小指ほどの鉛筆

日記が主になってきた小説ブログサイト。ケロロ二次創作が多数あります。今は創作とars寄り。

閉じ込める

2007年04月30日 17時18分30秒 | ☆小説倉庫(↓達)
恋というのは突然現れる物だ。
クルルは自分の思いを素直に言葉にするため、ドロロを呼び出した。
最初のうち、ドロロは驚いたような、困ったような顔をしていたが、それはしばらくするうちに哀しみの顔に変わっていった。


「アンタの全てを閉じ込めたい・・・っつーか、縛り付けたいってゆーか。」
少し困惑した様子でクルルが言った。
「なんつーか・・・その髪も、蒼い目も、細い体も、全部俺の物にしてぇ。」
「それは・・・どうだろう?」
ドロロは悲しげな瞳でクルルを見ていたが、その言葉を聴いて目を伏せてしまった。
「分かってる・・・アンタは隊長が忘れられない。」
「そんなこと・・・」
「無いってか?」
顔を上げて反発したものの、やはり自信が無くなって顔を伏せた。
「俺は、隊長には敵わねぇ。多分ギロロ先輩にもな。一緒に過ごしてきた・・・時間が違う。」
クルルも顔を伏せた。
「分かってんだよ、そんなこと。」
恋なんてしないと思っていた。報われない恋なんて尚更。
「俺は俺なりの方法でアンタを振り向かせる・・・そう決めた。」
ドロロが顔を上げる。
「僕はね・・・ケロロ君が好きなんだよ・・・もしそれがどんな結果になろうとも、自分が決めたことに後悔はしない。だから、君の好意には応えられない。」
クルルは目を閉じて考え込み、再び目が開くとドロロを見ないようにして話はじめた。
「俺は恋なんてしたことがねぇ。そんなことしなくても生きていけるからな。けどよ・・・今の俺は、アンタがいねぇと死んじまうかもしれない位参ってんだよ。
これもアンタのせいだぜ?ドロロ。アンタが俺の心を恋なんていう檻に閉じ込めたから・・・こうなったんだ。」
ドロロは相変わらず辛そうな目をして聞いている。
「だから俺も、あんたを閉じ込める。鍵なんて破壊して、一生出られないようにして・・・そのまま窒息させてやる。」
「それは、困るよ。僕はもう恋をしてはいけない。」
「隊長に恋してんじゃねぇか。」
「忘れようとしてるんだ!」
「でも忘れられねぇんだろ!?」
クルルが怒鳴ったことに驚きつつ、ドロロは顔を伏せた。
「ぜってぇ・・・俺のプライドにかけても振り向かせる。隊長が忘れられ無くったって、俺が隊長よりも上になればいいことだ。」
そうだろ?と念を押してクルルは立ち上がった。
「返事なんていらねぇ。アンタが告白するまで待っててやる。」
「ゴメンね・・・?」
「俺はまだ振られたわけじゃねぇぜ?」
クルルズラボから出て行こうとするクルルをドロロは呼び止めた。
「僕ね・・・ケロロ君から告白されたことがあって、その返事・・・まだしてないんだ。」
クルルは振り向かない。
「だから・・・僕には選択権がある。もしもこのことを知ったら、ケロロ君はどうするんだろう?僕は・・・僕を愛してくれる人を愛する。」
クルルは再び歩き出すと、ケロロのいる隊長ルームに向かった。勿論今のことを伝えるために。
「じゃあね。」
ドロロは小さくつぶやいて消えた。
「隊長には悪いが、俺がドロロを貰う。」

この恋が実るのは半年後のことだ。
勿論、そんなこと本人は知らない。

_________________

クルルがドロロに告白するシーン。
面白半分に書いた。
今ではもうケロロのことは頭に無いよね・・・ドロロ。
私の書く小説は話が繋がってるわけじゃないんで、もしかしたら設定が変わってたり、出会い方が違ってたりするかも。っていうか違ってる。orz

合体!!

