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演劇『ジハード』を観た

2018-07-01 23:54:37 | イベント
先日、さいたま芸術劇場で演劇『ジハード』を観てきた。
ヨーロッパでは30万人を動員しているという演劇。



素晴らしい作品だった。
今まで自分が観た演劇の中で、ダントツの1位になった。

以前、映画『ラッカは静かに虐殺されている』を観たのだが、今回の演劇『ジハード』は映画とは逆の立場の人々、つまり「ジハード」に身を投じる若者たちを
描いた内容とのことで、興味がわいた。

なぜ「ジハード」に身を投じるのか。
それを知りたいと思った。

演劇を観るまでは、「ジハード」とは「聖戦」のことを指す、と当然のように思っていたのだが、ちょっと違っていたようだ。
「ジハード」とは、広義では「一生懸命」とか「奮闘」を意味するのだという。

「聖戦」という意味合いは、言ってしまえば、アルカイダやISなどの過激派組織が戦闘を正当化し、人を駆り出すための大義名分にしているようだった。
確かに、イスラム教では、自国の土地が攻められた場合など、防衛的に戦うことはコーランでも認められているが、好戦的に戦うことには抑制をかけていると聞いたことがあった。

若者たちは、騙されている。
教義が政治利用され、その意味がすり替えられている。でも、コーランを直接読んで勉強したことがない若者たちはそのことに気がつかない。
ジョークのようでリアルな話しなのだと感じた。
生き死にを左右することなのに。衝撃。

また、自由を享受できないイスラム教の戒律に息苦しさを感じながらも、移民であるがゆえにベルギーに住みながらも人種差別を受け、同化を余儀なくされる現実。
結局は、アイデンティティの属する先は、イスラム教頼みになってしまうという行き場のなさが、苦しくせつないと思った。

こんなことを書いていると、さも政治的で堅苦しい演劇にみえてしまうかもしれないが、まったくそうではない。

演劇の中とはいえ、具体的に存在する若者の日常から丁寧に展開していくストーリー。
きっとどこにでもいる若者で、特別な人たちではない。

セリフがとにかく分かりやすく、イスラム教徒の一人ひとりが身近に感じられる。
神への信仰が生活にどう絡んでいるのかを、無理なく感じることができる。

恋愛もする。好きな趣味もある。
シリアスな場面もあれば、大笑いしてしまう場面もあって。
引き込まれ過ぎて、自分も当事者のように錯覚する瞬間すらあった。

役者さんと演出家さんの熱量も高い。
今、この演劇を日本で行わなければ、と踏み切られた強い思いに想像をふくらませる。

いろんな意味で、ひとごとじゃないということ。
実は、自分も似たような状況下にいるような気がする。

今日が千穐楽であった模様。
非常に残念。

もっともっと多くの人が観るところとなりますように。
再演を期待しています。


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