
東京地裁平成23年1月12日判決は、バイク対歩行者事故の過失割合(横断歩道ではないところを横断した歩行者とバイクの衝突)について判断を示しているのでご紹介します。
事故は午前9時50分に発生しました。
現場は車線の区別のない道路で、歩車道の区別もありませんでした。
バイクが道路を時速15~20キロメートルで進行していたところ、前方の左側の路側帯辺りを犬を連れて散歩をしている歩行者を発見しました。そのためバイクは速度を時速15キロメートル程度に減速しました。歩行者には動く様子がなかったのでバイクは道路を横断することはないと考え、そのまま歩行者の横を通り過ぎようとしました。ところが、歩行者との距離が1・6メートル程度になったところで歩行者が犬に引っ張られ道路に出てきました。バイクは急ブレーキを踏みましたが、間に合いませんでした。
裁判所はバイクには前方不注視の過失があったとしました。他方、歩行者にも横断するに当たり車両に対する注意が不十分だったとしました。その他、道路に歩車道の区別がないこと、歩行者がバイクが近くに来てから道路に飛び出したこと、歩行者が71歳と高齢であったことを考慮し、歩行者の過失割合を20パーセント、バイクの過失割合を80パーセントとしました。
別冊判例タイムズ「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂4版」90ページは、歩行者が横断歩道や交差点以外の場所において歩行者が道路を横断して自動車と衝突した事故の基本的過失割合を自動車80パーセント、歩行者20パーセントとしています。修正として歩行者が高齢者の場合には歩行者の過失割合を5パーセント減、歩車道の区別がない場合には歩行者の過失割合を5パーセント減、直前横断の場合歩行者の過失割合を10パーセント増としています。東京地裁は、-5-5+10=0で、上記過失割合としたと考えられます。
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弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)
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