2007年04月29日 18時33分15秒 | ☆Weblog
今日、近くのお店でなんとなく食玩を見ていたら、
「仰天合体!ケロロベース」
とかいうすばらしい物を見つけてしまいました。
5種類あって、全部合体させるとケロロ軍曹になるヤツ。
これは買わないと!と思って、とりあえずクルルとドロロだけ買いました。
前にも同じようなのがあったんですが、それは迷っているうちに買いそびれているんで・・・今回はもう迷わない!!ということで、衝動買い。
クルルの人形がさり気なく可愛くできてる・・・ドロロは・・・まぁ、いつもどうりって感じですかね。
少しでもネタになればいいなv

クルギロじゃ切ない~~!

2007年04月28日 20時41分47秒 | ☆Weblog
今日のケロロ軍曹・・・クルギロだったよね・・・悲しい・・・。
クルルはギロロが好きで、ギロロもまんざらではないって感じで・・・。あぁ何か皆公認だし。
クルドロ命の私にとっては・・・クルギロがライバルの私にとっては・・・、もう悲しくて悲しくて・・・。
でも!!次回はドククが出てきそうな予感!!これは見なくては!!
クルギロ好きが増えるのは構わないけど・・・クルドロ好きの方々が居なくなったら泣きます・・・。逆に反発して、クルドロ好きの方々が増えてくれるといいのにな~。
私は私でクルドロ命!!!で生きていきます!!!

クルルズラボ

2007年04月28日 14時03分48秒 | ☆小説倉庫(↓達)

コンピューターの音とキーボードをたたく音が室内に響く。
リズムカルな規則性の無いキーの音は、この空間によく似合った。
ふと、キーの音が止まる。
「何の用だ?」
住人の声が響くと室内は静かになった。変わりに人物の声が大きく聞こえる。
「新しい計画のためのメカを造って欲しいんだけどさー。」
住人は了解するとコンピューターから離れ、奥の部屋へ入っていった。
今度は鉄の匂いがする。
依頼人はスキップで部屋を出てゆく。
カチカチという音や火花の散る音がして、やがて赤みがかった煙が充満した。
その煙を吸い込むようにファンが回る。
住人はその機械と何やら小さい紙を箱に容れて机の上においた。
椅子に座ると、鉄の匂いの変わりにコーヒーの香りが室内に満ちる。
いくつもの画面が今度は赤い髪の人物を映し出す。
住人は笑いながらモニターの電源を切った。
椅子から立ち上がると、さっき作ったばかりのメカが入っている箱を持ってこの部屋を後にした。
電子音だけは未だに残り、ただキーをたたく音だけが消える。
住人はたいした時間もかけずに帰ってきた。椅子に座りなおし、再びキーの音が加わる。
すばやいタイピングは彼だからこそ出来る芸当なのだろう。
休み無く響く音は心地よさえ感じさせる。
その音が再び止まったのは、新たな来客が訪れたときだった。
「クルル殿、居るでござるか?」
その客の声に、彼は口の端を軽く上げるだけの小さな笑みを浮かべた。


_______________

終わり。
え?
短い?
いや~、なんていうか・・・ラボでの一日・・・みたいな?
クルルは基本的に同じことを長々と続けているタイプだと思うので、特に書くことも無くなって・・・すんません。
っていうか、クルドロじゃない・・・いえいえいえいえ!!!
クルドロです。
クルドロ前提の話です。
だからクルドロなんです~~~!!
では、またいつか。

眼鏡

2007年04月26日 18時00分26秒 | ☆小説倉庫(↓達)
ドロロがラボに入るとクルルは寝ていて、度はどれくらいだろうと思ってドロロは眼鏡を奪ってみる。
「うわぁ・・・強い。」とか何とか言って遊んでいるうちにクルル起床。
「人の眼鏡奪って何してんすか?セ・ン・パ・イv」って感じでにっこり笑う。
「ご、ごめん!つい・・・」って言うドロロに、クルルは歩み寄って頭に手を載せる。
「ま、可愛いから許してやるよ。」的な的な!!

