神戸大学ニュースネット委員会<携帯版>

神戸大学ニュースネット委員会が、神戸大に関するニュースをお届けします。開始日:2008年2月22日

◎コラム「伏流水」 16年の跡

2011年01月24日 | 【コラム】伏流水
 ふと「あのとき」のことを思い出してみる。突然の大きな揺れで目が覚める。恐怖のあまり体を小さく丸めると、その上から父親が覆いかぶさるように守ってくれていた。そのまま再び眠りに落ちた。【1月24日 神戸大NEWS NET=UNN】

 阪神・淡路大震災から、1月17日で16年。今年も多くの人々が早朝から集い、手を合わせることだろう。だが、一歩その空間を抜け出せば、整備された神戸の町で震災のあとを見つけることは難しい。ましてや大学の中では、毎年一時の木枯らしのように1.17が過ぎてゆく。

 昨年1月17日、六甲台の慰霊碑前で遺族の方に取材をした。震災で神戸大生だった息子を失った母親。毎年、名古屋から足を運んでいる。「神戸に来ると改めてやりきれない。悲しいし、寂しい思いにかられる」。また、11月には友人を亡くした方にお話をうかがった。「15年、16年たっても変わらないね、何も。変わらない」

 目に見える場所にはなくとも、人の心の中には「あのとき」が生き続けている。学生記者として、震災経験者として、それをどのように表に出せばいいのか。取材ノートに書きとめた大勢の人の言葉を見つめながら、そんな問いを自分に投げかけている。(記者=浅井淳平)

編注)このコラムは1月12日発行の本紙「神戸大学NEWS NET」1月号に掲載されたものです。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ◎加護野教授の最終講義 25日... | トップ | ◎願書受け付け開始 神戸大入試  »
最新の画像もっと見る

【コラム】伏流水」カテゴリの最新記事