GなLんAにSしS AよRうT 

海に帰りたい~@″
 

9分

2012年03月17日 | ガラスのアート

時計を見たら9分経っていた。
90分じゃなくて。

仲間の狼と、困難さを克服するために、3日間、途切れることなく遠吠えを続ける治療に参加する。

一瞬の間も空けないで、音を出し続ける。
それには狼達が、それぞれの声を少しずつ、ずらして重ね合わせていかなければならない。
音の三つ編み。密なる編みもの、秘密の。

あまり最初から吠え続けても、もたないだろう。
だけど、
力の限り叫ばないと効果はない。
治癒のために吠え続けなければならない。

どのくらいの声を出せば、力の限りなのか、よくわからないけれど、手を抜いたことは確実にわかる。
自分にだけは隠せないという、ジレンマ。

限界を続けることが、治癒のためには必要なのだから。

力を抜いては意味がなくなる。

意味。

その意味を見つけるための、治癒。
意味が理解できなくなった音。

初めの始まりに、言葉はなかった。
人類の最初の発声に意味はない。

音を出すため発声。
発声のための発声。

時間が進むにつれ、発声には意味が付いて、いつしかそれが言葉に変わる。

反対に、意味のない発声は、社会的に抑制され、私の声、叫びは抑圧された。

叫んではいけない。
動物のように叫んではいけない。
騒いではいけません。

ついに叫びは、治療のためにだけ許される。
3日間以上、途切れないように叫び続けなければ。

自分の叫び声をシュミレーションしてみる。どのように叫べばよいのか。
効果。
治癒。

いくらシュミレーションしても、頭の中でだけでは、声にはならない。
先ず、声を出さなければ。

声を出す。
声は抑圧されたまま、音にならない。
喉も舌も、それどころか全身の筋肉が、自分の意思に従わないまま、沈黙を続けている。

水平になったまま気がつくと、目覚めている。

9分経っていた。

まだ、
意識界に居た。


叫べないまま、永遠に叫ぼうと固まったまま、固まり続けていた。


さぁ、
終わりの時がやってきた。

各人、各々の無機物にて、待機してください。
時は終わりに近づきました。
全員、退去します。
退去先は、無機物。
次の連絡まで、お待ちください。みたいな突然な終わりが、やってきて迷子。
想定外という暗黙の免罪符。



地震、
津波ツナミTUNAMI以外は人災。





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