早く解散を

日章旗を切り貼り作りしその旗を
党旗と掲げる党の長官。
さあらば、もっともである。
さもあらん。

産経新聞【土・日曜日に書く】2010.8.1 こちら

阿比留瑠比 氏 
仙谷長官の危うい思想背景


≪天皇謝罪求め提訴≫

史上まれに見る陰湿な左翼政権-。菅政権発足時、安倍晋三元首相がこう警鐘を鳴らすと、与党議員や識者の一部は「今どき右も左もないだろう」と冷笑した。だが、政権のあり方、特に内閣の要である仙谷由人官房長官の言動を注意深く追うと、安倍氏の指摘が正鵠を射ていたことが分かる。

仙谷氏は7月7日、日本外国特派員協会での講演や記者会見で突如、韓国への戦後補償は不十分だとして、新たな個人補償を検討する考えを表明した。

この発言自体、日韓両国間の個人補償請求問題を「完全かつ最終的に」解決した1965(昭和40)年の日韓基本条約とそれに伴う協定を無視した暴論だ。条約・協定締結のために長年苦労を重ねた先人たちへの侮辱でもある。

だが、それ以上に耳を疑ったのは、その際に仙谷氏がフィリピンや韓国の慰安婦補償請求訴訟などに深くかかわったきた高木健一弁護士の名前を自分から口にし、「友人」と紹介したことだ。

高木氏は、16日配信の韓国の連合ニュースにも登場している。次のような記事だ。

《太平洋戦争犠牲者遺族会と対日民間請求権訴訟団は16日午後、ソウル市鍾路区の駐韓日本大使館の前で記者会見を行い、「日本政府を相手に明成皇后殺害事件の真相究明と天皇謝罪を要求する訴訟を起こす計画」を明らかにした。(中略)遺族会はこのために高木健一弁護士を選任した》

仙谷氏には高木氏らとの共著「香港軍票と戦後補償」(明石書店)もある。確信犯なのだろう。

平成8年、インドネシアでかつて日本軍政時代に補助兵として採用された「兵補」の民間組織「元兵補中央協議会」が、補償要求のため元慰安婦の登録作業を始めたことがあった。

≪慰安婦訴訟で暗躍≫

兵補と慰安婦は直接関係ないが、協議会は、実際には慰安所で働いていない女性でも「何らかの性的被害にあった」と申告した場合は慰安婦に数え、約2万人の登録者を集めた。軍政時代、インドネシアにいた日本人は民間人も含め、多いときでも約4万5千人だったとされる。

「東京の高木弁護士の指示を受けて始めた。『早く進めろ』と催促も受けた」

協議会のタスリップ・ラハルジョ会長は当時、ジャカルタ郊外の事務所で私の取材にこう証言した。協議会は、慰安婦登録者を対象に、慰安婦になった理由などに関するアンケートを実施していたが、これも「高木弁護士の文案で作成された」(ラハルジョ氏)ものだった。

仙谷氏は戦後補償に関連し、日本政府によるロシアのサハリン残留韓国人の帰還事業にも言及している。これに関しても、私は11年に現地で高木弁護士の名前を耳にした。サハリン高麗人協会のパク・ケーレン会長はこう語った。

「東京で大きな弁護士事務所を開いている高木弁護士が、もっと日本から賠償を取れるから要求しなさいと教えてくれた」

仙谷氏の友人は、世界をまたにかけ、火のないところに火をつけて回っているようだ。

≪韓国に謝罪談話も≫

仙谷氏は7月16日の記者会見では、8月29日に迎える日韓併合100年にあたって、菅直人首相の「談話」発表を検討していることを明らかにした。明確な内容や方向性は示さなかったが、韓国では日本による新たな賠償や謝罪の表明への期待が強まっている。

これではまさに、補償と謝罪のたたき売りではないか。外務省筋はこう警戒する。

「政治家は談話で自分の名前を歴史に残したがるが、その危険性をよく分かっていない。韓国への下手な謝罪は中国や周辺国も刺激し、問題は飛び火する」

参院選で参院の過半数議席を失い、法案はまともに通せなくなっても、首相談話や官房長官談話なら簡単だと安易に考えているとしたらとんでもない話だ。

日本による植民地支配と侵略を謝罪した平成7年8月の「村山談話」は、当時の村山富市首相の個人的・社会党的思想・信条を国民に押しつけ、今も日本外交の手足を縛り続けている。

5年8月には、当時の河野洋平官房長官が韓国政府の強い要請もあり、慰安婦問題の沈静化を図るため、資料的な裏付けが一切ないまま慰安婦募集時の強制性を認めた「河野談話」を発表した。

これがかえって海外で「日本政府が公式に強制連行を認めた」と誤解され、「性奴隷の国、日本」という不名誉なイメージを広め、既成事実化してしまった。

菅政権が「陰湿な左翼政権」ではないというならば、将来に禍根を残す売名的な談話など決して出すべきでない。 



1日も早い解散総選挙を望みます。
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