- 2022年10月20日(木/先負):晴れてるみたいだけど寒い。
道内も朝の気温が「マイナス」という町が出てきました。
思い返すと20年位前のこの時期、取材で阿寒町にいた事があります。
毛布一枚持参で阿寒神社での車中泊、
寒くてなかなか眠れないまま運転席で体を毛布に包んで見た星空、
満点の星ってこういうのをいうのかと感動してしまいました。
あいかわらずの読書三昧。
先日三浦綾子さんの『道ありき<青春編>』を読みました。
「わたしはこの中で、自分の心の歴史を書いてみたいと思う」
とあるように、三浦さん自身の事を綴った自伝小説です。
昭和21年4月の結納日に始まり、
昭和34年5月24日に三浦光世さんと結婚式を終え、
二人が新居に戻って来たところで終わりますが、
お話しの中に何故三浦さんがキリスト教に入信するに至ったのか
が、当時の三浦さんの心の変化がわかりやすく描かれています。
ページをめくるごとに三浦さんに愛情を注ぐ前川正さんの存在を知り、
僕にはなかなか出来ないな~と反省ばかりです。
24歳から13年間、ほとんどベッドで大病生活をおくった三浦さん。
特に脊椎カリウスの数年間はギブスベッドで仰臥したままだったから、
排泄の事も誰かに頼らざるを得ません。
誰かの力を借りなければ生きていけない自分、
治るかどうかの不安を抱えての闘病生活、
前川さんを見舞いに行きたくても動けない自分に感じる無力感。
そうした三浦さんを読んでいると、ついページをめくる指が止まります。
誰かの手を借りなければ何も出来ない自分、
その気持を三浦さんは次のように書いています。
自分はベッドの上で寝たっきりなので社会の役に立っていない。
だったら私が死んだ時には解剖して研究に役立てて欲しい。
病床でいつも社会に対して
何か貢献したい気持を持っていたと思われる三浦さんに
前川さんが言った言葉、
「綾ちゃん、人間はね、一人一人に与えられた道があるんですよ」
その与えられた道が『氷点』によって「小説を書く」事が私の道
と思うようになったのではないだろうか、
だから三浦さんの言葉には読者が前向きになれる希望と力があるんだ。
読んでいて僕はふと感じました。色々教えてもらえるお薦めの一冊です。