「そこ、俺の席だからどいてよ」
列車の硬座の車両は、大抵いつも混んでいます。
座席指定券を持っている乗客だけでなく、乗車券だけの乗客も乗っているからです。
昇降口付近だけでなく、通路にも乗客がいっぱい。
だから、空席などありません。座席指定券を持った乗客が来るまで、誰かが座っています。
私の隣の席で、一人のおばさんが眠っていました。
そこにやってきた、ひとりの青年。
「そこ、俺の席だからどいてよ」
一瞬、私のことかと思いましたが、どうやらおばさんに向かって言っているようです。
自分が指定席券を持っていなければ、「あ、すいません」と席を立つものですが、このおばさんはそう言われても、なかなか席を立とうとしません。
業を煮やした青年が言いました。
「おばさん!あんたは『無座(座席指定なし)』だろう? (切符を)見せてみなよ!!」
めんどくさそうに、おばさんがごそごそと取り出した切符にはたしかに『無座』と記されています。
やはり、おばさんは席を立つしかありません。
ところが、おばちゃんは席を立つでもなく、
「あなたの切符も見せて」ニヤッと笑いながら言いました。
「えっ?」
「だから、あなたの切符も見せて」
そして青年がズボンのポケットから取り出した、しわくちゃの切符にも、なんと『無座(座席指定なし)』の二文字が。
そうです。この青年は、指定席券を持っていないのに、あわよくば座ろうとしていたんです。
「ほらね、私のほうが早くから座っていたんだから、ここは私の席よ」
おばさんはニヤッと笑うと、まるで何事もなかったかのように、再びいびきまじりの寝息をたてはじめたのでした。
もし私だったら、100%騙されていたでしょう。
おばちゃん、すげぇ。心の中でおばちゃんに拍手を贈りました。
列車の硬座の車両は、大抵いつも混んでいます。
座席指定券を持っている乗客だけでなく、乗車券だけの乗客も乗っているからです。
昇降口付近だけでなく、通路にも乗客がいっぱい。
だから、空席などありません。座席指定券を持った乗客が来るまで、誰かが座っています。
私の隣の席で、一人のおばさんが眠っていました。
そこにやってきた、ひとりの青年。
「そこ、俺の席だからどいてよ」
一瞬、私のことかと思いましたが、どうやらおばさんに向かって言っているようです。
自分が指定席券を持っていなければ、「あ、すいません」と席を立つものですが、このおばさんはそう言われても、なかなか席を立とうとしません。
業を煮やした青年が言いました。
「おばさん!あんたは『無座(座席指定なし)』だろう? (切符を)見せてみなよ!!」
めんどくさそうに、おばさんがごそごそと取り出した切符にはたしかに『無座』と記されています。
やはり、おばさんは席を立つしかありません。
ところが、おばちゃんは席を立つでもなく、
「あなたの切符も見せて」ニヤッと笑いながら言いました。
「えっ?」
「だから、あなたの切符も見せて」
そして青年がズボンのポケットから取り出した、しわくちゃの切符にも、なんと『無座(座席指定なし)』の二文字が。
そうです。この青年は、指定席券を持っていないのに、あわよくば座ろうとしていたんです。
「ほらね、私のほうが早くから座っていたんだから、ここは私の席よ」
おばさんはニヤッと笑うと、まるで何事もなかったかのように、再びいびきまじりの寝息をたてはじめたのでした。
もし私だったら、100%騙されていたでしょう。
おばちゃん、すげぇ。心の中でおばちゃんに拍手を贈りました。