小指ほどの鉛筆

日記が主になってきた小説ブログサイト。ケロロ二次創作が多数あります。今は創作とars寄り。

写真

2007年09月12日 21時14分14秒 | ☆小説倉庫(↓達)
___「実験台」の内容を踏まえていただかないと分かりません。___


机の中、
その中に俺の過去が未だにはっきりと残っている。
燃やしてしまおうと思っていた。
ただ近くにライターが無かっただけだ。
それだけなんだ。
だから別に大切なものでもなんでも無い。
なんでもないんだ。
早くゴミ箱に捨ててしまおう。
せっかくだから掃除も一緒にしてしまおうか?
サッパリ、綺麗に忘れてしまおう。
そうだ。
そうなんだ。
これは正当化じゃない。事実だ。
俺は
ずっと引きずっているわけではない。

・・・違うんだ!!

お前は分からないだろうな。

不思議そうな顔をしてたな。

何でわからねぇんだよ・・・。

何でだよ・・・___!!


___________________


年の終わりに掃除をするのはとてもよいことだと思う。
少なくとも、必ず年に一度は掃除をする機会が与えられているということなのだから。
けれどもやはり、もう一度くらい機会を与えてほしいものだ。
なんたって基地(ここ)は・・・

「あぁ~~~!!撃たれたーー!!ギロロ加減しろっての!」
「実戦だったらお前はもう死んでいるんだぞ!!気を引き締めろ!」
「ムグムグ・・・軍曹さん弱いですぅ。」
「あー、作りかけのガンプラが残ってるんだから、気をとられちゃってしょうがないってーの。」
言い訳。
珍しくギロロがゲームに参戦しているのは、きっと訓練の一環としてとでも言われたんだろう。
それにしても・・・
「ねぇ、基地、汚くなったと思わない?」
「「「え?」」」
戯れていた3人がいっせいに振り向く。
「確かに・・・汚いな・・・。」
「ガンプラはゴミじゃないからね!!」
「お菓子の袋を入れるゴミ箱が無いんですよ~。」
きっとこういうところにゴキブリというものは出てくるんだ。
そう思っていた矢先に、ヤツが壁を登っていくのが見えた。
「零次元!!」
「わぁーーーー!!!」
「兵長さーん!!」
「ドロロ!!」
思わず零次元を使ってしまった。
溜息をつくのはもちろん、この状況に一番最初に危機感を持った人であり、ゴキブリに零次元を使ってしまうような人。
「僕、何かもう嫌。」
ドロロ。
「ちょっと!!ゴキブリに零次元って何よ!?我輩たちもホイでありますか!?」
「落ち着けケロロ。元はといえば俺たち・・・いや、お前等が悪い。」
「僕もですか~!?」
「当たり前だ。ゴミ箱くらい自分でも作れるだろう。」
溜息×2。
そういえば、彼はどうしているだろう。
ふと思い、ドロロは扉を見つめた。
「で、ドロロ~~・・・手伝ってくれるよね?」
後ろからトラブルの声。
「いやでござる。」
「えーーー!ケチーーー!!」
「ケチも何もあるか!いいか、お前等がこの部屋を綺麗にするまでは、俺が見張っているからな。」
「は!?アンタもゲームやってたでしょ!?」
「アレは訓練の一環なのだろう?」
「う・・・」
やむを得ず、渋々とゴミを拾い始めるケロロとタママ。
3人の様子を確認したあと、ドロロはそっとその場から去った。


「クルルくーん?」
ラボ、彼は割りと人のいる場所を好む。
だから居ない事に少しの不安を覚えていた。
何かあったのではないかと。
けれども見つけたのは、いたって元気な様子で本を読む彼の姿だった。
「ドロロか。」
「本?珍しいね。」
参考書のような本。
読み込まれているというよりも使い込まれているという表現の方があっているだろうその本に視線を移す。
「あぁ・・・整理してたら出てきたんでな。」
整理という言葉に反応してしまう。
「それって、掃除っていうこと?」
「そうとも言う。」
「奇遇だね。ケロロ君たちも掃除してるんだ。」
「へぇ。」
本を引き出しに入れ、クルルは純粋に驚いた顔をした。
「やっぱ、これであってたんだろうな。」
小さな声で呟かれた言葉は、ドロロには聞き取れなかった。

