11月3日の水曜日(祝日)に東京都内で大道塾の関東地区予選が開催されました。
今回は、一般部とジュニアの大会が開催されました。
支部からは、一般部のクラスに2名、ジュニアクラスに9名の、合計11名の選手が出場いたしました。
出場した選手たちの様子をご紹介いたします。
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ジュニアクラスの選手宣誓に選ばれた、追浜道場の高校生女子のRさん。
過去の成績から、今回の選手宣誓の役割に選ばれました。
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さて、ここからは試合の模様です。
まず一人目は、U13クラスの42kg以下の階級に出場した、追浜少年部のH君です。
同学年の同じ年齢、同じ位の体形の子が3名でのリーグ戦となりました。
対戦相手は新宿西支部と高尾支部の二人。
初戦で新宿西支部の選手に、さんざんに振り回されて敗退。
対戦相手は小学6年生ながら、戦いのセオリーがしっかりと出来上がっている、とても実力のある選手です。
内容を見る限り、突き蹴りの連打を受け、さらに両襟もしくは両肩口をもたれて、膝蹴りから支えつり込み足で崩されるという大会における典型的なパターンで、そのまま素直に投げられて、上からキメをされるという流れが続き、2ポイントを続けて先取されました。
後半は、相手の支えつり込みの崩しを何とかこらえることができ、崩されてもすぐに立ち上がって相手のポイント効果を防ぐことができ、また、相手の蹴りの連打にひるむことなく、前に出て攻撃を仕掛けようという姿勢が崩れなかったのは、とても良いところでした。
相手選手の動きを見れば、蹴りの連打が早く、突きで間合いを取りながら蹴りを出し、組んでの膝蹴りから支えつり込みまでスムーズに連携ができており、また下がりながら左右へフットワークを使ったり、時には内回し蹴りを仕掛けたりと、技の多彩さと技術の出来上がり具合を見て、ほぼ完敗という内容でしたが、相手から学ぶべき点が多くありました。
しかし次の高尾支部の子との対戦では、打撃勝負の中で順当に勝利を収めることができました。
結果的に、一勝一敗という結果です。
黄色帯を締めている横須賀支部のH君が、帯上の緑帯の選手に負け、帯下の青帯の選手に勝利したとなれば、実力的には順当のレベルであり、内容的にもほぼ私の予想通りです。
負けた試合は悔しかったでしょうが、しかし初の大会出場にしては、上出来な内容だったと思います。
今回対戦した選手に対抗するには、大道塾の大会という場での戦い方になれることと、いくつかの対策をとることが必要です。
今回の敗因に対するいくつかの対策をとることができれば、次の試合ではまた大きな可能性が出てくると思います。
次回の挑戦に期待したいところです。
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次は、追浜中学部所属の女の子、Mさん。
相手は全員、同じ中学一年生で、総本部と大田支部の子とリーグ戦で対戦。
大田支部の女の子との対戦では、打撃での積極的な攻撃を仕掛け、打撃勝負での完勝。
次の試合では、相手の馬力と手数に押し切られての敗退。
負けた試合では、相手に押し崩されて、崩された後のマウント効果のポイントを一つ奪われていましたが、戦い方に工夫ができれば、十分に勝利を収めることが出来る内容だっただけに、非常に残念な結果でした。
横須賀・湘南支部の子供クラスでは、中学生から本格的な組手の稽古が始まりますので、中学2年生の後半になる頃には、もう少し戦い方への工夫がみられることが望ましいです。
現在中学1年生のMさん。
あと一年ほどの間に技量を向上させ、組手の上手さを身に付けていきたいところです。
上手くてかっこよく、そして美しくてきれいな戦いを身に付けられるように頑張りましょう!
