ひとり暮らしのおじさん日記

札幌市在住。70歳超えおじさんの気ままな日記。

人間はトンチンカンだから小説は面白~い

2023-06-11 16:32:27 | 日記

■2023年6月11日(日)

坂口安吾先生の『堕落論』の中の「続堕落論」に「人間の一生ははかないものだが、

また、しかし、人間というものはベラボーなオプチミスト(楽観主義者)で

トンチンカンなわけの分からぬオッチョコチョイの存在で・・・」と書かれています。

この言葉って小説の面白さにもつながる言葉ではないのかしら?と僕は思ったのです。

小説作品の面白さ。それは人によってまちまちなんだろうけど、

僕はやっぱり、作品に登場する人間の、何とも言えない

「妙」(不思議なとこ、変なとこ)じゃないかと思うのです。

よく言われますが、世の中に完璧な人間なんていないわけで、

人間は気が良くてどこかがおかしくて、人を思ったりするけど個人勝手だったりもする。

たとえフィクションであったにしても、

フウテンの寅さんのような一面が人間には大なり小なりあるんじゃないかと思うのです。

そうした人間が小説作品の中で呼吸して、

時には悩み、自分と葛藤しながら右往左往する。

その右往左往の様子を垣間見れる世界が小説の世界なのではないかと僕は思っていて、

そこに描かれている人達の、

ベラボーなオプチミスト(楽観主義者)で

トンチンカンなわけの分からぬオッチョコチョイさが、

小説作品の面白さの源になっているのではないでしょうか。

最近、「日本の文学」(中央公論社)という全集を読む時間を作っていて、

最近第33巻に収録されている、宇野浩二さんの代表作『蔵の中』を読みました。

主人公の作家が、質屋に預けた質草の着物の状態が気になり、

無理に頼んで質屋の蔵の中に入り、

預けた着物の日干しをする話しを語りで書かれているお話しです。

そこにヒステリックな性格なためか、

嫁ぎ先から出戻ってきた質屋の美人娘への恋心もあったりして、

まさに、坂口先生が語る「人間」は正しいのだという事を知った次第です。


ここは1丁目1番地書店通信/長篇小説その2

2023-06-07 11:47:31 | 日記

■2023年6月7日(水)

ところで、長編小説ってどの位の長さのものを言うのでしょう。

人によって感覚は違うと思うけど、僕の場合は文庫本で大体500頁以上あると、

300頁位の作品よりも読む決心をするまでに少々の間があるみたいです。というのも、

500頁を読むなら250頁位のものを2冊読めるという気持ちがあるからです。

とにかくたくさんの小説作品を読みたい、そして感動したい。そうした思いもあり、

コロナによるステイホームもあったから、この3年程は一生懸命読んでいました。

完読出来ずに途中で読む事を挫折した本、短編集、等も含めると、

年間300冊位の本に触れてきたような気がします。そうした中で思った事は、

読んだ内容を覚えてない本が多かったり、話しもごちゃごちゃになっていたりしてます。

ある本に、「内容を覚えてないのは読まなかったも同じ」と書かれていて、

その言葉が心にグサッときました。

そうなんだー、僕は、ほらこんなに読んでいるんだよー、

と納得したいだけなのかもしれないし、凄く読んでるねー、

と言われたいだけなのかもしれない。そんな事を思っている時に、

島崎藤村先生の『破戒』、井上靖先生の『化石』という長篇作品をじっくり読み、

改めて小説を読み、作品を味わう楽しさを再発見したような気がしています。

作品を読んでいて、どうも感動が薄いなあ・・・と思う事があるけど、

それはもしかしたら、たくさんの作品を読みたいばかりに、

ページに書かれている文字だけを目で追っていただけかもしれません。

もっと登場人物の心情に入ってく事が出来たら、

小説作品が僕の身体の奥深いところに入っていくような気がしてきました。

読んだという事はそういう事なのかもしれません。

写真は『破戒』が収められている講談社の「日本現代文学全集」です。


ここは1丁目1番地書店通信/長篇その1

2023-06-06 10:20:43 | 日記

■2023年6月6日(火)