「僕も手伝おうか?」
「ん?あぁ、頼む。」
素直に受け入れるクルルは少しおかしかった。
自分の部屋のような空間を掃除しているのだ。
しかもここには、ただでさえ人に見られてはいけないようなものが沢山ある。
そう簡単に、たとえドロロだろうと受け入れることはない。
だから・・・
「クルル君、何かあったの?」
「は?何もねぇよ。」
心配するのは普通のこと。
普段のクルルなら、
本当に何も無いクルルなら、心配そうな顔のドロロに逆に心配するところだ。
それが今はフイと後ろを向いて何も無いことを装っている。
何かあると教えているようなものだ。
「・・・そう。」
けれどもドロロは深追いはしない。
それがただクルルを悩ませるだけだということを悟っていたから。
「じゃあ、掃除始めよっか。僕は何所をやればいい?」
「あーそうだな・・・」
少し考える。
まるで無難なところを選ぶように、ゆっくりと、周りを見渡しながら考えていた。
「そこの書庫とかは?ずいぶんと埃がたまってるみたいだから。」
デスクの近く、奥は暗くて見えないほどの本が眠っている。
「あ、あぁ・・・まぁ、そうだな。頼む。」
「うん。」
クルルは迷っていたようにも見えたが、気にしてもいないというようにドロロはうなづいた。

それから大掃除は始まった。
そもそもクルルが自分から掃除をはじめていたことからすでにおかしかった。
何があったのか、
ドロロには想像もつかなかった。
知られていけないようなことがあるなら掃除を手伝うことを拒むはずだ。
でも触れられたくないような雰囲気もある。
普通に接しているべきなのか・・・
それとも何かを悟ってあげるべきなのか。
「埃すげぇ・・・」
「そりゃねぇ?クルル君年末もほとんど掃除らしいことしてなかったでしょ?」
「まぁそうだが・・・」
「クルル君のところはまだいいよ~。ここほとんど手つかずって感じで・・・あれ?」
ドロロは一箇所で手を止めた。
そこの5冊くらいが回りに比べて埃が薄い。
というより、ほとんどかぶっていない。
最近買ったか・・・いや、違う。
本自体は古いものだ。
何回も読み返しているか、最近手に取ったか・・・。
でもよく使うのなら、彼は机のすぐよこに積んでおく。
なら、最近手に取ったものなのだろう。
「あー、それか。ちょっと必要になってな。この間使ったんだ。」
「珍しいね。横に積んでおかないなんて。」
「・・・ん。」
目が泳いでいる。
やっぱり何かあったんだ。
どうする?
このまま分からないふりをするべきなのか・・・
それすらも出来るのか・・・。
「・・・」
「ま、そこは任せたぜ。」
クルルは逃げるように奥のほうへと進んでいった。
「僕から目を離していいの?」
「・・・どういうことだ?」
とっさに呼び止めてしまった。
「見られちゃいけないようなものとか、あるんじゃないの?」
「・・・」
「読心術を使わなくても、気配くらいは・・・読み取れる。」
「・・・別に。」
短く告げ、早歩きで空間から去っていこうとする。
これ以上呼び止めておくことは出来ない。
ドロロは本当に、
何があったのか分からなかった。

