幽霊や守護霊との会話、という時点で期待していなかったんだけど、何故か購入してたので。
「疲れた心にじんわり沁みる、爽やかな作風」との紹介が、ぴったり。
二人とも臆病。お互いに好意を意識しているのに、一歩も踏み出す事が出来ない。
みのりは、過去の恋愛の後遺症か
>永遠に塩を撒くだけの力士みたいと思っていて、それはそれで仕方ないと思ってる。
透は母子家庭という環境もあり大学進学せず、祖父の生け花教室の手伝い、助手をしている。(だからセンセイ)
その将来の漠然とした不安感が積極的に行動できない(のかな~)
駄目、長い文章書けなくなった。
良質な物語だから読んでみて。展開が遅いのは我慢して、読み進めてね。
早い話が、28歳の本山みのり と 8歳年下の 滝川透 恋愛話しなんだけど
おいらに言われたくないだろうけど、二人とも臆病、仕事にも恋愛にも。
切ない恋愛小説です。
詳しくは続く(筈)
朝井まかて
講談社文庫の作品はきっちり追っかけて、はまった作家なのに
文庫最新作
『阿蘭陀西鶴』 朝井まかて (講談社文庫)
井原西鶴の盲目の娘あおいが、父西鶴と暮らした日々を綴る風の物語です。
講釈師みてきたような嘘をつき、ってフレーズを思い出した。
もちろん、薄っぺらな嘘じゃなく、史料に裏打ちされた限りなく史実に寄り添った物語なんでしょうが。
言葉足らずだな~まぁ、読んでみてよ。
(ほんと近ごろ根気がなくて、書き散らかしておしまい、ばっかりだトホホ)
今月の新刊
『ヘタウマな愛』 蛭子能収
自由人・蛭子能収が綴る前妻との30年。感涙の回想記。(裏表紙紹介)
まぁエビスさんらしいというか、ほのぼの天然記念物。
(ただ、次の若い妻をもらうためのアリバイ・言い訳のための作品かも)
自分も、やっぱり妻より先に逝ってしまおう、と思いました。
『いいとこ取り! 熟年交際のススメ』 西原理恵子
あはは、巻頭のまえがきマンガに苦笑い、これぞサイバラ!
西原と高須クリニックの院長が交際宣言をしているとは知らなかった(知りたくもないけど)
中途半端な恋愛に悩んでる方、必見。
握る男
『握る男』 原宏一 (角川文庫)
何を握る?
まずは『寿司』。
最初から寿司職人で終わらない信念の「ゲソ」こと「徳武光一郎」のサクセスストーリーならぬ、えげつない成り上がり物語。
次は『キンタマ』
キンタマを握る、すなわち弱みを握る。作中なんどでもでてくる。
対等な信頼関係なんか糞くらえ、周りの人物の弱みを把握してコントロールしていくのが「ゲソ」流
おりしも訪れたバブルの時代に成功し成り上がる。が、結末はもちろん。
このところ爽やか系癒し系な良質小説ばっかりだったので、読み応えあった。
カサブランカの君はどう反応するかな?
金沢金魚館
『金沢金魚館』 みゆ (集英社オレンジ文庫)
石川県出身者の「みゆ」さんの作品ということで、書店の平台に並んでいたので応援!って感じで購入。
したけど、・・・
外れ!とは言わないけどイマイチおじさんはついていけなかった。
まず、登場人物の名前
『東野花純』 ひがしのかすみ
『古井戸薄荷』 ふるいどはっか
『別流瀬隆治』 べるせたかはる
『土間日鞠』 どまひまり
『小修丸雪継』 こしゅうまるゆきつぐ
『古井戸月下』 ふるいどげっか
花純ちゃんはまだいいけど、「薄荷」「別流瀬」は・・・
まぁ、記号として読み続けるけど文中に「薄荷」「別流瀬」が出てくるたびに違和感を感じながら読むの辛いよ、おじさんには
金沢弁もなにかイマイチ違和感。
ここは難しいと思う、生粋の金沢弁になるといちいち説明が必要になるし
ある程度、全国版に通用する程度には妥協とかシフトとかミックスというか、のアレンジは必要だろう
季節感も?
冬休みの帰省の時期に「ホタルイカ」・・・なくはないだろうけど
細かいところ突いてもしかたないけど
いちばん解らないのが「薄荷」君の、超『能力』というか人が見えないものを視る『能力』
その『能力』がこの作品のストーリーには大切になっている筈なんだけど、よく解らない。見えないものが視えるんだけど・・・
特にラスト「真夜中のソーダ水」が
薄荷くん、は調子が悪い。悪くなったトリガーは双子の弟「月下」に久しぶり会った事。常連客の宮藤さんのホスト通いに「視えた」事を直言したこともきっかけか?