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次は、U16男子の48kg以下のクラスに出場した、追浜道場中学部のH君です。
相手のしつこい掴み攻撃に対応できずに、ポイント効果で2ポイントを取られて完敗。
打撃のみの攻防であれば勝てる試合だったかもしれないと思わせる相手でしたが、総合力で、いわゆる取っ組み合いの強さ、腰の強さ、そして相手の崩しの攻撃に対応できなかったのが大きな敗因です。
もう少し足腰が強く、筋力的な粘り強さと体幹のバランスが強ければ、相手の崩しに対応できたかもしれません。
また組むことへの備えや、相手の崩し技への対策があまりできていなかった様子で、今後はそのあたりを強化できれば、得意の打撃がより生かせると思います。
寝技への対応も不足しており、まだまだ課題が多いといえます。
上記で紹介した三名は、いわゆる我が支部の稽古生らしい打撃を主体とした戦いの中では、帯の色に準じた戦いが十分にこなせていますが、足腰の強さと組技や寝技への対策のほか、大道塾の大会の中で行われている、特徴的な戦い方に対する工夫が求められるところです。
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次は、U16男子66kg以下のクラスに出場した中学1年生のY君。
3人リーグでの一回戦は千葉県の香取支部の選手。
相手は一つ年上の中学二年生で、9kgの体重差のある選手との対戦です。
体重差の影響が大きく、打撃ではやや押され気味。
相手は相当にフルコンタクトの組手をしっかりとやりこなしてきたと思わせる、安定したパワフルな打撃が持ち味の選手。
いわゆるフルコンタクト空手的にみれば、組手の稽古をしっかりと積んできている、正統派のスタイルの実力のある選手です。
攻防の中で、柔道的な大内刈りも上手に見せていた相手選手ですが、大道塾の大会で用いられる組技の攻防には慣れていない様子。
横須賀支部のY君は、相手の仕掛けた大内刈りを倒れながらいなして、投げられ際にすぐに立ち上がり、サイドからニーオン(寝た相手へのポジションの取り方)からの極めの動作でポイントを先取しました。
その後、延長戦に入ったものの、その時の効果ポイントが響いて判定勝利となりました。
純粋な打撃だけでは押され気味な様子だっただけに、本戦で得た効果ポイントに助けられた内容だったと思います。
この横須賀支部のY君は、中学校の柔道部での練習と並行して大道塾の道場稽古を続けており、その中で磨いた打撃と、立ち組のバランスの良さで価値を得ることができました。
少年部の頃から、稽古が始まる前の時間に鬼ごっこなどで遊んでいる少年部の子供たちの中でただ一人、周りで遊ぶ子に目もくれずに、ただただひたむきにシャドーなどのイメージトレーニングに励んでいたY君。
彼のそうした精神性が、中学一年生にしてここまでの実力をつけることができた大きな要因の一つだと思います。
中学生の部で全国での活躍が期待できる逸材の一人だと感じておりますが、油断なきよう、現状に満足せぬよう、向上心を持って取り組んでいただきたいところです。
しかし今回の試合は、打撃の攻防では、相手から学ぶ部分が多くある内容でしたね。
今回は、良い経験を積ませてくれた対戦相手に、感謝したい気持ちです。
さて、このY君の二回戦の相手は、同門の久里浜道場中学部2年生のK君です。
まず先に、この相手のK君の一回戦の様子からご紹介します。
3人リーグの為、このK君の一回戦の相手も、千葉の香取支部の打撃の上手い強豪選手です。
打撃勝負ではとても実力のある相手でしたが、打撃から組技への連携、首を抑えての膝蹴りから右へ回り込みながらの崩しと支えつり込み足で投げ極めの効果を奪い、判定勝ちとなりました。
こちらも純粋な打撃だけで見ればやや相手からのプレッシャーが強かったですが、全体の攻防の組み立ての上手さが勝敗の分かれ目といったところです。
