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梅田に日本最大の書店 その1

2010-12-20 | 
『MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店』が22日に開店するそうな、ほー。
複合商業ビルの「チャスカ茶屋町」の地下一階から地上七階に入り、200万冊日本最大級の品揃えだって。
場所は梅田ロフトの南側。そー言えば随分と前から空き地なんか、工事しているのか良く解らない場所があったところだわ。
ここ数年、行った事がないので状況は知らないけど、ほぼ間違いない。どんな複合商業ビルになるんかね。

丸善は全国区の書店だから知っていると思うけど、ジュンク堂は(全国展開はしているけど)まぁこっちが本社の書店です。この業界のことは全然しらないんだけど、どちらの書店も大日本印刷の連結子会社という関係で、この書店の開店になったんだろう。
電子書籍がどこまで伸びていくか、という時代にあって「戦艦大和」なみのリアル旗艦店をオープンする決断って凄い、というか下手すれば無謀よ、という意見もあると思う。
でも、どうも大日本印刷って会社は、ブックオフに出資したりNTTドコモとの電子出版ビジネスでの提携したり、将来の出版業や書店のあり方を見据えた『MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店』の開店なんだろうと思う。

すっごく『楽しみ』だよーん。さっそく入って来るからね。明後日だ。


『殺意の試写状』

2010-12-09 | 
さすが一気に読ませてくれました。

でも、サスペンス的にあまり工夫もなしに一直線だったし。
おいらの大好きな濃厚なラブシーンも、ちょい物足りない。

でもさ、物足りないっていっても、相当に期待した上での物足りなさで、やっぱ凄いね。

で文庫本の後書きで知ったんだけど、この人の作品は間違いなく映画化やTV化していると根拠もなく思っていたんだけど、TVドラマ化2作だけらしい。
・・・なんでだろう・・・
いかにも映像化しやすい原作だと素人目には思えるんだけど。
ある意味、原作自体が映像化された作品過ぎて、中途半端な映像化を拒む原作者の意向なんかな~。


予告 『殺意の試写状』

2010-12-06 | 
『殺意の試写状』 サンドラ・ブラウン 集英社文庫

まだ、最初の100頁までいかないんだけど、いつもながらワクワク感で一杯。
思わずコメントしたくなった次第です。
ほぼ追っ掛けている積りで、ここのブログからすると3年近く前の『最後の銃弾』から読んでいない。
文庫本の裏表紙の作品リストからすると、5作ほど抜けてる・・・。

で、この人の作品は結構というか、ほぼワンパターンで、ちょっと訳ありヒーローとヒロインが出会いは敵対しながらも、惹かれあってハッピーエンド。なんよ。

今回もそうなんかな?
>寅さんでも、黄門様でも、サンドラ・ブラウンでも、村山由佳でも、コチ亀でも、ナイワ金融道でも、ゴルゴ13でも、売れる作品=たくさんの人に愛される作品の特徴はワンパターンである。ワンパターンでも飽きさせないで読者を引き付けるのは、なんだろ・・・?(3年前のおいらの記事です)


四畳半襖の下張 2

2010-09-28 | 
遅ればせながら、そもそもどんな話かというと、周辺の話は不親切だけどググれば有名な話なんでそっち参照してね。
筋自体の解説はあんまりないみたいんで、かいつまんで言うと、
・・・女房のお袖、まだ袖子とて藝者せし頃の事を思い出すに・・・
早い話が、藝者としての職業柄さっさと済ませようと袖子に対し、如何に満足させようとする手練手管、裏表、縦横、タイミング、駆け引きを微に入り際に入り記述されている、のが中心の話。

>間違いなく『四畳半襖の下張』で、発情出来る人はもういない。
で、新潮45の編集者もインパクトが無いと思ったんだろう。活字だけではなく、朗読のCDが付録として付いているんよ。『女性ナレーターの艶声で甦る!』だと。

『元来淫情強きは女の常、一ツよくなり出したとなつたら、男のよしあし、好嫌ひにかかわらず、恥ずかしき打ち忘れて無上にかぢりつき、鼻息火のやうにして、もう少しだからモツトモツトと泣声出すも珍しからず』
という文章なら淡々としたナレーションの途中に「もう少しだからモツト」と少しトーンが上がるんよ。(キャ)