その結末が一番わからない
なにやら薄荷の父親ひきいる嘉商グループの新年会で、別流瀬が引き受けたみたいけど、花純も待ち受けてんだけど。流れがわからん、おじさんは
わからないけどハッピーエンドだ
ブログネタとして、ありがとう、です。
困ったヤツ
『新月譚』 貫井 徳郎 (文春文庫)
ミステリーじゃないのね。
この本を手に取ってから、購入を決めるときに決心がいった。
過去に『追憶のかけら』では、途中から読み直したのに、まんまと作者のミスリードに乗ってしまった。
『修羅の終り』はミスリードさえ気が付かなかったし、『夜想』は感想がまとまらなかった。
デビュー作の『慟哭』はやっぱり途中で止めて読み直したし・・・
ほんと、うっかり読んだらミスリードに乗るし、一語一語気を付けて読むと結構なボリュームがあって時間が掛って仕方がない。困った作品ばかり。
『新月譚』は美貌と壮絶な作品世界で一世を風靡した作家、咲良怜花。
だが、突如として筆を折った。なぜ彼女は執筆をやめたのか。彼女の隠し続けてきた秘密とはなにか。沈黙を破り、彼女は語り始める・・・
(文庫裏表紙のあらすじから)
九年前に断筆宣言をした幻の美人作家・咲良怜花は咲良の大ファンで若手編集者・渡部敏明に再デビューを依頼される。
咲良作品に対する渡部の熱意に心を許した彼女は、誰にも語ったことのない自らの半生、渡部に語り始める・・・。
(文庫解説から)
文庫本で600頁を超える作品をいっきに読んだ。
(ただでさえ昼夜逆転症状に苦しんでいるのに、2時頃までかかった)
なんだろ、整形や不倫などありきたりの題材といえばそうだし、ミステリーっぽさが入っているのかと思えば全然入っていないし、何が面白かったのだろう?
よく解らないけど、妙な魅力があった、そんな作品でした。
(中途半端な感想ですみません、とほほ)
絶望ノート
『絶望ノート』 歌野晶午 (幻冬舎文庫)
う~ん、こんな展開になるとは思いもつかなかった
一筋縄で終わらないのは想定していたけど・・・
文庫解説にある通り
『葉桜の季節に君を想うということ』は、ある意味一発ネタ
この作品は『語り口の多様性と物語構造の複雑さ』で『葉桜の・・・』を凌ぐ出来だと思う
中2の太刀川照音(たちかわしよおん)が学校でのいじめの記録『絶望ノート』に書かれている言葉が、次々と現実となる。一人が大怪我、一人が事故死、一人が他殺?
更に連鎖か先生まで自殺?
最後は父親が交通事故死
前半部分はイジメの記録で淡々というか鬱々と読み進めていたのだけれど、警察の捜査が入るあたりから、少しずつ真実が剥がれ落ちてくる。ええっ~、そ~くる?
最後には、本当の危機が・・・
『カサブランカの君』の感想が聞きたい。
正解!!
『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』 山田詠美(幻冬舎文庫)
ここ数日↓にあるように、気に入ったフレーズをアップしたのは、この本を読んでいて思わず目に飛び込んで来た文を正確に書き写したくなったからだ。
なんだろう、この気持ちは。初めての経験である。
普通に文章を読む際は、単語・文節単位で読み進めるものであると思うけど・・・
突然、一文が目に焼き付くような感覚に襲われるような・・・
ある意味、名言集だと評価している人もいるかもしれないが、違う。
ごく、ありふれた行為をありふれた言葉で文にしても、光っている感じだ。
***
ちょっとだけ複雑な、でもどこにでもある再婚によって生まれた新しい家族。
その家族の長男の不慮の事故による死をきっかけにアルコール依存症になる母親。
そんな家族を、母親の娘長男の妹からの視点、父親の息子からの視点、そして再婚して生まれた妹からの視点、それぞれの視点でその絶望的な家族の歴史を、そして再生を描いている。
あんまり上手く解説できていないけど解るかな?
長男(母)が死亡、長女(母)、次男(父)、次女(父母)の関係
***
平凡を絵に書いて二乗して、閉鎖的な保守的な土壌で育ったおいらには、感覚的には解らない世界なのかもしれない。
同時に『ベッドタイムアイズ』でセンセーショナルな話題を呼んだ山田詠美に対しても、中学生の感性で止まっているおいらにとっては、決して近寄らない作家でもある。
何故か近寄って魅入られてしまった、そんな運命を感じる。
まぁ調べると山田さんの作品は「大人の男女の恋愛・性愛」、「子供や思春期の少年少女」を描くものと二系統あるそうなんで、後者から追っかけてみようと思う。
友人はどのような感想を抱くであろうか、楽しみです。