クルルが奥へと消えてからも、ドロロはずっと掃除を続けていた。
ある程度の埃を取り、本をきちんと並べ、床を綺麗にする。
「ふぅ。」
一通り終わらせ、周りを見渡す。
と、
その視線はデスクの引き出しの中からはみ出ている、何かに釘付けになった。
足が自然にそちらへ向かってしまう。
「これ・・・」
そっと引き出すと、それが写真だということが分かった。
「うそ・・・まさか、これ・・・!」
一枚の写真に写る3人の姿。
二人の大人の間に写る子供の姿が、この写真が家族写真だということを物語る。
「普通だよね・・・家族写真なんだもん・・・でも、」
一緒に出てきた写真の破片。
繋ぎ合わせると、彼にそっくりな父親の顔が浮かび上がった。
見えないように破り取ったのだろうか。
母親の顔も破こうとしたのだろう、頭が少しだけ破けていた。
「一応ためらったんだ・・・。」
これはどうするべきだろうか・・・。
見なかったことにするべきなのだろう。
けれどもドロロは、クルルに怒られることを覚悟に繋ぎとめることにした。
引き出しの二段目からテープを取り出し、出来るだけ丁寧に繋ぎとめる。
「・・・うん。大丈夫。」
クルルに内緒ではいけない。
これはクルルの家族写真なのだから。
「クルル君・・・。」
クルルが消えていった奥の部屋と足を進める。
ドロロの呼びかけに、クルルは案外早く応じた。
「あ?なんかあったか?」
「うん・・・。」
繋ぎとめた写真をかざす。
「!!」
絶望的な表情で写真を凝視したクルルは、途切れ途切れに呟いた。
「何で・・・どうして繋ぎとめ・・・ダメだ、ダメなんだ!!・・・!!!」
そして視線をドロロに移すと、今度は早い口調で問いかけた。
「何で繋げたっ!!何であいつの顔を再び俺に見せる!?」
「何でって・・・」
クルルが苦しそうに頭を抱える。
「捨てようと思ってたんだ!!そんな破れた写真、忘れていて本に挟んであったような・・・どうして繋ぎとめる必要があったんだ!」
「どうしてって、だって家族じゃないか!親子でしょ!?」
親子という言葉に、クルルが明らかに動揺しているのが見て取れた。
「家族?同じ家に住めば家族なのか?そいつから産まれれば親子なのか?そんな安いもんなら、捨てちまってもいいだろ!?」
「違う、違うよっ!クルル君も分かってたはずだ。それが君のお父さんが唯一知ってる家族のあり方だった!一緒に居られることが、ただ幸せだったんだ!」
ナゼだろう、苦しい。
「じゃあ俺はアイツのマウスとして、母の笑顔を見ながら苦しんでいればよかったのか!?それで・・・幸せだったのか?」
悲しげな表情が一瞬、写真を繋ぎとめたことが間違いだったのではないかとドロロに思わせた。
でもそれでは何も解決してくれない。
「そうとは言わない。僕が君の生き方に何か言うことは出来ないはずだから。でも、でも・・・お父さんの存在まで、家族の存在まで、忘れようとしないで。」
クルルは確かにためらっていた。
母の顔を破くことが出来ず、捨てることもできなかったのが、何よりの証拠だった。
「俺だって・・・俺だって・・・」
クルルが必死に何かを訴えようとしている様子を見たドロロは、ただそれを聞いてあげるべきなのだと悟った。
大人になったクルルのその不安げな顔が、写真の中の幼い彼と重なって見え、泣いていた。
「一人で出て行ってしまえばよかった!ただそれだけだった。何で刺したんだ?
何で母さんまで・・・」
「本当に分からない?本当に?」
「・・・解放してやりたかったのか?あいつ等はあのままで幸せだったんだろ?」
「うん・・・でも君は・・・」
クルルが顔を上げて話を繋げた。
「それを認めたくなかった!そんな愛は俺にとって苦痛なだけだった。母さんは・・・いつでも微笑んでいたけどな・・・。すごい発明をすれば、一緒に喜んでいた。」

―幸せ・・・だったんだろうな。

「俺は二人の人生を狂わせた。そして一人の人生を奪った。俺と父、今でも互いを恨んでいるんだろう。母さんは・・・俺に殺されて・・・。」
ドロロの持っている写真を見る。
「憎まないで・・・っていうのは無理だろうけど、せめて存在だけは、良い思いでだけは覚えていて。」
クルルは写真の今は亡き母を見、そこからドロロへと視線を上げた。
何所となく母に似ているようにも見えた。
「クルル君。」
そっと手を握ってくれたドロロの手は暖かく、思わず泣きそうになる。
「今度、写真立て買ってくるから。ね?」
母もそう望むだろうか?父はこの決定にうなづいてくれるだろうか?

―・・・大丈夫だ

おそらく、笑ってくれるだろう。
だからクルルはそれに小さくうなづき、まだ無理にだが、微笑んだ。

―きっとまだ俺はヤツを憎んでいる。
 だが、一つだけ認めてやる。

    「俺たちは家族だった」

 ってことだけ、しっかりと。
 この写真はきちんと修復しておくぜ。
 いつかお前が顔を見せに来たとき、俺の父親だと分かるように、
 
 三人の思い出が・・・俺の中によみがえってきてくれるように。


_______________________

はぁ・・・自分で書いたのに憂鬱。
まとまりの無い文章でごめんなさい。
いまいちシリアスっぽくなりませんね。

いつかお父さんが来る話を書きますので・・・。
がんばります。

そうそう!!
友達にこんな素敵なイラストをいただいてしまいました!!
許可が下りたので載せまーす↓




うおーい!!
もうなんか涙が・・・。
選択の時間の途中で頂いたんですが、見るまでに勇気が・・・そして見てからは笑が止まらず(?)、もう素敵過ぎるんですよ~~!!

次のお題は・・・甘くしよう・・・。