・・・うわ~、頭の暴走止まらない。(爆)
イラストの描き方がコロコロ変わるのは気にしないで欲しい・・・。

大変だ!!(萌)

2007年04月25日 21時21分37秒 | ☆Weblog
今日は学校でウハウハだった。
友達からケロロ小隊の擬人化図を貰って、イラストを見て・・・ヤバイ、萌た。
選択音楽の時間にその子と話してた。クルドロについて語らせてもらったv
ありがとう!!お礼を言います!!
歌の歌詞で、「君は僕の太陽」とかいうのがあって・・・あと、「夜、隣に君が寝ていた。しかしそれは夢だった。」的な歌詞も。それでキャーキャー言って楽しんでた。その子から聞いた話によると、今日クラスの男子(T)が話してたのを聞いたらしいんだけど、その内容が
「俺Hと寝ちゃったよ~(笑)」
だったらしい。
ヤバイね。(私の思考の方がヤバイ)これはヤバイだろ。
それについて散々もがいてた。
ていうか授業中に何やってんだろ、私(笑)
よし!明日も私らしくやっていこう!!
あ、お題の更新もしないと!


風邪ひいてます。

2007年04月22日 12時20分01秒 | ☆Weblog
金曜日は学校を休みました・・・。
ヤバイよね、三年生だよ?ただでさえ私出席日数が危ないのに。
二年生のときはちょっとした軽いうつ病になってて、その所為で寝不足だったり、体が弱いからすぐに風邪を引いたりと、一週間に一回は学校を休んでた。
でももう三年生だし、そんなことしてたら高校行けなくなっちゃうんですよ~。
体調管理に気をつけていこう!と思ってたそばからもう風邪ひいた。
後は友人関係の悩みとか、成績の不安とか、そんなものが渦巻いてて気持ち悪い。
母まで頭が痛いとか言ってたし・・・どうしていいものか。
明日は学校に行きます。
あんまり誰かに会いたくないけど・・・しょうがない、これも試練と思え!!
現実逃避のために、絵を描いたりしてるんだけど、描き方がコロコロと変わって安定しないんですよね。
少しずつ成長している証だといいんだけど・・・。

学校だと絵がかけません。
せいぜい大まかな線を描いておくくらいしか・・・。
詩は沢山書くんだけれど、絵は描けない。
あと描いてると、クラスのKちゃんが「何やってるの?どうせTたちとリレー小説でもやってるんでしょ。」とか言ってくるから書きずらい。
つーかどうでもいいじゃないか。私がなに描いてたって。
そんなに気になるかっての。それよりその嫌みっぽい言い方は何だ?絵を描くなってか?
まぁ・・・学校はとにかく駄目なんですよ。
無理。
休みの日くらいしか絵なんて描けないよ~~(涙)
なのに今は風邪ひいててそれどころじゃないよー。
切ない切ない・・・切ない・・・。

好きじゃない

2007年04月13日 20時20分44秒 | ☆小説倉庫(↓達)
「別にアイツなんか好きじゃねぇよ。」
クルルはそう言った。

__

時は30分ほどさかのぼる。
ギロロは珍しく庭に出ているクルルを見つけて声をかけた。
振り向いたクルルはガルルが言っていたような幼き頃のクルル少佐のように悲しげな瞳をしていた。
「どうした?」
思わずギロロは自分の横にクルルを呼び寄せた。
「別に・・・。」
クルルはギロロに渡された焼き芋を手のひらで転がしながら言った。
「ただ・・・空が青いと思ってな。」
「空・・・?確かに青いが・・・?」
クルルらしくない。
そんなことを思い、ギロロは率直にたずねた。
「お前らしくも無い。何があった?」
クルルはばつの悪そうな顔をすると、小さくつぶやいた。
「おっさんにはわかんねぇよ。」
ギロロは困り果ててしまった。
クルルは相変わらず焼き芋を手のひらで転がしている。
「おっさんは根からの軍人だ。」
「お前だって軍人だろ?」
「おっさんみてぇに俺は振り切れねぇ。」
「?」
何をだ、と言おうとしてギロロは口をつぐんだ。
あのクルルが泣きそうな顔をしている。
「クルル・・・。」
こんなときガルルが居たら、何と言葉をかけるのだろう。
ギロロは頼もしい兄を思い浮かべた。
「まぁ、俺も上手い言葉の一つや二つくらい言えたらいいのだがな。」
「んなこと、元から期待してねぇよ。」
クルルは小さく伸びをすると、焼き芋を手のひらで転がしたまま、日向家の玄関まで歩いていった。
このまま返してしまっていいのか分からなかったが、ギロロはとりあえず言葉を捜した。
「クルル・・・その、なんだ、ドロロとは上手くやっているのか?」
とっさにでたことばがそれだった。
「・・・どうだかな。」
少しの間があった後、クルルは振り返らずに答えた。
「どういうことだ?お前はあいつが好きなんだろう?」
クルルが玄関のドアを開ける。
「別に・・・アイツなんか好きじゃねぇよ。」
そしてドアを閉めた。

