「不安」を払拭するのに必要な対策だと思うのですが、標準には適合しているからそれ以上は実施しない、ということであれば大変残念な対応と言わざるを得ません。


「システム開発」カテゴリの新設

2005年12月11日 | 雑感

noribo2000です。

不定期更新の当ブログですが、いつも閲覧ありがとうございます。

最近は仕事柄どうしてもシステム開発がらみの記事(ぼやき?)が多くなってきたので、カテゴリを新設しました。

今後ともどうぞよろしくお願いします。


みずほのジェイコム株誤発注と東証のシステムの問題点

2005年12月10日 | 科学技術・システム・知財など

12月8日に発生したジェイコム株の誤発注問題が賑やかに報道されています。

東証、誤発注のジェイコム株売買停止に 事態収拾見えず

みずほの担当者が1株61万円で売り注文を出すべきところを、61万株1円で売り注文を出すという操作ミスが原因とのことです。実際にジェイコムが発行した株式が1万4500株しかなかったので、明らかにおかしな発注だったのですがシステム側で受理されてしまい、今回のような事態になってしまったということでした。

この手のヒューマンエラーはシステムでカバーできなかったものかなーというのが直感的に思うところです。このミスにより300億円もの損害を抱えるということであればなおさらです。少なくとも発行株式数以上の数値が入力されたらその要求を受け付けない、くらいの機能があっても良いような気がしますが、記事によれば

東証には、異常な売買注文がきても、成立前にチェックする仕組みがない。「銘柄ごとに発行株式数を確認するとシステムに負荷がかかり過ぎる」との理由からだ。

東証は大規模なシステムの再構築をおこなうまでは見直しをしない方針。当面は、警告を見逃した証券会社側のチェック態勢の強化を促すことで対応する。

とのことでした。また、自分の出した注文を取り消す機能も無いのか?と思っていたら

発行済み株式数を大幅に超える異常な注文に気づいた東証が、みずほに電話で連絡。みずほは、あわてて売り注文を取り消す注文を出した。

コンピューター上では、「1円」で出した売り注文の価格がストップ安となっていた市場価格「57万2000円」に自動更新されていたので、取り消し注文は「57万2000円」で出さなければならなかった。ところが、みずほ側がそれに気づかず、「1円」のまま取り消し注文を出したので、取り消しが効かなかった。このため誤発注の収拾策として買い注文を出し始めた。

んー、やはりちょっとユーザフレンドリーに欠けるシステムですかね。注文IDなどで管理していればそのIDを入力するだけでキャンセルもできそうなものですが。。。

こうしてみると、今回の案件はもちろん誤った注文を出し、キャンセル操作にも失敗したみずほに第一義的な責任があるのは当然ですが、このような事態を引き起こした原因の一つはシステムがユーザフレンドリーになっていなかったことにもあることがわかります。つまりシステムを発注し仕様策定を行った東証と開発を請け負ったベンダ(やっぱり富士通なのでしょうか?)にも責任の一端があると考えます。

両社にもぜひそのように認識してもらって再発防止策を練って欲しいものです。(富士通は11月1日のシステム停止に関する再発防止策の公表も実施していませんが・・・ :P)


耐震強度偽装問題について

2005年12月03日 | 政治・社会

ここ最近は例の耐震強度偽装問題で大騒ぎですが、当事者は責任のなすり合い、マスコミは犯人探しに躍起になり、この問題についてなぜこのようなことが発生したのか、今後どのように対応してゆくべきなのか、と言う議論が少ないように思えます。

まずこの問題の対応について必要なのは下記3点だろうと思います。

  1. 居住者・購入者の財産の完全な復旧、精神的な苦痛のケア
  2. 問題発生原因の追求、再発防止策の実施
  3. 関係者の処分

そして、これらの対応を「誰が」責任を持って実施するのか?と言う点を明確にしなければなりません。私は、国が責任をもって実施すべきと考えます。

日本の建築産業は建築基準法やそれに関する法令などによって規制されています。販売主、設計者、検査者はその法令に従うことが義務付けられています。つまり日本の建築物は国によって品質が管理されていると考えることができます。国が品質管理している建築物に問題が発生したわけですから、まず国にそのような状態を是正する責任があると考えます。