最近の僕は、長編小説の魅力の第一歩を踏み込んだ気持ちになっています。

というのは、先月だったかなあ~・・・、

島崎藤村先生の『破戒』を読んだわけだけど、これが案外面白く読めて、

今回、井上靖先生の『化石』で、何かに気づいたのです。それっていうのは、

たとえば人間関係、お友達関係において、「あいつは面白くない奴だ」とか

「なんかいけすかない奴だから、話もしたくない」というのがあって、

でも、ふとした事で話しをしてみたら、

「案外おもろい奴じゃないか」みたいな発見をする事があると思うんですよね。

それと似ていて、今回長編小説を読んでみたら、案外面白い奴じゃないか。

今度会ったら話してみるか、という気持ちになったわけです。

じゃあ、どうして今までおもろい奴と思わなかったのか。

やっぱり、誰もが思うように「なが~い」という事だと思うし、

それによって途中で何が何だかわからなくなる、という思い込みもあって、

その思い込みは、読書歴をふり返ると、

高校生の頃の『戦争と平和』に代表される「世界文学全集」に始まったと思うのです。

登場人物は当然外国名で、ロシア文学となると、なかなか名前が覚えにくい。

この人はどういう人だっただろう、

とページを読み戻したりしているうちにわけがわからなくなり、

途中挫折が続き、やがてだんだん読まなくてなっていく。

になっていったのではないかと推測されます。

やっぱり出会いが大切なんだという事を痛切に感じます。


そうだ、これがいいんだ!。

2023-06-05 12:04:58 | 日記

■2023年6月5日(月):今日も天気がいまいちのような。

一昨日、第3回目の「お喋りBookサロン」を終えて、改めて思った事があります。

それは、「やっぱり参加者の数じゃないよな~」という事です。

過去2回は7、8人だったから、

もっと新しい人にも参加してもらって15人位になるといいけどな~、と思っていたら、

僕を入れて7人。「うーん」と唸っていたら、

参加者の一人浅井さんが、「7人位が丁度いいよ」と温かいお言葉。そして、

「新しい人が1人参加してくれたんだから凄いじゃない」「そうだよねー」と僕。

会が終わって2次会のお酒。

松浦さんが、「清野さんとお酒飲むの初めてですよね」と話すのを聞いていて、

「そうだ、これがいいんだ!」と思いました。

人がたくさんいるとかいないとかではなくて、

出会った人同士の心の許しあい方っていうのかな~・・・。

この会に参加してくれている皆さんは僕のお友達だけど、

それぞれはお友達ではないのです。

それがこうして「本」を介してお友達になっていく。

たくさんの人がいても、自己紹介程度の関係しかないよりか、

会話の量が増えるほど人間関係も豊かになっていく関係というか、

それがとっても大切で、

だから、「そうだ、これでいいんだ」と思った次第です。

そう思うと、皆さんのお話しも1回目に比べたら活発になってきたよう気がします。

写真は『白鍵と黒鍵の間に』(南博著:小学館文庫)の面白さを熱く語る中川さんです。


友人の松浦さんの口癖

2023-06-04 15:36:56 | 日記

◆2023年6月4日(日曜日)/天気優れず。

今日は休日と決めて、洗濯したり、片づけしたり、本を読んだり、考え事をしたり、

気の向くままフラットな時間の過ごし方をしています。

となると欲しいのはやっぱり「お酒」!。なのだけれど、友人知人に迷惑をかけ、

稼ぎも少なく、一向に自立出来ないままの毎日なのに昼日中から酒ばかり飲んでると、

おてんとうさまに顔向け出来ない「ひけめ」のような、「うしろめたさ」のような、

「申し訳なさ」のような気になってきます。酒を飲むお金と時間があるなら、

もう少し税金を払うために仕事をしなければ駄目じゃないか。

と考える自分と、酒を飲んでいる時間というがあるからこそ

明日からも僕は頑張れるのだ、と考える自分。

そんな相反する自分を行ったり来たりしてる時、

学年は違うけど同年齢の友人松浦さんの口癖が、

初夏の爽やかさをはこんでくれました。「年をとるとさ、自由でいいんだよ」。

お言葉、大切にしたいと思います。

写真は過日道庁に行った時に写したチューリップです。