____

「少しおかしいな。」
クルルが去って行った後、ギロロは猫の頭をなでながら思った。
いつものクルルなら、惚気話の一つくらいしてから帰っていくのに。
いつもの嫌みな笑いも無かった。
ドロロと何かあったのかと思ったが、さいきん彼を見かけることも無いため聞くこともできない。クルルと何かあると、ドロロは必ずと言っていいほどギロロに頼るのだが、それも無い。
クルルが一方的に拗ねているのか、それとも本当に嫌いになったのか。ギロロには考えても分からないことだった。
「ギロロ?」
名前を呼ばれて我に返ると、夏美が顔を覗き込んでいた。
「な、夏美!!どうした?」
「どうした?じゃ無いわよ。それはこっちの台詞。」
「少し考え事をしていてな・・・。」
「ふ~ん。」
夏美は納得していないようだったが、ギロロが焼き芋をしていたのに気づいて目を輝かせた。
「あら、おいしそうなものがあるじゃない!一つちょうだい。」
「ん?あぁ。いいぞ。」
夏美は嬉しそうに受け取ると、ギロロの横に座って食べ始めた。
「う~ん、美味しいv」
「そ、そうか?夏美に喜んでもらえたなら・・・その・・・///」
夏美に喜んでもらいデレデレになっていたギロロだったが、クルルも焼き芋を持っていたことを思い出して、思わず日向家を見た。
彼は今どんな顔をしているのだろう。
ドロロはこのことを知っているのだろうか。
「ギロロ、アンタやっぱ変よ?どうしたの?」
またボーっとしていたのだろうか、いつの間にか夏美がまた覗き込んでいた。
「な、なんでもない。」
「なによ~、気になるじゃない。良かったら私が話を聞くわよ?焼き芋のお礼としてね。」
そういってギロロにウィンクして見せた。
「べ、別に・・・その、なんだ・・・クルルのことがな。」
「クルルがどうかしたの?」
「少し変でな。アイツはドロロが・・・」
そこまで言ってギロロはハッとした。
クルルとドロロが好き合っているなんて、夏美には言えない!
「えっと・・・その、な・・・」
「どうしたのよ。クルルが変で、アイツはドロロが・・・なんなの?」
「ドロロが・・・好きなんだが・・・」
「へぇ。」
それだけか!?と思ったが、夏美は先を促した。
「あいつ等仲いいもんね。なんかミスマッチだけど。」
「あ、ああ・・・。」
「それで?」
「いや、あいつがな・・・「別にあいつのことなんて好きじゃない」というんでな。いつものアイツなら、そんなことは言わないのだが。」
いつの間にかギロロは夏美に全てを話していた。
「・・・というわけだ。」
「ふ~ん。」
夏美は頬杖をついて考え込んだ。
「なんか、クルルの気に食わないことをドロロがしたとか?あとは、ドロロのことが好きな所為で、クルルの考えてることと違うことがおこると気に食わないとか。
ほら、よくあるじゃない、好きだからこそ、自分のシナリオどうりに行かないと納得いかないっていう人。」
「そういうものか?」
「案外そうかも知れないわよ?」
ギロロはしばらくの間黙っていたが、夏美の考えを聞いてうなづいた。
「そうだな、案外単純なことなのかもしれないな。」
「そうよ。考えすぎなのよ。そもそもなんでそんなに思いつめるの?」
夏美が不思議そうにたずねる。
「ドロロは俺の大切な幼馴染だ。ただでさえクルルと居ることが不安だというのにに、ヤツに何かされたらそれこそ大変だからな。まぁ、今のアイツに心配は無いと思うが、精神的には小隊一弱いやつだ。」
「ふ~ん。大事にしてるのね。」
意味ありげな夏美の視線にギロロは顔を赤くした。
「そ、そういうわけでは・・・!!」
ギロロの横で立ち上がると、夏美はほこりを払って振り向いた。
「まぁまぁ、少しでも役に立てた?お芋美味しかったわよ。」
夏美の背中を見つめて、ギロロは少し赤くなった。
「礼を言うぞ。夏美。」