活字として読んだだけでは解らない、文章の韻律による臨場感が沸いてきて、朗読CD化した新潮45の編集長に拍手です。
この『四畳半襖の下張』の執筆が1920年代の大正時代らしいんだけど、単に文を書くだけで無く、その文章を朗読したした時の「音」をも意識した先人の偉大な財産に脱帽します。


四畳半襖の下張 1

2010-09-21 | 
四畳半襖の下張(よじょうはんふすまのしたばり)

知らないだろうな~、オイラの年代でも作家の野坂昭如さんが編集長をしている雑誌かなんかに掲載して、わいせつ文書どーのこのーで裁判になって、話題になっていたような。
結局どーなんか知らん、という事件。
表現の自由Vs公序良俗とか、そもそも、わいせつとは・・・などの議論があった気はする。
それよりも『よじょうはんふすまのしたばり』という「音」からくる、なんとなく猥褻風な雰囲気で耳には残っていた。

で、新潮45の10月号で、その四畳半襖の下張が全文掲載されていて思わず購入。


近代文学史において、ポルノ性の高い傑作であるに拘らず、作者は現在でも不詳。
だが名高い文豪が名を秘して書いた作品と伝えられている。
1948(S23)年と1972(S47)年の二度にわたって警視庁の摘発を受けた。
伝えられている作者は永井荷風。
1948年の摘発の際には永井荷風自身が事情聴取を受けた。
(どんな結果になったんかな~、不明)

で、おいらの記憶に残ってたのは1972年の話。
当時、月刊誌『面白半分』の編集長であった野坂昭如さんが『四畳半襖の下張』を掲載した。
それが刑法175条の「わいせつな文書の販売」に当ると刑事訴追された。
で、8年間に及ぶ裁判で、結局1980年に最高裁で上告棄却、野坂氏に罰金10万円が確定した。

その「わいせつ文書」である『四畳半襖の下張』が、最高裁判決の30年後に再びそのままで掲載されました。
前例重視、メンツ第一のお役所はどう反応するか、なんて興味は・・・ないわ。

おそらく、大新聞大TVメディアの話題にもならないと、思う。
本当は『表現の自由』Vs『公序良俗』『公共の福祉』が歴史的にどのような意義があって、当時の規制が正当で合理的であったのか、現代のインターネット上に野放図に溢れる情報に対して、同様な規制が出来るとは思わないが、本当に自主規制しかないのか・・・、論点はある気はするけど。

間違いなく『四畳半襖の下張』で、発情出来る人はもういない。
古文の勉強で、辞書片手に「訳す」必要がある文書なんだもん。
30年前の担当した裁判官は相当な学識があったんだろう。

*** 続く ***


低調 連敗中

2010-08-26 | 
なんの話というと、購入した文庫本が外れが続いている。
結構、自信を持っていたんよ。
本屋で「パッと」みて飛び込んでくる本が、自分の好みの本で外れがあんまり無い事を。

もちろん全勝、連勝はなくて時々ハズレはあるけど、連敗は殆どない・・・筈なんよ。

で、今年の熱暑のせいか、数連敗中。

まずハズレたのが(外れたほうの話をするのも、なんなんだけど)

『発明マニア』 米原万里 (文春文庫)

この人の話はね、過去ブログに『ガセネッタ&シモネッタ』 米原万里 (文春文庫)を読んですごく面白くて、追っ掛けるつもりでいて何冊か読んだか(?)かな。で、来た~と思って本屋でみた瞬間に購入したんだけど・・・。
なんかね、妙に政治臭い話が多くて。まぁ当時の雰囲気の先端だったのかも知れないけど、今となっては、だな。

究極のハズレが

『日暮てこそ』 江上剛 (光文社文庫)

コレは腰帯に騙された。
『企業小説にして官能サスペンス』
おお、なんという甘美な響き、購入した。
でも二兎追う者は一兎も得ず。

でもさ、官能小説って難しいわ。好みあるやん、縛るのが好きとか、やー熟女だわ、巨乳でないと、ろうそくとムチやんか、後ろからじゃないと(恥ずかしい)
まぁ、そんな好みの話じゃなくて、企業小説としても中途半端で、官能小説としても中途半端な、つまらん小説だった。