この相手に打撃勝負でも十分に勝てるくらいの、実力をつけていきましょう。
攻防の中での勘の良さは、普段からしっかりと考えてバランスよく稽古に取り組んでいることと、自主トレもしっかりとこなした筋力トレーニングによる体幹の強さからくるもので、本人の意識の高さが評価されるところです。
本人のこれまでの頑張りが実った内容でした。
さて、このクラスの最後の対戦は、横須賀支部同士の同門対決となる、K君とY君との対戦です。
最終的に、K君が右の上段回し蹴りの効果を二つ取得し、Y君の金的による反則の警告が一つあり、結果的に文句なしの判定での勝利でした。
しかしお互いに組手がうまく、とても実力のある二人の対戦でしたが、一つ年上の先輩に果敢に挑んだ中学一年生のY君の健闘を称えられる一戦でした。
一方で、総合力で非常に実力をつけてきたK君の将来への大きな可能性を秘めた内容でもありました。
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次は、U19の高校生のクラスの紹介です。
まずは、中学生男子のY君の試合から。
元々は久里浜所属のY君。
現在は高校のクラブ活動の都合で、日曜クラスに移籍して、稽古を継続しています。
私の目線で見て、組手のセンスは、これまでの歴代の選手クラスの中でも一、二を争うほどの技術があります。
試合の結果を見れば、「一回戦負け」、となりますが、身体指数差で「11.5」の差のある相手に、十二分に戦い抜き、惜しくも判定で敗れてしまいました。
大道塾の特殊な判定制度の中で、唯一引き分け判定を出せる副主審が引き分けを示し、三人の副審のうちの一人がY君の旗を揚げていたことからもわかる通り、内容的にはほぼ互角で、北斗旗の本戦であれば引き分けになると思われる内容でした。
指導者目線で、ひいき目無く見ても、攻防の駆け引き、間合いの取り方、いわゆる攻防を制していたといえる内容でしたが、相手のアグレッシブながら、積極的な攻撃が判定に響いたことにより、惜しくも判定負けとなったと思われます。
負けているとは言えないながらも、決してこの勝負の中ではっきりと勝ち得ていたとは言えなかった今回の勝負内容は、今後の課題として取り組んでいってもらいたい。
映像を見る限り、ポイントを取るチャンスがいくつかあったと思われますので、そのあたりは次の反省会の時にでも説明したいと思います。
一方の、反対のブロックで試合をした追浜道場所属のK君。
対戦した相手は相当の実力があり、支部の責任者が優勝確実と確信して送り込んできたと思われるような強豪選手です。
しかしその相手に対し、攻防の中で上手く対応し、蹴りのキャッチからの打撃でダウンを奪うも、私を含めた審判団の判定ミス(と思われる内容)により無効とカウントされ、惜しくも判定負け。
全体としてみれば、相手のミドル(中段回し蹴り)と左ストレートの打撃の連打により、効果ポイントを奪われていることが大きな敗因です。
私個人の反省としては、S級審判員として大会に参加していながら、厳格な判定をとれなかったことが悔やまれます。
この判定に関する問題点に関しては、今回の反省会の時に、映像でのスロー再生での解説を交えて、参加した皆様へご説明いたします。
また別の見方としては、サウスポーの相手の非常に完成度の高い相手の打撃に対して、十分な対応ができていなかったことは、反省点として今後の課題に残していただきたいと思います。
蹴り技のキャッチが何度ができており、そこからの手技の打撃への連携は良かったものの、投げ技や崩しにつながる連携がなかったことは、惜しまれるところです。
この辺りで、投げ極めによるポイント効果が二つ以上取得出来ていれば、文句なしに勝利を得ることができていたと思われますので、今後の課題としていただきたいところです。
しかし、相手選手は実に上手い選手でしたね!
