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ブレア元首相から見た小泉純一郎元首相

2012-01-28 15:30:17 | 様々な話題
「日本経済新聞」朝刊の最終面(文化面)に「私の履歴書」と言うコーナーがあり、今月は英国のトニー・ブレア元首相なのだが、連載27回目の28日に日本の小泉純一郎元首相の事を書いており、それが面白かったので以下に抜粋する。

小泉は私が政治の世界で会った中でも最も興味深い人物の一人で、それ迄に会ったどの日本人政治家とも違っていた。
とても快活で、並外れた個性の持ち主だった。
2005年のグレンイーグルズでの主要国首脳会議(G8サミット)。女王主催の首脳晩餐会での事だ。

その数日前にシラク仏大統領が英国料理に付いて不用意な発言をしたと報道され、話題になっていた。
彼が、プーチン・ロシア大統領とシュレーダー独首相に「料理がとても不味い国の人間は信用出来ない」と言う趣旨の発言をしたと言うのである。
シラク自身はそんな発言をした覚えは無いと否定していた。

晩餐会が始まり、コース料理の最初の一品を腹に入れた小泉は、つかえつかえの英語で大声でシラクに言った。
「ヘイ、ジャック。素晴らしい英国料理だ。そう思わないかい?」。
笑いのどよめきが起こった。
シラクは少し意地の悪い視線を小泉に向けたが、その悪ふざけに加わらざるを得なかった。

そしてエリザベス女王に向かって、自分は報道されている様な事は言っていないと釈明した。
「何を言ったんですって?」。
経緯を知らなかったのは女王だけで、事の次第を初めからもう一度説明する事になった。

気を良くした小泉は、その後も料理を一口食べる毎に、その素晴らしさを喧しくコメントした。
最後にはシラクが副官の銃を掴んで小泉を撃つのではないかと冷や冷やした程だ。

以上が「日本経済新聞」の「私の履歴書」からの抜粋なのだが、小泉元首相の変人振りがよく判る内容である(笑)。
ブレア元首相は小泉元首相の事を「私達は公共サービスの改革者と言う共通点があり、改革の必要性に付いてよく話した」とも書いている。

小泉元首相と言えば、「構造改革」「郵政民営化」等、色々と行ったのだが功罪相半ば、日本での小泉元首相に付いての評価は賛否両論あり、特に派遣労働の規制緩和で日本の雇用システムを破壊して格差社会を拡大させたとして、すこぶる評判が悪い。
自民党の総裁選で「自民党をぶっ壊す」と言って人気を博したが、自民党のみならず「日本をぶっ壊した」とも言われる。

そんな小泉元首相だが、外交面の考え方では、昨年9月18日に川崎市内での講演で日中関係に付いて、「靖国神社に参拝しなければ、中国と上手く行くなんて言うのは関係無い。参拝しようがしまいが未だに沖縄・尖閣諸島で摩擦が起こっている。」として、民主党政権の対応を批判している。

靖国神社参拝に関しては、「戦争を美化している訳でも反中国でも無い。日本の首相が、犠牲を受けた国民に哀悼の念を表す為に参拝して何が悪いのか、未だに判らない。」と述べており、在任中からブレない。

小泉政権下は、良好な日米関係を築いた反面、日中関係では「政冷経熱」と言われたり、米国主導のイラク戦争に追従する姿勢では物議を醸したが、外交面での評価は上々だったと言えるのでないか?。

また、首相を辞任した後も議員を続け、影響力を維持しようとするのでは無く、議員の任期終了と同時に政界を引退し、「散りぬべき、時知りてこそ世の中の、花は花なれ人も人なれ」と言う細川ガラシャの言葉では無いが、見事な引き際だったのではないか?。

そう言う部分では小泉純一郎と言う男は評価出来るだろう。
小泉元首相の話をすれば、長くなるので今回のエントリでは、これ位に留めて置いて、話を日本の首相に付いて移すが、前述したブレア元首相は日本の首相に付いても「私の履歴書」の中で以下の様に語っている。

「私は首相在任中に日本の首相と良い関係を築いて来た。ただ一つの問題は、知り合いになったかと思うと直ぐに交代して新しい首相がやって来ると言う事だった。
その中で最も印象に残っているのが、小泉純一郎首相だ。小泉は他の首相に比べ長い期間に渡って務め、その間は日本のリーダーシップが安定した時期だった。」

以上がブレア元首相から見た日本の首相の印象なのだが、やはりコロコロ変わる日本の首相とは、信頼関係を熟成させるのは難しい様だ。
日本の首相も短期間で辞任するのでは無く、ある程度の任期を務めて貰わなければ、外交関係で国益を損ねる事になる訳で、長期政権を築ける首相が出て来る事を望む。
しかし、無能な首相が長く務める事は、国益を損ねるだけなのは言うまでも無いがね。では。

【ネッタイムス・東坊京門・作】