で、続いて
『よいこの君主論』 架神恭介+辰巳一世 (ちくま文庫)

マキャベリの『君主論』を現代に応用した本は多いけれどビジネスに応用したものばかりで、子供のうちから君主論を学ぶことの重要性を問う書なんだけれども・・・
そもそも、『君主論』の悪魔性を何故、小学生に『僕もこれから配下の友達の心は恩情でなく恐怖で縛り付けるようにするよ』と言わせる事に、何の意味があるん。
まぁ、これはそもそもマキャベリの君主論の評価できないから、この本も評価しようもないわ。

で、更に
『週刊新潮が報じたスキャンダル戦後史』 週刊新潮編集部編 (もちろん新潮文庫)

これも中途半端。TVや新聞の速報性に劣る週刊誌が優位性を発揮できるのは、報道する事件にどこまで深く掘り下げる事が出来るかに尽きる。
でこの本は週刊新潮が記事にした50年間のスクープのうち選りすぐり記事をまとめている筈なんだけど、中途半端。オイラが知らない事件なら、どんな事件だったんだろうと興味が出るならいいんだけど、どうでもいいとしか思えなかった。知っている事件も、「じゃなんで?」という視点がなくて歯がゆい。
この本が週刊新潮の50年間の集大成だとしたら、週刊誌の事件報道はいらない。連載小説とかエッセイだけしか意味ないわ。


ルームメイト

2010-05-13 | 
『ルームメイト』 今邑彩 (中公文庫)

一度お薦めした事がある『いつもの朝に』の今邑彩の作品。
先月の新聞広告に載っていたんだけど、新刊かと思ったのに作品は古い作品なのね、文庫化が2006年4月。
インターネット以前のパソコン通信のメールのシーンが出てくるので、作品自体は90年代前半?(ぐぐったけどはっきりしない)

文庫の帯タイトルが

ミステリー好きはぜひ!
ミエミエな展開だなあと思っていたら、意外な方向に話は進んで、
いやまんまとされました。

とある。
で、おいら『まんまと騙されました』
くやしー
登場人物少なくて、消去法で犯人は特定できるんだけど、騙された。
ぐぐってみると案の定大多数の人は途中で犯人は解って興味半減したらしい。
そう、騙されたほうが興味半減しなくて最後まで楽しめたので良しとしよう。

ミステリーですので三人殺されます、老婆心ながらご注意。


嘘八百

2010-05-12 | 
え~っと、本の話題です。

『嘘八百』 天野祐吉 (ちくま文庫)

明治・大正・昭和の面白広告を集めた本。
今では考えも付かないような『大發明』もあるけど、それよりも今も昔も変わらない人間の欲望がわかって面白い。

で、ひとつ紹介
はえとりじゃなくてはいとり

特に面白い訳じゃないんだけど、見つけましたよく似た物。
自動蝿取りビン
自動蝿取り器のほうじゃなくて左端の『蝿取りビン』(クリックしたら拡大します)
場所は近江日野商人館で。

解りにくいけど、匂いに誘われて瓶の底から入った蝿は、蚊と違ってホバリングできないので上に飛ぶしかなく、出てこれないそうな。(う~ん、ホントかね)
昔、父親のお里で蝿取り紙というのは知っているけど、蝿取り瓶は知らないな~。
あんまり効果なかったんじゃないだろうか?