大会終了後に、相手選手の高校生とそのお母様とお話をする機会がありましたが、とてもいい子に育っている様子に感心しました。
今後も、我が支部の選手たちのよき壁となり、いい刺激を与えていってもらいたいです。
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最後にU19のクラスに出場した女子のクラスの紹介です。
こちらはU19の、所謂、高校生女子のクラスですが、関東地区の大会でのエントリーは横須賀支部の2名のみ。
実際に稽古を行っている子はいくつかの支部には在籍しているかもしれませんが、出場した子は支部内の2名のみであり、参加人数が少ないこと、過去のU16で対戦して仲良くなっていた他支部の女の子たちの参加がなかったことは、とても残念でした。
さて、そんな中でも、同じ横須賀支部同士の対戦の中、就職試験の為、しばらく稽古を休んでいいたものの、高校三年生の貫禄の戦いぶりと、高校一年生ながら果敢に挑戦し、相手の打撃をもらいながらも最後まで姿勢が崩れることなく、果敢に攻めていったその姿勢が評価できる、とても良い戦いとなりました。
最終的に、高校三年生の選手が勝利しました。
しかし、今後の課題として、一般部女子の試合の様子を撮影しておきましたので、反省会で映像を見て、学ぶべき点を参考にしていただきたいと思います。
今回の大会に参加された皆さん、ジュニアの同伴で会場に足を運んでいただけた方々、大変お疲れ様でした。
大会の紹介は以上です。
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最後に、ちょっと今回の主題から外れますが、私の思ったことお話いたします。
大道塾の団体の中でも特に関東地区は、支部の数は他地域よりも多いもののジュニアクラスの選手層が薄く、今後はより皆さんで盛り上げていければと考えています。
ちなみに、大道塾は他の空手団体や柔道などの団体、その他、武道団体と比較しても、学んでいる人数が非常に少ないと思われます。
競技の中での、実力重視の姿勢ばかりが目についてしまう大道塾。
出来れば、強い選手を育てる事ばかりに重点を置くのではなく、稽古の中にもっともっと教育的な配慮を置き、大会に出場するために稽古をするという視点から、「青少年の教育的な視点」、「武道の価値の伝承」そして「護身としての技能習得」などに重点を置く、教育的な内容に切り替えていく必要性を感じます。
単に ”試合に勝てるかどうかの格闘競技の愛好家の集まり” といった雰囲気では、決して組織は大きくならず、かといって教育的なところばかりに重点を置いた精神論ばかりでは、現実の武道の学び(実際の護身、戦う力の養成)が形骸化してしまい、形(かたち)ばかりの、古い高段位のおじさんばかりが偉そうにしている、格式ばった雰囲気の、頭の固いご年配の方々の集まりになってしまう恐れがあります。
そうなれば若者の信頼を裏切ることになり、本物の実力を養うこともできなくなります。
過去のしがらみを捨て、本物の実力を身につけることを目指してスタートした大道塾という団体ですが、時には武道の伝統に立ち返ることも大切な事だと考えています。
競技の中での実力の向上も、稽古に参加する総人数が増えれば、当たり前のように全体の競技レベルは上がってくるものです。
一つの団体が、組織としての力を持つためには、まずは人です。
「この道場で学びたい」という人が増えること、
「幅の広い年代の方々、また体力や健康状態においても、いろいろな方が安心して集える、多くの方々にとって大切な学びの場」であること、
「そしてそこで学ぶ方々が、正しい学びを通して、よりよき人間性を養う」ことが大切だと思います。
大会という場で競技に取り組む選手たちにとっては、勝つことへのこだわりは強くて当たり前ですが、指導者や組織運営に携わる方々には、強い弱いや勝った負けたで喜ぶ次元から、より高い、高尚な意識を持つことが望まれると思います。