次の日、いつものように庭で焚き火をしていたギロロは風の気配に顔を上げた。
「久しいでござるな。ギロロ殿。」
懐かしい幼馴染の顔がそこにはあった。
そして悩みの原因の一つ。
「ドロロ、クルルと何かあったか?」
率直なギロロの問いにドロロは少し驚いた顔をした。
そしてすぐに寂しそうな顔をしてギロロの質問に答えた。
「何も。」
「そうか。」
「クルル君、何か言ってた?」
ギロロは少し戸惑った。
言ってしまっていいのだろうか?これを言ったら、ドロロは泣いてしまうのではないか?
その顔は昨日のクルルの顔に少しだけ似ていた。
どちらも、泣きそうな寂しそうな顔だった。
「「別にアイツなんて好きじゃねぇよ。」俺の問いにそう答えた。泣きそうに見えたぞ。」
ドロロはうなづいた。
「うん。分かった。教えてくれてありがとう。」
消えそうだったからだろうか。ギロロはドロロを呼んだ。勿論返事は返ってきた。
「なに?」
「最近顔を見せなかったな。任務があったか?」
「うん。知らせなくてごめんね。」
「クルルのヤツには言ったのか?」
「クルル君は最初から知ってるよ。本部からの通信を受けているのはクルル君だもん。その内容も・・・全て知ってる。」
原因はその任務の内容にあったようだ。
ギロロは小さくため息をついた。
夏美の考えも、間違ってはいなかったのかも知れない。
「そうか。引き止めて悪かったな。」
「いや、最初に話しかけたのは拙者でござる故。」
そういうと、ドロロは日向家の基地へ向かった・・・おそらく。
ギロロはそう思った。