読むだけで・・・

2010-02-01 | 
読むだけですっきりわかる『政治と経済』後藤武士(宝島社 文庫)

解り易いのがなにより。本人も言っているように『学習マンガ』の活字版というのがピッタリ。
この手の本は面白そうなエピソードだけ集めて間違っているのかどうか解らない胡散臭い本が多いのだけど、この本は違う。
変な主義主張もなく、フェアな意見で意見が対立するところはちゃんと反対意見ものせてある。
また興味ある周辺のエピソードもきっちり書かれていて、充分に読み物としても面白い。

この作者の作品はもう一冊、『読むだけですっきりわかる日本史』を読んで、塾講師出身の作者らしく年号の語呂合わせや、試験問題に出そうな事柄を満遍なく記述してあるのが・・・、と思ったんだけど。

でも、変な主義主張もなくフェアな意見は貫かれていて、受験勉強だけでなく大人が『歴史』『政治』や『経済』の一般常識のおさらいとしても有効な本だと思う。
もちろん、受験対策としても有効かも。(残念ながら今年の私立の高校受験には間に合わないか・・・)

シリーズとしてはもう3作あるらしいので追っ掛けてみます。


慟哭

2009-11-20 | 
『慟哭』 貫井徳郎 (創元推理文庫)

「夜想」の感想も整理できないのに、貫井さんのデビュー作である『慟哭』を読んでる。
オーソドックスなミステリーだな、うんうんそーか、って感じで読んでたのよ。

連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。
 (文庫本裏表紙の解説)


警察官僚のキャリアと叩き上げの葛藤ってのも、まぁよく題材になる話しだし、幼女殺人や新興宗教の狂気も現実に起っている話だし。(って麻痺する感覚はまずいけど。この小説の発表当時はタイムリーだったのかもしれないけど)

順調に読んでて、ほとんどラストに近づいて・・・
で、突然!! 待て~!! STOP!!
文庫本でP395。

(ネタバレのため、反転して読んでね)
「もう、おやめなさい。佐伯さん」
丘本が言った


この2行で、読み進めるのを止めた。
この本は、幼女殺人事件の佐伯捜査一課長の表のストーリーと、新興宗教で娘の復活を願う狂気の「彼」の二つのストーリーが交互に進展していく体裁をとっているんよ。
その裏の「彼」のストーリーが進んでいる途中に表のストーリーの「佐伯」「丘本」の名前が突然でてきた・・・。えええ。

『追憶のかけら』同様に、最初から読み直そう。
ほんと気になる、手間掛かる悩ましい作家だよな~。


夜想

2009-11-18 | 
『夜想』 貫井徳郎 (文春文庫)

オイラにとってちょっと困った作家。
過去ブログに書いたけど、好きなんだかどうか・・・。
今回も買うとき躊躇した。
間違いなく読書ペースが乱れる、遅延する。(もちろん購入費が減るからいいんだけど)

事故で妻と娘をなくし、絶望の中でただ生きる雪藤(ゆきとう)。
だが美少女・天美遥(あまみはるか)と出会ったことで、雪藤の止まっていた時計が動き始める。やがて、遥の持つ特殊な力は、傷ついた人々に安らぎを与え始めるが・・・。
あの傑作「慟哭」のテーマ<新興宗教>に再び著者が挑む。魂の絶望と救いを描いた、渾身の巨篇。
(文庫裏表紙のあらすじ)


>魂の絶望と救い・・・
のほほんと生きてきたオイラにとって絶望をした事もなければ、救いを必要とするという皮膚感覚が不足してて、よく理解できなかった。

雪藤の遥に救われた感動から、なんとか遥の役に立ちたい、遥の能力を自分だけではなく人々に広めて欲しいという素直な純粋な気持ちから始り、いざ人が集まり始めると現実問題として「コフリット」の運営方法で、雪藤が思う理想と後から集まってきた人たちとの間に微妙な断絶が・・・


うーん、上手くまとまらない。
*** 続く ***


永遠の0(ゼロ) そのいち

2009-08-12 | 
『永遠の0(ゼロ)』 百田尚樹 (講談社文庫)

実はこの本、間違えて買ったんよ。本屋の平積みのなかから、この本って選んだ筈だったのよね。
で、帰りの電車の中で読み始めたら・・・、えっ~こんな本買った覚えが無い。
今となっては何を買おうとしていたか不明(アルツ)なんだけど、女性作家の恋愛本だった筈。

でも、結果オーライ。
凄く面白かった。

話は、終戦から60年目の夏、『健太郎』は特攻隊で死んだ祖父の生涯を調べた話です。
終戦六十周年の新聞社のプロジェクトのスタッフに選ばれた姉が、司法試験浪人生の弟の健太郎に手伝いを求めたところから、話は始まる。