大道塾に係る全ての方のご家族、子供クラスの保護者や祖父母の方々などからも、「この団体はいいよ!」、「この道場に入っていて(入れておいて)よかった!」、「おかげでいい子に(良い人物に)育ってくれた!」と周りの方々から思っていただける部分を、試合の勝敗以外の部分から感じ取っていただける団体になってもらいたい、というのが私の大きな望みです。
今回は、一般部とジュニアの大会が開催されました。
支部からは、一般部のクラスに2名、ジュニアクラスに9名の、合計11名の選手が出場いたしました。
出場した選手たちの様子をご紹介いたします。
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ジュニアクラスの選手宣誓に選ばれた、追浜道場の高校生女子のRさん。
過去の成績から、今回の選手宣誓の役割に選ばれました。
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さて、ここからは試合の模様です。
まず一人目は、U13クラスの42kg以下の階級に出場した、追浜少年部のH君です。
同学年の同じ年齢、同じ位の体形の子が3名でのリーグ戦となりました。
対戦相手は新宿西支部と高尾支部の二人。
初戦で新宿西支部の選手に、さんざんに振り回されて敗退。
対戦相手は小学6年生ながら、戦いのセオリーがしっかりと出来上がっている、とても実力のある選手です。
内容を見る限り、突き蹴りの連打を受け、さらに両襟もしくは両肩口をもたれて、膝蹴りから支えつり込み足で崩されるという大会における典型的なパターンで、そのまま素直に投げられて、上からキメをされるという流れが続き、2ポイントを続けて先取されました。
後半は、相手の支えつり込みの崩しを何とかこらえることができ、崩されてもすぐに立ち上がって相手のポイント効果を防ぐことができ、また、相手の蹴りの連打にひるむことなく、前に出て攻撃を仕掛けようという姿勢が崩れなかったのは、とても良いところでした。
相手選手の動きを見れば、蹴りの連打が早く、突きで間合いを取りながら蹴りを出し、組んでの膝蹴りから支えつり込みまでスムーズに連携ができており、また下がりながら左右へフットワークを使ったり、時には内回し蹴りを仕掛けたりと、技の多彩さと技術の出来上がり具合を見て、ほぼ完敗という内容でしたが、相手から学ぶべき点が多くありました。
しかし次の高尾支部の子との対戦では、打撃勝負の中で順当に勝利を収めることができました。
結果的に、一勝一敗という結果です。
黄色帯を締めている横須賀支部のH君が、帯上の緑帯の選手に負け、帯下の青帯の選手に勝利したとなれば、実力的には順当のレベルであり、内容的にもほぼ私の予想通りです。
負けた試合は悔しかったでしょうが、しかし初の大会出場にしては、上出来な内容だったと思います。
今回対戦した選手に対抗するには、大道塾の大会という場での戦い方になれることと、いくつかの対策をとることが必要です。
今回の敗因に対するいくつかの対策をとることができれば、次の試合ではまた大きな可能性が出てくると思います。
次回の挑戦に期待したいところです。
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次は、追浜中学部所属の女の子、Mさん。
相手は全員、同じ中学一年生で、総本部と大田支部の子とリーグ戦で対戦。
大田支部の女の子との対戦では、打撃での積極的な攻撃を仕掛け、打撃勝負での完勝。
次の試合では、相手の馬力と手数に押し切られての敗退。
負けた試合では、相手に押し崩されて、崩された後のマウント効果のポイントを一つ奪われていましたが、戦い方に工夫ができれば、十分に勝利を収めることが出来る内容だっただけに、非常に残念な結果でした。
横須賀・湘南支部の子供クラスでは、中学生から本格的な組手の稽古が始まりますので、中学2年生の後半になる頃には、もう少し戦い方への工夫がみられることが望ましいです。
現在中学1年生のMさん。
あと一年ほどの間に技量を向上させ、組手の上手さを身に付けていきたいところです。
上手くてかっこよく、そして美しくてきれいな戦いを身に付けられるように頑張りましょう!
