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◎胸打つ、不死身男の「普通」の気持ち 劇団冷凍うさぎ「ひるねのさんだる」

2014年02月13日 | 公演・演劇・展示
 劇団冷凍うさぎが8日から9日にかけて、第5回公演「ひるねのさんだる」(作・演出:森岡拓磨)をシアター300で上演した。冷凍うさぎらしい人間の心理に切り込む舞台は、観客の心を強く引きつけた。【2月13日 神戸大NEWS NET=UNN】

 ちゃぶ台を囲む老夫婦と卓上で膝を抱え座り込む男。そんな場面からスタートした舞台は、男の独白と老婆の噂話によって動き出す。家庭内に居場所がなく、ただ一人の少女にだけ心を開いた男。少女とともに誘拐され、「特別」という言葉をくれた誘拐犯と親しくなる。誘拐犯がくれた薬物の乱用と自殺未遂を繰り返すも、男は不死身の体を手に入れていた。ひどい両親からかばい続けてくれた姉の上京や、唯一の理解者であった誘拐犯の自殺。遂に居場所をなくした男は、自身も誘拐をするようになる。男の記憶は薬物の影響で混濁しており、男が思い出す世界は何もかもがあいまいで全てが嘘のようだった。不死身という唯一の事実だけを身にまとい、男は暇に任せていつまでも人生を思い出している。

 家庭内暴力、誘拐、薬物、そして不死身の体。難しい役どころであったが、主演の古川翔梧さん(理・2年)は「確かに境遇は極端で、複雑。だけど『気持ちは他人には伝わらない』などは自分たちにとっても普通ことで、誰にでも分かるところはあるはずと思った」と語り、複雑な男の思いをしっかりと観客に伝えた。いつもは劇団はちの巣座に所属している古川さんだが、冷凍うさぎの舞台では初出演初主演。オファーを受けての出演で、緊張もあったが「やってやろう」という気持ちで臨んだという。難しいテーマであったが、観に来た女子学生は「じーんとした。いい話だった。もう一回観たい」と話し、観客の心を打つ作品となったようだ。(記者=横田泉)

  【写真】劇中の一幕(2月09日・シアター300にて 撮影=小山絢子)
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