「クルル殿。」
いきなり背後から声がして、クルルは驚いて振り向いた。
「ドロロ・・・先輩。」
それは本当に心から驚いている顔だった。
「ただいま。」
「・・・」
クルルの顔は本当に泣きそうだった。
彼にしては本当に頼りなさそうな、何かを本当に待っていた顔。
そんなクルルをドロロは抱きしめた。
「遅くなってゴメン。でも、生きてるから、ね?」
「当たり前だ・・・死んでてっ・・・たまるかよっ!」
任務に行く前は必ず約束をした。
クルルは本部に許可なく連絡を取ってドロロの安否を確認しないこと。
ドロロはいつ帰るかを知らせて、寄り道をせずに帰ること。
今までもずっとそうしてきて、任務で危なくなったり、死んだりしない限りは、必ずドロロは予定どうり帰ってきた。
しかし
今回は違った。
予定の日から三日たっている。
本部から連絡が無い限りはおそらく死んではいない。
おそらく・・・
でも本部に連絡は取らないと約束した。
クルルが心配するのも無理は無いことだった。
「っ・・・約束を破るなんてな。」
ドロロは少し悩むと、クルルに言った。
「任務が・・・失敗しかけた。」
それはとても珍しいことだった。
アサシンが出動して任務が失敗したことなんて、今までに数えられる程度だ。
「でも、持ち直して成功したんだけど。」
「無事だったのか?それで。」
クルルが真剣な顔つきで聞いてくる。
「ちょっと怪我が酷くてね。軍の保養施設で怪しげな機械に入れられちゃった。それで二日間離してもらえなくって。」
クルルが切なそうな顔をする。
「バカか・・・」
「ゴメン。」
「無理すんなって言っただろ。約束破ってるしよ。」
「ゴメン。」
「・・・」
「ねぇ。」
「・・・」
「僕のこと・・・嫌いになったかな。」
「!!ギロロ先輩・・・言ったのか?」
「うん。教えてもらった。」
「・・・」
「ゴメンね。僕は・・・君の事大好きなんだけど。」
「・・・」
「嫌われる様なことをした。ごめんね。」
「・・・」
「じゃあ、僕は帰ってきたから。それだけ言っとく。」
ドロロが帰っていこうと後ろを向いた瞬間、クルルは椅子に落ちるように座ってしまった。
「!クルル君!?大丈夫!?」
ドロロは勢いよく振り返って驚いた。
「どうしたの!?」
クルルは疲れたようにぐったりしている。
「クルル君!・・・!!」
ドロロが本当に心配して膝をつくと、クルルの手が伸びてドロロを抱き寄せた。
「大丈夫?!」
「心配させんじゃねぇ・・・俺がお前のこと、嫌いになれるわけねぇだろ?待ちつかれたぜぇ。」
「クルル君。」
「ッバカか・・・っ・・・そんな風に俺を壊すんじゃねぇよ・・・そんなアンタが嫌いだっ・・・俺にはっ・・・っ本音くらい言え!!っ。」
クルルは泣き崩れた。
「ゴメン・・・ね?」
「っ・・・ZZZ・・・」
ドロロを心配して眠れなかったんだろう、クルルはドロロを抱きしめた不自然な形のまま眠ってしまった。
「もう・・・、しょうがないなぁ・・・。」
ドロロはそっと手を解くと、ベットに寝かせるために抱きかかえた。
「僕がアサシンじゃなかったら、こんな風にベットまで運んであげられなかったよ。」
ドロロはベットにクルルを寝かせると隣にそっと座った。
「僕のこと、嫌いだよね。」
クルルの寝顔を見てそっと微笑む。
「ゴメンね。少しでも心配かけないようにするから。約束も守れるようにがんばるから。そのために・・・少しでも強くなるから・・・。」
クルルの顔にかかった髪を耳にかける。
「好きじゃないなんて、言わないで?」
クルルが小さくうなる。
「ん~・・・大好きだ・・・ぁ・・・ZZZ・・・」
「!!」
ドロロは驚いて固まった。
そして再び笑った。
「その言葉は・・・僕に?」
音もなく、ふわりと、ドロロはラボを出た。


「好きじゃない・・・か。アイツらしい。」
「うん。僕もそう思う。」
庭ではギロロとドロロが話していた。
「寝言で・・・大好きって言ってた。」
「ほう。」
「僕に言ってくれてたらいいな・・・って。」
ギロロは内心複雑だった。
だが、二人は上手くやっていけると思ったから。
「アイツが起きたら言わせるといい。」
「!・・・そうだね。」
ドロロは笑って答えると、ラボに戻るために立ちあがった。
「じゃあ、聞いてくれてありがとう。」
「あぁ。」
走っていくどろろを見て、ギロロはクルルに嫉妬していることに気づいた。
「全く。俺も恵まれないな。」


ラボに入っていくと、静かなくらい部屋に小さな寝息が規則正しく聞こえる。
デスクの上には雑誌や冷めたコーヒーが置いてある。ドロロはその中に場違いな物を見つけた。
「サツマイモ・・・」
触ってみると焼き芋だったことが分かる。
ベットの上のクルルを見ると、静かな寝息が聞こえる。
「あぁ。」
ギロロがくれた物だったろうことに気づいたドロロは、少しだけ驚いた。
クルルが自分のことについて聞いたのか、それともクルルの様子をおかしいと思ったギロロが気を使ってくれたのか。
おそらく二つ目だろうとは思ったが、ドロロは申し訳なく感じた。
「ほんとにゴメン。心配させて。」
デスクの上に焼き芋を戻すとドロロは小さくつぶやいた。
「僕も君の事は好きじゃないよ。好きじゃない、愛してるんだ。」
苦しそうにする。
「君もそう思っていてくれたらいいのに。」