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次は、U16男子の48kg以下のクラスに出場した、追浜道場中学部のH君です。
相手のしつこい掴み攻撃に対応できずに、ポイント効果で2ポイントを取られて完敗。
打撃のみの攻防であれば勝てる試合だったかもしれないと思わせる相手でしたが、総合力で、いわゆる取っ組み合いの強さ、腰の強さ、そして相手の崩しの攻撃に対応できなかったのが大きな敗因です。
もう少し足腰が強く、筋力的な粘り強さと体幹のバランスが強ければ、相手の崩しに対応できたかもしれません。
また組むことへの備えや、相手の崩し技への対策があまりできていなかった様子で、今後はそのあたりを強化できれば、得意の打撃がより生かせると思います。
寝技への対応も不足しており、まだまだ課題が多いといえます。
上記で紹介した三名は、いわゆる我が支部の稽古生らしい打撃を主体とした戦いの中では、帯の色に準じた戦いが十分にこなせていますが、足腰の強さと組技や寝技への対策のほか、大道塾の大会の中で行われている、特徴的な戦い方に対する工夫が求められるところです。
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次は、U16男子66kg以下のクラスに出場した中学1年生のY君。
3人リーグでの一回戦は千葉県の香取支部の選手。
相手は一つ年上の中学二年生で、9kgの体重差のある選手との対戦です。
体重差の影響が大きく、打撃ではやや押され気味。
相手は相当にフルコンタクトの組手をしっかりとやりこなしてきたと思わせる、安定したパワフルな打撃が持ち味の選手。
いわゆるフルコンタクト空手的にみれば、組手の稽古をしっかりと積んできている、正統派のスタイルの実力のある選手です。
攻防の中で、柔道的な大内刈りも上手に見せていた相手選手ですが、大道塾の大会で用いられる組技の攻防には慣れていない様子。
横須賀支部のY君は、相手の仕掛けた大内刈りを倒れながらいなして、投げられ際にすぐに立ち上がり、サイドからニーオン(寝た相手へのポジションの取り方)からの極めの動作でポイントを先取しました。
その後、延長戦に入ったものの、その時の効果ポイントが響いて判定勝利となりました。
純粋な打撃だけでは押され気味な様子だっただけに、本戦で得た効果ポイントに助けられた内容だったと思います。
この横須賀支部のY君は、中学校の柔道部での練習と並行して大道塾の道場稽古を続けており、その中で磨いた打撃と、立ち組のバランスの良さで価値を得ることができました。
少年部の頃から、稽古が始まる前の時間に鬼ごっこなどで遊んでいる少年部の子供たちの中でただ一人、周りで遊ぶ子に目もくれずに、ただただひたむきにシャドーなどのイメージトレーニングに励んでいたY君。
彼のそうした精神性が、中学一年生にしてここまでの実力をつけることができた大きな要因の一つだと思います。
中学生の部で全国での活躍が期待できる逸材の一人だと感じておりますが、油断なきよう、現状に満足せぬよう、向上心を持って取り組んでいただきたいところです。
しかし今回の試合は、打撃の攻防では、相手から学ぶ部分が多くある内容でしたね。
今回は、良い経験を積ませてくれた対戦相手に、感謝したい気持ちです。
さて、このY君の二回戦の相手は、同門の久里浜道場中学部2年生のK君です。
まず先に、この相手のK君の一回戦の様子からご紹介します。
3人リーグの為、このK君の一回戦の相手も、千葉の香取支部の打撃の上手い強豪選手です。
打撃勝負ではとても実力のある相手でしたが、打撃から組技への連携、首を抑えての膝蹴りから右へ回り込みながらの崩しと支えつり込み足で投げ極めの効果を奪い、判定勝ちとなりました。
こちらも純粋な打撃だけで見ればやや相手からのプレッシャーが強かったですが、全体の攻防の組み立ての上手さが勝敗の分かれ目といったところです。