1.について具体的な対応策として

  • 代替住宅の無償供給
  • 建て替え、補強費用の免除
  • 精神的苦痛に対する損害賠償

などが考えられます。これら全てを国の税金で実施するかどうかは別問題ですが、国の責任でこれらが実施されるようにしなければならないでしょう。例えば代替住宅の無償供給は国家予算から費用を出すとか、精神的苦痛に対する損害賠償、補強用の費用などは販売主など当事者の資産を差し押さえるなどして費用を捻出する、といったことを国の責任で実施する必要があると思います。なお、今回のように非常に多くの居住者・購入者が損害を被るような事件に対しては、費用面の理由から民ー民の問題として対応することが現実的ではないので、日本の建築物の品質に責任がある国も一定の費用負担が必要になると考えます。

2.については、過失または故意で耐震強度が偽装されたことを検出できなかったことについて法の不備がなかったか、とか、このような問題が発生したときに備え、強制保険のようなものを検討する必要があるのではないか、などといった観点から再発防止策について国の責任で検討し、必要があれば法制化をする必要があるでしょう。

そして、最後に3.があると思います。これは事実を確認し、現行法違反が認められる場合は厳しく処分するのは当然です。今回の問題では設計士の姉歯氏に責任が及ぶことは間違いありませんが、他の当事者はまだ法的責任があるかどうかが分かりません。こういう事件があると当事者はみんな悪者顔に見える(そのように報道される)のでつい犯人探しを始めてしまいがちですが、そこは専門家(警察や検察など?)に任せ、われわれ国民は国が1.2.についてしっかり責任を果たしているか監視する方に注力するべきであると考えます。

 


楽天・TBS の「業務提携」~パーソナライズドCMの実用化などはいかがでしょう?~

2005年12月01日 | ビジネス・マーケティング

楽天・TBSが覚書、資本・業務提携を協議へ

楽天が下記の点を譲歩し、業務提携の方向でTBSと話し始めることになりました。
・経営統合を一旦取り下げること
・持株比率を10%以下にし議決権を凍結すること

まずは話し合いのテーブルにつかないことには先に進まない、という判断があってのことと思います。前のブログで経営統合には楽天以外得する者がいないので意味がないと書きましたが、自社の強みと他社の強みを生かした業務提携であれば顧客に便益が提供されるため有益なものになる可能性は確かにあります。

しかしながら、今回の案件ではそれほど有益な提携にはならないのではないかと見ています。それは、もともとは楽天はTBSを「支配」しようとしていたわけで、支配関係のない「業務提携」などには興味がないように感じられるためです。方やTBSも相手が大株主だから「いやいや」提携の検討にお付き合いするといった程度のような気がします。業務提携のテーブルにつくといっても結局は楽天の保有する株をTBSに買い取ってもらうかどうか、などという業務提携とは関係ない議論に終始するだけかもしれません。

これでは、あれだけ大騒ぎしたにもかかわらず結局視聴者は何も得る物がない、ということになります。つまらないですよね。

そこで、僭越ながらnoribo2000が楽天に成り代わり、業務提携の一案を提案します。いかがでしょうか、三木谷さん:P


【提案:楽天顧客データベースを用いたパーソナライズドCMの実用化

前のブログでも軽く言及していたのですが、楽天の強みとして、数多くの商品を取り扱っているネットショッピングモールを持っているため、様々な趣味・志向を持つ顧客の購買行動履歴などがデータベース化されており、必要なときにワンストップで取得できることが挙げられます。「誰が」「何を」購入した、という市場データが楽天1社に蓄積されているのです。このようなデータを1社で握る例は実社会では到底ありえないでしょう。一人勝ちということがあり得るというネットの世界ならではだと考えます。この大変貴重なデータを用い顧客の趣味・志向に合わせたCMを流すことにより、顧客のヒット率を高めることができ、CM枠の価値を向上させることができるでしょう。

この顧客データベースを用いたパーソナライズCMの実用化はまだまだ研究すべき課題も多いとは思いますが、米国ではTiVoが来年には同様のサービスを開始する等の話があるため、ここは楽天得意のスピード経営でぐいぐい推進してもらうことを期待したいものです。

DVRの米TiVo、テレビ視聴者向け検索型広告サービスを来春開始

なお、TiVoの場合、マス広告主体のビジネスモデルを採る放送局との対立が懸念されています。このあたりはTBSと業務提携してうまく説得して欲しいですね。