     

      「好きじゃない。」



名前

2007年04月09日 16時52分13秒 | ☆小説倉庫(↓達)
   [名前は、時に愛情表現にもなる。]

「へ~、考えたことも無かったな。」
「うわっ!!いきなり現れるんじゃねぇ!」
いつの間にかクルルの読んでいる本を後ろから覗き込むように見るドロロがいる。
「これ、ペコポンの本?」
興味深そうに聞いてくる。
「あぁ。図書館で借りてきた・・・睦実が。」
「自分で借りに行きなよ。」
「だってよ~、言えばなんでも引き受けてくれるしなぁ?」

甘やかしている!!
今度睦実殿に直接会って話してこよう。

「ところでよ・・・俺には意味わかんねぇ。」
「この一説?」
「あぁ。名前なんて所詮、個人を区別するためのシステムだろ?他に使い方なんてあるわけねぇと思うぜ?」
クルルは肩をすくめた。
「クルル君らしい。」
「そりゃどうも。」
彼にとっては褒め言葉。
「愛情表現だけじゃない。それは時に欲望の表れにもなる。憎しみの表れにもね。それは自分自身じゃなくて・・・誰かの名前を呼ぶときとか。」
「?」
考え込むクルルをドロロは優しく見つめた。
「じゃあ、今、僕と君の二人だけでいるのに名前を呼ぶのはナゼ?」
「ドロロ先輩。」
「ん?」
「ドロロ先輩ドロロ先輩ドロロ先輩・・・」
「ナゼ僕の名前を呼ぶの?」
「相手の存在を、確かめるため?」
クルルにしては珍しい疑問系。
「うん。そういう使い方もあるね。」
クルルはまた少し考えると、さらに彼の名前を呼んだ。
「ドロロ先輩~。」
「何?」
「眠い。」
ドロロはしばらく固まり、クルルを見つめた。

あぁ・・・そっか。

「だめだよ。表せてない。」
クルルはさらに続ける。
「ドロロ先輩。」
「ん?」
「・・・何考えてるか分かるか?」
「無理。」
クルルとドロロの目が合う。
「・・・。」
「他は何かある?」
「ドロロ・・・」
「はい。」
「難しいな。っつーか本当に他の使い方なんてあんのか?」
「自分では気づかないものだよ。」

だってクルル君はいつだって実行してる。
僕もちゃんと分かる。

「わかんねぇ。」
クルルは再び本を開く。
ドロロは近くにある椅子にそっと腰掛けた。

僕が本を読んでいると、君は後ろから覗き込んで僕の名前を呼ぶよね。
それが欲求だと思う。

「なぁ・・・先輩ってこーゆー本読むか?」
早速飽きたようで、クルルはドロロに本をパスした。
「いや、僕はいい。」
クルルは本をデスクに置くと、ドロロを抱きしめた。
「答えが分かってないのに、読むの止めちゃうの?」
クルルは答えない。
「ドロロ・・・。」
そうつぶやくとキスをする。

・・・そうか。

「これは愛情表現だろ?」

ちゃんと分かってた。

「名前を呼ぶだけで分かる、愛情表現だ。」

君は本当に理解するのが早い。

「その通りだよ、クルル君。」


名前を呼んで?
僕等がずっと、一緒に居られるように。

風の中で

2007年04月08日 22時59分09秒 | ☆小説倉庫(↓達)
アンタは風の中で微笑む。
仲間には天使に見えるんだろうな。
だが、それは紛れも無く
悪魔の微笑だ。

俺がそれを見たのは、アサシンの任務にまぎれてコンピューター室を占領しようとしていたときだ。
それは正当な任務だったため、周りのアサシンも協力してくれた。
特にアサシントップ様が。
「ケガはありませんか?」
直前まで任務を嫌がり、一人で泣きじゃくるヤツが・・・
ここまでやるとは。
「ああ、ご苦労。」
「この奥に隠し通路があるようです。探しておきます。」
仕事は完璧にこなす。
けれども、どこかためらいがちな瞳。
「嫌なら辞めればいいだろ。」
ゼロロが居なくなってからそっとつぶやく独り言。
聞いていたってかまいはしないが、それはもう少し探ってからにしようと思っていた。