この相手に打撃勝負でも十分に勝てるくらいの、実力をつけていきましょう。
攻防の中での勘の良さは、普段からしっかりと考えてバランスよく稽古に取り組んでいることと、自主トレもしっかりとこなした筋力トレーニングによる体幹の強さからくるもので、本人の意識の高さが評価されるところです。
本人のこれまでの頑張りが実った内容でした。
さて、このクラスの最後の対戦は、横須賀支部同士の同門対決となる、K君とY君との対戦です。
最終的に、K君が右の上段回し蹴りの効果を二つ取得し、Y君の金的による反則の警告が一つあり、結果的に文句なしの判定での勝利でした。
しかしお互いに組手がうまく、とても実力のある二人の対戦でしたが、一つ年上の先輩に果敢に挑んだ中学一年生のY君の健闘を称えられる一戦でした。
一方で、総合力で非常に実力をつけてきたK君の将来への大きな可能性を秘めた内容でもありました。
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次は、U19の高校生のクラスの紹介です。
まずは、中学生男子のY君の試合から。
元々は久里浜所属のY君。
現在は高校のクラブ活動の都合で、日曜クラスに移籍して、稽古を継続しています。
私の目線で見て、組手のセンスは、これまでの歴代の選手クラスの中でも一、二を争うほどの技術があります。
試合の結果を見れば、「一回戦負け」、となりますが、身体指数差で「11.5」の差のある相手に、十二分に戦い抜き、惜しくも判定で敗れてしまいました。
大道塾の特殊な判定制度の中で、唯一引き分け判定を出せる副主審が引き分けを示し、三人の副審のうちの一人がY君の旗を揚げていたことからもわかる通り、内容的にはほぼ互角で、北斗旗の本戦であれば引き分けになると思われる内容でした。
指導者目線で、ひいき目無く見ても、攻防の駆け引き、間合いの取り方、いわゆる攻防を制していたといえる内容でしたが、相手のアグレッシブながら、積極的な攻撃が判定に響いたことにより、惜しくも判定負けとなったと思われます。
負けているとは言えないながらも、決してこの勝負の中ではっきりと勝ち得ていたとは言えなかった今回の勝負内容は、今後の課題として取り組んでいってもらいたい。
映像を見る限り、ポイントを取るチャンスがいくつかあったと思われますので、そのあたりは次の反省会の時にでも説明したいと思います。
一方の、反対のブロックで試合をした追浜道場所属のK君。
対戦した相手は相当の実力があり、支部の責任者が優勝確実と確信して送り込んできたと思われるような強豪選手です。
しかしその相手に対し、攻防の中で上手く対応し、蹴りのキャッチからの打撃でダウンを奪うも、私を含めた審判団の判定ミス(と思われる内容)により無効とカウントされ、惜しくも判定負け。
全体としてみれば、相手のミドル(中段回し蹴り)と左ストレートの打撃の連打により、効果ポイントを奪われていることが大きな敗因です。
私個人の反省としては、S級審判員として大会に参加していながら、厳格な判定をとれなかったことが悔やまれます。
この判定に関する問題点に関しては、今回の反省会の時に、映像でのスロー再生での解説を交えて、参加した皆様へご説明いたします。
また別の見方としては、サウスポーの相手の非常に完成度の高い相手の打撃に対して、十分な対応ができていなかったことは、反省点として今後の課題に残していただきたいと思います。
蹴り技のキャッチが何度ができており、そこからの手技の打撃への連携は良かったものの、投げ技や崩しにつながる連携がなかったことは、惜しまれるところです。
この辺りで、投げ極めによるポイント効果が二つ以上取得出来ていれば、文句なしに勝利を得ることができていたと思われますので、今後の課題としていただきたいところです。
しかし、相手選手は実に上手い選手でしたね!
