駅はまた、絶壁になっていた。この前より少し整備されていた。
けれど、到底わたしには登れない垂直の壁が立ちはだかっている。
この世界には階段はなく、ヤモリのように手に持った吸盤と特殊な吸い尽く靴をを駆使して登るか、バッタのようにバネ仕掛けの竹馬でビョヨーンと飛んで着地するしかない。
どちらもわたしには無理だ。
呆然と立ち尽くしながら諦めかけていると、横の壁から時々、人が現れてくる。
シュタッ!
チューブの滑り台。
緊急着陸した飛行機から滑り降りるように、駅の改札から直接に降りる道が開通したようだ。
横手に回って見ていると、滑り台の隣に縦穴がポツンと空いていた。
覗き込んでみようと近づくとシュボッ!
吸い込まれてしまった。
そのまま、改札を通って速度を落とすことなく行き先が頭からスキャンされ、どんどん速度が増していく。
突然、隣町の駅の改札を通過してチューブから吐き出された。
此処の駅もやはり垂直に切り立ったのっぺらぼう壁だった。
もう二度と何処へ行くという宛もなく電車に揺られて昼寝するのは無理な世界になったのかと、寂しくなる。
次に縦穴に吸い込まれる時は、出来るだけぼんやりとした朦朧とした気持ちで吸い込まれようと思うが、意識はどんどん明瞭になって朦朧から遠く離れてしまう。
やるべきこと、やりたくないけれどどうしようもないことに囲まれてしまって身動きとれない筈が、頭はシャキシャキ働き出して、物事がテキパキ動き出して、そこには明瞭な自分が明確な目的に向かって働いている。
またいつか真四角の駅の前で途方に暮れますようにと、うっすら願ってみる。
けれど、到底わたしには登れない垂直の壁が立ちはだかっている。
この世界には階段はなく、ヤモリのように手に持った吸盤と特殊な吸い尽く靴をを駆使して登るか、バッタのようにバネ仕掛けの竹馬でビョヨーンと飛んで着地するしかない。
どちらもわたしには無理だ。
呆然と立ち尽くしながら諦めかけていると、横の壁から時々、人が現れてくる。
シュタッ!
チューブの滑り台。
緊急着陸した飛行機から滑り降りるように、駅の改札から直接に降りる道が開通したようだ。
横手に回って見ていると、滑り台の隣に縦穴がポツンと空いていた。
覗き込んでみようと近づくとシュボッ!
吸い込まれてしまった。
そのまま、改札を通って速度を落とすことなく行き先が頭からスキャンされ、どんどん速度が増していく。
突然、隣町の駅の改札を通過してチューブから吐き出された。
此処の駅もやはり垂直に切り立ったのっぺらぼう壁だった。
もう二度と何処へ行くという宛もなく電車に揺られて昼寝するのは無理な世界になったのかと、寂しくなる。
次に縦穴に吸い込まれる時は、出来るだけぼんやりとした朦朧とした気持ちで吸い込まれようと思うが、意識はどんどん明瞭になって朦朧から遠く離れてしまう。
やるべきこと、やりたくないけれどどうしようもないことに囲まれてしまって身動きとれない筈が、頭はシャキシャキ働き出して、物事がテキパキ動き出して、そこには明瞭な自分が明確な目的に向かって働いている。
またいつか真四角の駅の前で途方に暮れますようにと、うっすら願ってみる。