少し進むとゼロロがやってくる。
「見つけました。」
隠し通路を見つけるのはアサシンの得意技だ。
「奥から来る二人は私が片付けます。」
「片付けるって、殺るってことか?」
「・・・。」
思わず聞いてしまったことに、少しの罪悪感と大きな後悔がこみ上げてきた。
けれどもゼロロは何も無かったかのように案内を続ける。

アサシンは敵に表情を見せてはいけないんだ。

以前誰かが教えてくれた。
クルルは不思議でならなかった。
ナゼそんなに必死になって自分の首を絞めるようなことをするのか。
どうしてわざわざ、こんなところに居るのか。
いつか探ってやろうと思っていた。

任務が終わり、アサシンはいつの間にか消えていた。
残ったのは数名の一般兵と自分だけ。
クルルは全てが終わった後のこの時間が好きだった。
全てが止まり、自分が解き放たれた感覚になる。

そんな自由な時間が終わりを迎えるのは、軍の船が迎えに来たときだ。



「乗船準備が整いました。」
乗組員が一般兵の手当てをするのを、クルルは不思議な目で見ていた。
「少佐、お怪我は?」
「無い。」
「そうですか。それは何よりです。」
自分に怪我は無い。
ヤツが守っていたから。
それはクルルにとって不思議なことだった。
自分を守る存在がいることも、自分が守ったヤツがいることも。

基地に着くと、クルルは真っ先に手を洗いに行った。
すれ違うに人々は皆鉄のにおいがする。
その匂いがしないやつは、たいていアサシンだった。
「アイツは・・・どうしてるかねぇ。」
頭をよぎる青に近い髪。
クルルはアサシンが生活を送る施設に足を運んだ。

「誰だ。」
門番に聞かれるが、少佐の位を持つクルルにそんな質問は無礼なだけで、すぐに中に通される。
「こんなに手薄な警備でいいのかよ?」
独り言もそこそこに、廊下をスタスタと進む。
すると、噴水のある広場が目に留まった。水越しに誰か見えるが、他に人がいる様子は無い。
クルルは迷わずにその場へと進んだ。

「ゼロロ。」

その人はそっと顔を上げた。
手は水に浸かったままだ。
「クルル少佐・・・?」
びっくりしているのがよく分かる。
「クックッ。アサシンは表情を見せないんだろ?そんなに驚くなよ。」
「いや、気配でなんとなく分かってはいましたが・・・信じられなくて。」
手は未だ水に浸かったまま。
「何で噴水に手を入れてんだ?」
「え?あぁ、これは・・・えっと・・・。」
クルルはゼロロの手をつかんで引き上げた。
「ついさっき浸したわけじゃあねぇな。」
その手はとてつもなく冷たかった。
「!・・・さ、触ってはいけません!あなたは・・・!い、いえ、なんでも。」
そのときのゼロロは酷く動揺していた。
「何だよ。」
「血に汚れた手を・・・触ってはいけません・・・。」
「バカか・・・お前。」
そのときの悲しそうな目は、クルルにとって新鮮だった。
静かな風が吹く。
「ゼロロ・・・ったく。」
「?」
「気に入ったぜ。惚れた。」
いきなり何を言い出すのかと言いたげにゼロロがクルルを見つめる。
「決めたぜ・・・俺はアンタを落とす。」
「え・・・それって監視ですか?」
「なんでそう硬くなるかねぇ・・・アンタが死なねぇように見張ってんだよ。」
クルルはゼロロの手をとると立ち上がった。
「今日もそのためにここに来た。」
「私のためですか?」
ゼロロの目が潤んでいる。
「あぁ。」
泣き出したゼロロをクルルは包み込んだ。
そんな二人を
風が包んだ。

その頃の二人の密会の合言葉は

        「裏庭の風の中で。」


__________________________

あれ?話が途中で変わってる?
まぁいいや。