大会終了後に、相手選手の高校生とそのお母様とお話をする機会がありましたが、とてもいい子に育っている様子に感心しました。
今後も、我が支部の選手たちのよき壁となり、いい刺激を与えていってもらいたいです。
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最後にU19のクラスに出場した女子のクラスの紹介です。
こちらはU19の、所謂、高校生女子のクラスですが、関東地区の大会でのエントリーは横須賀支部の2名のみ。
実際に稽古を行っている子はいくつかの支部には在籍しているかもしれませんが、出場した子は支部内の2名のみであり、参加人数が少ないこと、過去のU16で対戦して仲良くなっていた他支部の女の子たちの参加がなかったことは、とても残念でした。
さて、そんな中でも、同じ横須賀支部同士の対戦の中、就職試験の為、しばらく稽古を休んでいいたものの、高校三年生の貫禄の戦いぶりと、高校一年生ながら果敢に挑戦し、相手の打撃をもらいながらも最後まで姿勢が崩れることなく、果敢に攻めていったその姿勢が評価できる、とても良い戦いとなりました。
最終的に、高校三年生の選手が勝利しました。
しかし、今後の課題として、一般部女子の試合の様子を撮影しておきましたので、反省会で映像を見て、学ぶべき点を参考にしていただきたいと思います。
今回の大会に参加された皆さん、ジュニアの同伴で会場に足を運んでいただけた方々、大変お疲れ様でした。
大会の紹介は以上です。
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最後に、ちょっと今回の主題から外れますが、私の思ったことお話いたします。
大道塾の団体の中でも特に関東地区は、支部の数は他地域よりも多いもののジュニアクラスの選手層が薄く、今後はより皆さんで盛り上げていければと考えています。
ちなみに、大道塾は他の空手団体や柔道などの団体、その他、武道団体と比較しても、学んでいる人数が非常に少ないと思われます。
競技の中での、実力重視の姿勢ばかりが目についてしまう大道塾。
出来れば、強い選手を育てる事ばかりに重点を置くのではなく、稽古の中にもっともっと教育的な配慮を置き、大会に出場するために稽古をするという視点から、「青少年の教育的な視点」、「武道の価値の伝承」そして「護身としての技能習得」などに重点を置く、教育的な内容に切り替えていく必要性を感じます。
単に ”試合に勝てるかどうかの格闘競技の愛好家の集まり” といった雰囲気では、決して組織は大きくならず、かといって教育的なところばかりに重点を置いた精神論ばかりでは、現実の武道の学び(実際の護身、戦う力の養成)が形骸化してしまい、形(かたち)ばかりの、古い高段位のおじさんばかりが偉そうにしている、格式ばった雰囲気の、頭の固いご年配の方々の集まりになってしまう恐れがあります。
そうなれば若者の信頼を裏切ることになり、本物の実力を養うこともできなくなります。
過去のしがらみを捨て、本物の実力を身につけることを目指してスタートした大道塾という団体ですが、時には武道の伝統に立ち返ることも大切な事だと考えています。
競技の中での実力の向上も、稽古に参加する総人数が増えれば、当たり前のように全体の競技レベルは上がってくるものです。
一つの団体が、組織としての力を持つためには、まずは人です。
「この道場で学びたい」という人が増えること、
「幅の広い年代の方々、また体力や健康状態においても、いろいろな方が安心して集える、多くの方々にとって大切な学びの場」であること、
「そしてそこで学ぶ方々が、正しい学びを通して、よりよき人間性を養う」ことが大切だと思います。
大会という場で競技に取り組む選手たちにとっては、勝つことへのこだわりは強くて当たり前ですが、指導者や組織運営に携わる方々には、強い弱いや勝った負けたで喜ぶ次元から、より高い、高尚な意識を持つことが望まれると思います。
大道塾に係る全ての方のご家族、子供クラスの保護者や祖父母の方々などからも、「この団体はいいよ!」、「この道場に入っていて(入れておいて)よかった!」、「おかげでいい子に(良い人物に)育ってくれた!」と周りの方々から思っていただける部分を、試合の勝敗以外の部分から感じ取っていただける団体になってもらいたい、というのが私の大きな望みです。
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