宮部久蔵、大正八年生まれ。昭和九年、海軍に入隊。昭和二十年、南西諸島沖で戦死。
彼は十五歳から二十六歳までの十一年間、まさに人生で最高の時を軍隊に捧げ、後半の八年間はずっとパイロットとして戦い続けてきた。

最前線で戦い最後は特攻隊で戦死した戦闘機乗りの祖父の生涯を、もう残り僅かな戦友会をつてに取材を進めていく。
祖父が死を恐れた臆病な戦闘機乗りであったという最初の戦友の評や、天才的な技術を持ったパイロットであったという証言、部下をかばう当時では考えられない生き残ること大切にした人物像が・・・

後はネタばれになるので、略。

おいらの想いは、そのに、で。*** 続く ***


一瞬の風になれ 5

2009-07-24 | 
佐藤多佳子さんの作品を読んでいて、思いあたったのが『そうめんは悲しからずや』というオイラの拙文。
佐藤さんの作品=ソーメン、という公式を発見したのだ。

佐藤さんの作品の具材には、「死」とか「血」とか「不倫」とか、具材そのものの「濃い味」とは無縁です。はやりラーメンみたいにスープには豚骨、背脂・・・どーのこーの、訳解らん「こだわり」とは無縁。
麺も太麺だ、細麺だ、ちぢれ麺だ、スープが絡む絡まない、も無い。

高価じゃないけど上質な、鰹節と昆布で出汁を取って、麺もふつーの全然インパクトのない、細い麺を連想させる。

『上質素麺作家』と名づけたい。


一瞬の風になれ 4

2009-07-23 | 
山本文緒、江國香識、姫野カオルコ、佐藤多佳子、村山由佳、島本理生、今邑 彩、佐藤多佳子。
偏った主義主張がなくて、テーマが身の周りの大切な事を脱センセーショナルな価値でもって、丁寧に書くことが出来る作家たち。
(おいおい男性作家は?)

で、その女性作家のうち、佐藤さんの作品は更に出色だと思う、『恋』がない。
おいら大好き村上由佳さんは、料理上手なショーリ君とカマトトかれんの連作は、作者本人意識していなくても「売れ筋」よ、いい悪いじゃなくてね。
それに比べて、「落語家」「スリ」「陸上選手」という、どー考えても「売れ筋」と無関係な主人公よ。
それでいて、『2007本屋大賞』なんだから。


一瞬の風になれ 3

2009-07-23 | 
>けっこう一作ごとに作風が違うので・・・
>なぜかわからないけど、どうしても書きたい作品というのがあり、それを書こうということになると、自分の力の及ぶ限り、いい世界にしたいと思います。
・・・佐藤さんのブログより・・・

佐藤多佳子さんの作品のうち、過去ブログにも書いた『しゃべれどもしゃべれども』と今回の『一瞬の風になれ』、ブログには書いていないけど『神様がくれた指』を読んだ。
寡作な人なんで児童文学と(おいら苦手な)短編と文庫化してない作品を除いたら、この三作なんよ。
で、本人の言うように「けっこう一作ごとに作風が違うので」って、おそらく作者名隠して三作読んだ人は、決して同一作者だとは思わないと思う。
『一瞬の風になれ』でググっていたら、『どこかで聞いた作者だと思っていたけど「しゃべれども・・・」の作者だったんですね』って記事読んだよ。

何が言いたいのか発散しそうだけど、佐藤さんの作品には変な主義主張が無いのが『いいんよ』
ひと世代上の女性作家は、女性は社会的にまだまだ開放されていなくて・・・女性の権利どーのこーの・・・や、黒人と奔放な性などなど、そもそもの本のネタ自体にセンセーショナルな価値があるからこそ、作品が成り立つ、って人が多かった(林○○○さんや山○詠○さんを意識してませんぜ)気がする。
で、同世代やひと世代下の女性作家、山本文緒、江國香識、姫野カオルコ、佐藤多佳子、村山由佳、島本理生、今邑 彩。題材も身の周りの出来事を作品のテーマにして、肩肘張って主義主張を出すところがなくて、みんな質が高いよ。